2020年7月にその役目を終えようとしている「PHS」※。携帯端末と比べると機種代も月々の利用料も安く、手軽に使えるコミュニケーションツールとして若者を中心に人気を誇りました。使った経験がある人は「懐かしい」と感じるかもしれませんが、若い方だと実物を見たことがない人も多いかもしれないですね。
そこで今回は、“PHS世代”と“スマホ世代”の女性2人による対談を、今も昔も「若者の街」であり続ける渋谷で実施。PHS全盛期のあの頃と、スマホ全盛期の今を比較しながら、携帯端末との関わり方について語っていただきました。
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PHSテレメタリングサービス向け料金プランは2023年3月末をもって終了します
目次
今回の登場人物
PHS世代代表:長谷川 エレナ 朋美(はせがわ・えれな・ともみ)さん
1981年生まれ。元109カリスマ店員。心と体の健康と美容、自由でクリエイティブな生き方やライフスタイルを、葉山の海辺より世界に発信。日本全国での講演や出版、メディア出演などを通し、インスピレーションやアイデアを届けるメッセンジャー。
- オフィシャルブログ
- Twitter:@hasegawa_tomomi
スマホ世代代表:木村 葉月(きむら・はづき)さん
2000年生まれ。趣味は漫画・アニメ、ホラー・怪談。ダンス&ヴォーカルユニット「FLOWLIGHT」でも活動中。 2018年には、約10年ぶりに復活した「週刊ヤングジャンプ」誌面でのオーディション企画「制コレ」メンバーに抜擢される。
- Twitter:@82ki_82ki
覚えていますか? 初めて手にしたPHS&スマホ
お二人が初めて使った携帯端末は何でしたか?
私はキッズケータイでしたね。防犯ブザーが付いていて防水仕様のもの。色はピンクで、自分で選びました。子どもの頃から芸能のお仕事をさせていただいていて東京にくる機会が多かったので、小学4、5年生の頃に防犯のために買ってもらったんです。
私が初めて持ったのはPHSでした。中学2、3年生の頃、親に買ってもらったんですけど、その前はポケベルを使っていたので、ポケベルからPHSに移行という流れでしたね。色はシルバーでアンテナが付いていて……当時はピカピカ光るアクセサリーをアンテナに付けるのがはやってたんですよ(笑)。あと、「たまごっち」をぶら下げてる子もいました。ストラップもあったけど、その当時はまだ種類が豊富じゃなくて、かわいいのはあまりなかった気がする。
ちなみに、木村さんはストラップを付けることはありますか?
iPhone XSを使っているんですけど、いまだにストラップ付けてますよ! しょっちゅうスマホを落として壊しちゃうので、本体じゃなくてスマホカバーに付けてるんです(笑)。
そうなんだ(笑)! 私はiPhone 11を買ったばかりで、その前がiPhone 8。カメラなどもハイスペックな方が作業効率がいいので、なるべく新しいものに換えるようにしてるんです。やっぱり仕事道具は良いに越したことはないですよね。
知っている人も、知らない人も。PHSの歴史①
PHS(パーソナル・ハンディフォン・システム)がどんなものか、正しく説明できる人はいますか? 「ガラケーが登場する前に使われてた携帯端末だよね?」という認識の人は意外に多いかもしれません。
実は、今では当たり前な機能も含めて、90年代中頃に登場した初期のPHSには画期的な点がたくさんあったのです。第一に、小出力のアンテナと簡易的なシステムを使用していたため利用料が格安。さらに、地下鉄やビルの中でも通話可能、本体重量が100g前後と超軽量、充電が1週間近く持つ、トランシーバー機能付き、マルチメディア対応など、メリットだらけでした。また、家庭用のデジタルコードレス電話として、親機経由で固定電話に接続できる機能も有していました。
PHSは電話というよりアクセサリー?
そもそも、木村さんはPHSを知ってましたか?
使ったことはないけど、知ってましたよ! でも手に取ってみたのは今日が初めてです。おもちゃみたいで、“映え”って感じ(笑)。まず、カラフルなのがかわいいし、ボタンの形もデザインもすごくステキだなと思います。
出始めの頃はシルバーとかしかなくて、しばらくしたらオレンジとかピンクが発売されたんですよね。懐かしい(笑)。
初めてPHSを持った時のことは覚えていますか?
「みんなに見せたい!」って思ってカバンにくっつけてました。カバンの中ではなくて、カバンに付けるホルダーにPHSを入れるのがはやってたんですよ。しかも、ストラップとかもジャラジャラ付けて。コミュニケーションツールっていうよりも、オシャレのためのアクセサリーという感覚が強かったかも(笑)。
知っている人も、知らない人も。PHSの歴史②
PHSの歴史の中では、ガラケーやスマホとの差別化を図るため、PHSならではの個性的な端末が続々登場。特に、今回の記事でも登場した2008年発売の「HONEY BEE(京セラ)」は、ポップでカラフルなデザインと通話中心のシンプルな設計で、カップルたちから絶大な支持を集め、その後もAndroidスマートフォンとして発売されています。また、2010年代中ごろからはスマホのストラップとしてPHSを持ち運べる「ストラップフォン(エイビット)」や、その名の通りハート型の「Heart(エイビット)」などアイデアに富んだ機種が生まれ、PHSの再ブームを盛り上げました。
四半世紀でこんなに変わった! 10代女子のコミュニケーション
当時よく使っていたPHSの機能はありますか?
上京して109で働き始めた頃は、Pメール※をよく使ってましたね。20文字しか打てないから、「おやすみ」とか「今何してる?」とかその程度のコミュニケーションなんだけど、楽しかったですね。
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Pメール:最大半角20文字の数字やアルファベット、かな文字を使ったメッセージを送受信できる機能
えー! 20文字だけですか? 私なんてTwitterを140文字に収めるだけでも大変なのに!
短いからキャッチボールの回数が多いの(笑)。初期は今の絵文字みたいのはなくて、記号を組み合わせて作った顔文字で感情を表現したり。あとは、適当な番号にメッセージを送って、知らない人と友達になるのもはやってました。まだSNSなんてなかったから、返事が来てもどんな相手か調べることもできなくて、冒険みたいな感覚。すごい時代ですよね。
相手に電話番号を知られるって、怖くないんですか?
今ではいきなり電話番号教えるなんてありえないよね。当時はイベントサークルをしていて出会いが多く、初めて会った人とも番号を交換してた。電話がきても誰だか分からないとか、しつこくかかってきて困ったとかは結構あったよ(笑)。
知っている人も、知らない人も。PHSの歴史③
2015年以降、PHSの契約数は減少し、窮地に追いやられ、ついにサービス終了を迎えることになりました。しかし、そうした現在でも依然としてPHSが必要とされている場はあります。その一つが病院。PHSは発生する電磁波が微弱なため、医療機器に与える影響が少ないのです。
また、通話料も固定費も安いため、オフィスや倉庫、工場でPHSを導入している会社も。ご自身で会社を経営する長谷川さんも、一時期は固定電話の転送用としてスタッフ全員にPHSを持たせていたそうです。
位置情報をシェアするのが最近のブーム?
お二人は、仕事ではどんな風にスマホを使うんですか? また、よく使うアプリはありますか?
LINEとかSNS系はもちろん、カメラアプリや写真加工アプリもよく使います。といっても私世代が盛り過ぎるのもよくないので、さりげない加工でキレイに見せてくれる「Foodie - 生活のためのカメラ」とか。あとは、基礎体温を記録できる女性向けのヘルスケアアプリなんかも使ってますね。
私がよく使うのはTwitterとInstagramです。それと、最近周りではZenlyっていう位置情報共有アプリがはやっていて、ユニットのメンバーや友達とかと常に位置情報を共有してます。待ち合わせのときも、どうやったら相手がいるところに辿り着けるかわかりやすいし、スマホをなくしたときに探してもらうこともできて便利ですよ。ママ達の世代の人からは「信じられない!」って言われるけど(笑)。
常にいる場所を知られるなんて不都合もありそうだけど……!
どうしても知られたくないときは、一時的に位置を固定したままにもできるから大丈夫です(笑)!
木村さんはライブ配信にも力を入れてますよね?
そうなんです! インスタライブ、LINE LIVE、ツイキャス(TwitCasting)の3つをやってます。ファンの方と会えない日でも近くに感じてもらえますし、なるべくたくさん話したくて。
配信アプリごとの違いはあるの?
それぞれいいところがあるんですよ。インスタライブとツイキャスはフォロワーしか見れないので、私のことを応援してくれている方たちと気軽に楽しめます。ツイキャスはラジオ配信もできるから、すっぴんで顔は晒したくないけどファンの方と交流したいときにぴったりです。一番気合いを入れてるのはLINE LIVE。フォロワー以外でも見ることができるし、オススメ欄に表示されることもあるから、新規でファンになってくれる方も多いんです。
アイドルやタレントさんにとっても、コミュニケーションの形はどんどん変わってきてるんだね。
ライブ配信が変えた、アイドルとのコミュニケーション
数年前までは、握手会やライブイベントといった「現場」に足を運ぶことでしか、触れ合う事ができなかったアイドル。しかし、木村さんも使っているインスタライブ、LINE LIVE、ツイキャスのほか、SHOWROOMなどのライブ配信アプリ/サービスの登場によって、場所を選ばずPCやスマホ上で気軽にコミュニケーションが取れるように。配信者の個性をたっぷりと知ってもらえるというメリットがあるため、アイドルグループのオーディションでこうしたライブ配信が活用されるケースも定着してきました。(画像は、木村さんのLINE LIVE「はーちゃんねる。」)
元109カリスマ店員&現役アイドルが見てきた、あの頃の渋谷、今の渋谷
今回はお二人にとってなじみの深い渋谷での対談となりましたが、長谷川さんが上京した当時、渋谷はどんな街だったんですか?
センター街とか109とかはギャルの聖地でしたね。今は広い意味で 「若者の街」というイメージだけど、当時はまさに「流行の発信地」でした。その時代を作っていく人たちが常に集まってる場所、という感じ。クラブイベントにもよく顔を出してました。はやっていたのはClub Asia、PYLON、ATOM TOKYO、HARLEM。当時は音楽かけて踊ってるだけでも楽しかったし、クラブは「出会いの場」としての役割も果たしてました。ナンパとかだけじゃなく、仕事のための人脈づくりのために通う人も多かったです。
私はクラブに行ったことないし、周りの友達が通っているっていう話も聞かないですね。
今はフェスが多いもんね。
そうですね。私はアーティスト活動もしているので、センター街より奥のライブハウスが集まってる辺りに行くことが多いです。
渋谷で遊ぶってなると何するの?
ボーリングとかダーツとかカラオケとか……。渋谷ならでは、っていうのはあまりないかも。
ファッションの共通項は“しっぽのアクセサリー”
長谷川さんが109の店員だった当時、渋谷ではどんなものがはやっていましたか?
ファッションではやっていたのはパレオ。水着の上にパレオを巻いて街を歩いてるギャルがいっぱいいましたね。
パレオを街中で着たことはないけど(笑)、109にお買い物に行くことはあります。109といえば、安くてかわいいお洋服がそろってるイメージ。金欠のときにふらっと立ち寄っても買えるのがうれしいです。
109はプチプラというわけではないけど、デパートよりは安いですよね。当時、109のショップバッグが高く売れてたのも印象的な現象だった気がします。今でいうCHANELの紙バッグが売れるみたいな感じで。同じ頃はやったものといえば、ファービーなんかもありましたね。ギャルがキティちゃんグッズを持ったり、しっぽみたいなアクセサリーを付けるのもブームになってました。
しっぽのアクセサリー、私も持ってました! 小学生の時はみんなショートパンツに付けてて。「流行って回っているんだな」って気がします。90年代のファッション見ても違和感を覚えないし。音楽もそうですよね。
今はどんな音楽が人気なんですか?
人気なのは、あいみょんさん、米津玄師さん、菅田将暉さん、Official髭男dismさん、BiSHさんとかですね。
私の時代は小室ファミリーがはやってましたね。安室ちゃんとかglobe、華原朋美さんとか。あと、流行といえば、タピオカは私が19歳くらいの頃にも人気があって、大好きでよく飲んでました。最近またはやり始めた時は、「あのタピオカだよね?」って驚いたくらい(笑)。
タピオカは私もよく買いますよ!
日本でのタピオカブームは3度目だった!
タピオカの第1次ブームは、1992年ごろ。80年代後半に起きたエスニック料理ブームの流れで、当時はココナッツミルクと一緒に食べるものだったそう。その後、2008年の第2次ブームでは、台湾発のタピオカミルクティーの登場で、その魅力がぐっと広く認知されるように。そして、2018年から現在まで続く第3次ブームは、台湾スイーツの人気も後押しして爆発的なヒットとなりました。
木村さんも、流行を作っていきたいという思いはありますか?
そうですね。ありがたいことに、最近、デザインを考えてブランドさんとコラボさせていただけるようになったのですが、ゆくゆくは自分ひとりでもやっていけるようになりたいです。私のことを好きでいてくださるファンは私と似たファッションの方が多いので、万人受けは難しいかもしれないけど、少しでも多くの人に喜んでもらえたらうれしいですね。
万人受けしなくても、自分がしっくりくるものを作り続けていけばきっとファンは付いてきますよ。ブランドを成功させるためには、常にアンテナを立てて色んなものを見たり、色んな人と会って視野を広げていくといいんじゃないかな。私も負けずに、これからも新しいことに挑戦し続けていきます!
PHS世代の長谷川さんとスマホ世代の木村さんの対談、いかがでしたでしょうか? 振り返ってみると、PHS誕生からの25年間で携帯端末を通じたコミュニケーションは、驚くほど進化してきました。皆さんも、ご家族や上司など身近な異世代の方とじっくり話してみることで、意外な発見があるかもしれませんよ!
対談を行ったのは、カラオケパセラ渋谷店
渋谷駅ハチ公口より徒歩3分のところに位置し、スマホ世代のティーンからも支持を集めるリゾートカラオケ。今回の対談では、4画面の大型モニターを備えたパーティールームを利用しました。店頭では50着以上のコスプレやペンライト、ボードゲームなどを無料で貸し出しており、カラオケはもちろん、ブルーレイやDVD鑑賞会にオフ会、誕生会など、目的に合わせた利用が可能です。
(掲載日:2019年11月27日)
文:松本玲子
編集:エクスライト
撮影:山﨑悠次
もっと知りたい! PHSのこと
現在、ワイモバイル×「こち亀」コラボによる特設ページ「ありがとうPHS」では、PHSの歴史年表や、PHSサービスの終了を嘆く両さんが繰り広げるドタバタ劇を描いた新作マンガを公開中。PHSについてもっと知りたくなった方も、懐かしい思い出に浸りたい方も、両さんと一緒にPHSの歴史を振り返ってみてはいかがでしょう?
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