朝、会社に行こうと家のドアを開けると、外は真っ白…。昨晩から降り始めた雪が大量に積もり、道路はカチカチに凍っています。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、大量に積もった雪道を歩行する際の注意点などをご紹介。
この災害テーマのポイント
- 豪雪地帯だけではなく、都心でも雪による事故は多数発生している
- 小さな歩幅で「ペンギン歩き」。滑りやすい場所は事前にチェック
- もし転んでしまったときのために、ダメージを和らげる服装を
この災害テーマのポイント
- 豪雪地帯だけではなく、都心でも雪による事故は多数発生している
- 小さな歩幅で「ペンギン歩き」。滑りやすい場所は事前にチェック
- もし転んでしまったときのために、ダメージを和らげる服装を
目次
- リスク:凍結した路面で転倒、落下した雪の下敷き…。都心でも雪による事故は多数発生
- 対処法:凍結した雪道では、歩幅を小さく「ペンギン歩き」。滑りやすい場所をチェックして安全歩行を
- 事前の備え:雪道を安全に歩くためのコツは、靴・服選びにあり。転倒時のダメージを和らげる服装を
- 大量に積雪した道を歩行するとき役立つサービス・ウェブサイト
リスク:凍結した路面で転倒、落下した雪の下敷き…。都心でも雪による事故は多数発生
豪雪地帯に限らず、都心でも、積雪・凍結を原因とする転倒災害は多く発生。2017年12月から2018年3月までの3カ月間に、東京消防庁管内だけでも、積雪や凍結路面にかかわる事故で917人が救急搬送されています。また、過去5年間で搬送された2,064人のうち、約4割は入院を要する以上の状態に。雪で足を滑らせ転倒したことによって、脳挫傷となった人もおり、十分に注意しなければなりません。(大雪で車が立ち往生するケースも)
積雪・凍結が原因で発生する歩行時の事故例
- 踏み固められて滑りやすくなった路面を歩いて転倒
- 雪が積み上がった歩道を避け、車道を歩行することにより車両と接触
- 積雪で見分けられずに、ドブや開いたままのマンホールに落下
- 屋根に積もった雪が落下して下敷きに
- 軒下などにできた“つらら”が落下
また、夜間に凍結した道路を酔っぱらった状態で歩くのは、とても危険。転倒しやすいだけではなく、倒れたあとそのまま寝てしまい、低体温で亡くなる可能性もあります。
対処法:凍結した雪道では、歩幅を小さく「ペンギン歩き」。滑りやすい場所をチェックして安全歩行を
雪道を歩くときのポイント
- 転倒を想定して、両手を自由にして歩く
- 腰を落とし、膝を曲げ、地面に足を直接おろす
- 積雪している場所は、靴裏全体で雪を踏みしめて歩く
- 凍結している場所は、歩幅を小さくチョコチョコと、ペンギンのように歩く
- もし転倒しそうになったら、尻もちをつくよう体を丸め、頭を打たないようにする
雪道を歩くときは、急がず、焦らず、いつもよりゆっくりと歩きましょう。また、どんなところが滑りやすいかを事前にチェックして、転倒防止に役立てることも大切です。
滑りやすい場所の例
- 横断歩道の白線の上は、滑りやすいので注意が必要
- 車の出入りのある歩道は、タイヤで雪が踏まれて固くなり、凍結しやすい
- バスやタクシーの乗り場は、人の足で踏み固められ滑りやすい
- ロードヒーティング(路面を加熱して融雪や凍結を防止する設備)の切れ目には段差があり、とても滑りやすい
- 地下鉄など駅の出入口付近は段差があることが多く、注意が必要
事前の備え:雪道を安全に歩くためのコツは、靴・服選びにあり。転倒時のダメージを和らげる服装を
積雪の予報が出たら、しっかり防寒対策をして、雪道でも安全に歩ける服装で出かけましょう。転倒防止はもちろん、もし転んでしまったときにダメージを和らげる服装を意識してみてください。
雪道を安全に歩く服装のポイント
- 靴:底に深い溝のあるものや、ピンや金具が付いた、滑りにくい靴底のものが最適
- コート:転倒したときに腰や頭を守れるよう、お尻が隠れる長さでフード付きがベスト
- 帽子:衝撃を吸収する厚めの毛糸の帽子、クッション材がインナーに付いた保護帽がオススメ
- 手袋:転倒したときのケガ防止のために、手首をきちんと覆う十分な長さのもの
- マフラー:厚地で長め、幅広なら、ぐるぐる巻いたりかぶって頭部を守れるので便利
- カバン:両手が自由になるリュックがオススメ。もし転倒してもクッション代わりに
着脱可能な「靴用アタッチメント」で、足元の備えを万全に
都心に住んでいる人にとって、1年に数日あるかないかの大雪のために、雪国用の「冬靴」を購入するのはハードルが高いですよね。そんなときは、自分の靴にそのまま装着できる、着脱可能な「靴用アタッチメント」がオススメ。数百円程度のものもあるので、ぜひ1つ用意してみてはいかがでしょうか。
大量に積雪した道を歩行するときに役立つサービス・ウェブサイト
① Yahoo!防災速報
災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報を知らせてくれるアプリ。アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。
② Yahoo!天気・災害
天気予報はもちろん、天気に関するあらゆる情報・災害情報を迅速にお伝えする天気・災害総合サイト。全国各地の雨雲の動きをリアルタイムにチェックできる「雨雲レーダー」や、花粉や熱中症、積雪情報など、季節ごとの天気情報も。
監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)
1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。
(掲載日:2020年2月28日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草