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人工衛星「みちびき」がみちびくITのミライ

10月10日、人工衛星みちびき4号機が種子島宇宙センターから宇宙へ打ち上げられる予定です。
“準天頂衛星”と呼ばれるみちびきを活用すると精密な位置情報を測定でき、私たちのITライフが劇的に進化するのだとか。みちびきが導く日本のITのミライについて、ソフトバンクの担当メンバーに話を聞いてきました♪

まもなく4基体制へ、みちびきの本格運用が始まります!

JAXA提供

ソフトバンク担当メンバー

ITサービス開発本部
村上 俊貴さん、桑畑 堅二さん、永瀬 淳さん、内山 直純さん、工藤 俊也さん

最初にみちびきの概要を教えてください。

村上 みちびきは位置を測定するための人工衛星です。最近はカーナビやスマホでGPS(全地球測位システム)を利用した位置情報を使っている人も多いと思いますが、GPSは米国が運用している衛星測位システムで、衛星の数は約30基ほどです。みちびきを一言でいうなら「日本版GPS衛星」でしょうか。

永瀬 もう少し正確に説明すると、みちびきはGPSと同じ測位信号で運用され、より正確な位置情報を測るためにGPSを補完する衛星です。さらに測定した位置情報を補正する信号を出しており、これで補強することによって位置特定を正確にしています。スマホの地図で自分の位置を見ると、少しずれた場所に表示されることがありますよね? あれはGPSの信号が届きにくいなどの理由で位置の測定に誤差が生じているからなんです。みちびきを利用すれば、もっと正確な位置を表示できるようになるんです。

みちびきがあると、どうして正確な位置を測定できるんですか?

桑畑 まずGPSでどうやって位置を測定しているのか、簡単に説明しますね。
GPS衛星は宇宙に約30基あって「衛星の位置」「時刻」などの信号を地上に向けて発信しています。受信機で信号を受け取るとタイムラグを計算して衛星との距離が分かります。1つの衛星だけでは位置は分からないので、最低4基の衛星からの距離を組み合わせることで位置を割り出しているんです。

内山 先ほども話に出ましたが、GPSは障害物などで信号が届きにくくなると測位の精度が低下することがあります。では、障害物を避けるにはどうすればいいか? 屋外であれば真上に衛星があればいいですよね。みちびきは“準天頂衛星”と呼ばれており、日本のほぼ真上に滞在する時間が長くなるよう8の字の軌道(準天頂軌道)を描いているんです。

10月10日にみちびき4号機が打ち上げ予定ですが、なぜ 4基も必要なんですか?

工藤 みちびきは8の字を描くような軌道で日本からオーストラリア付近を行き来しています。そのため1基だと8時間程度しか日本の上空に滞在できません。24時間365日、常に日本の上空に衛星がある状態にするには最低3基が必要なんです。

JAXA提供

内山 みちびきでは1号機、2号機、4号機が準天頂軌道で日本上空をカバー。3号機は地球の自転と同じ周期で公転し、一点に留まっているように見える静止軌道が採用されていて、測位衛星の誤差補正や不具合情報などを提供する予定になっています。みちびきが4基体制になると、実利用に向けた取り組みを行うことができるのでわれわれも心待ちにしているんです!

JAXA提供

自動運転、ロボット、AI、みちびき活用の可能性は無限大!

みちびきとソフトバンクはどういう関係があるんですか?

永瀬 みちびきのプロジェクト開始当時から携わっています。最初は2010年に打ち上げられたみちびき1号機を使って、2011年10月に北海道で屋外・屋内の位置情報を測定する実証実験を行いました。

桑畑 2013年7月には民間企業約200社が集い、高精度衛星測位サービス利用促進協議会(QBIC)という組織が設立されました。ソフトバンク(当時はソフトバンクモバイル)も通信キャリアとして参加し、自ら実証実験を重ねてきたんです。

実証実験では具体的にどんなことをするのですか?

村上 簡単に言うと、正確に位置を測定できる受信機開発のためのデータ集めと屋外・屋内シームレス位置測位の正確性、有効性の実証ですね。みちびきの信号を受ける受信機を持って屋外・屋内で何度も測定を繰り返します。受信機のファームウエア(電子機器を制御するプログラム)の精度を上げ、実サービスで使えるレベルにすることが実証実験の主な目的です。

工藤 ソフトバンクの実証実験では、みちびきの位置情報を「ふらっと案内」という観光アプリで使うなど、一般の方にご参加いただきながら行っている点が特徴かもしれません。

今回みちびき4号機が発射される種子島でも2014年に実証実験を行ったのですが、この時は位置情報を利用したデジタルスタンプラリーやAR(拡張現実)イベントを開催しました。みちびきの価値は一般社会で活用されて初めて生まれるもの。ただ測定だけをするのではなく、実際のサービスと組み合わせることでファン要素をつくりながら実験するのがソフトバンク流ですね。

4基体制になった後、どのような取り組みをする予定ですか?

永瀬 まず考えているのが自動運転分野での活用です。ソフトバンクは5G技術を用いた自動運転の実証実験を総務省からの請負で実施すると発表していますが、みちびきによる誤差の少ない位置情報は非常に親和性が高いと思います。また、みちびき4基体制の本格運用が始まる2018年度以降には、通信キャリアであるソフトバンクとして、さまざまな事業者が利用できる位置情報サービスを提供していく予定です。

みちびきは今後どのようなサービスで利用されていきますか?

桑畑 自動運転だけでなく、みちびきはあらゆるサービスを根底から変えていくと思います。ちなみに屋内で位置情報を測定するにはIMES(Indoor MEssaging System)という規格に準じた機器を設置して行っているのですが、今後はこのような屋内位置測定インフラが不可欠になっていくと思います。そうすると受信機さえ持っていれば、屋外でも屋内でも精緻な位置が測定できるようになる。これって実はすごい世界!

永瀬 例えば、屋内も屋外も自由に移動できるロボットやドローンも一気に現実的になりますよね。それから、最近よく耳にするAI(人工知能)も位置情報が正確になるとさらに進化します。AIは膨大なデータを学習して判断するのですが、学習データにおける位置情報は非常に大きな意味を持っているんです。その場所にいるという正確な位置情報は、AIを使って何かを判断する場合には極めて重要で、認知・判断の速度を上げ、より精度を高めることができます。

工藤 行動分析などマーケティングの概念も根本から変わりますし、精緻な位置情報を使った新しいサービスが次々と生まれるかもしれない。みちびきはとてつもないイノベーションの可能性を秘めた衛星なんです。

10月10日、感動の打ち上げをお見逃しなく!

「位置情報が正確になるとちょっと便利かも?」くらいに考えていたら、どうやら人工衛星みちびきは、ものすごい可能性を秘めているみたいです! 人工衛星の打ち上げはただでさえ緊張するのに、日本のITのミライがかかっていると思うとさらにドキドキします…。
みちびき4号機、無事に宇宙へ旅立ってくれるといいですね!

(掲載日:2017年10月6日)
文:ソフトバンクニュース編集部