SNSボタン
記事分割(js記載用)

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。あなたが取るべき行動は?-防災行動ガイド

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

都市部一帯が、突然の集中豪雨に見舞われました。あっという間に道路が水浸しになり、車には今にも浸水しそうです…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、屋外で大雨・集中豪雨に遭ったときの対処法をご紹介。

この災害テーマのポイント

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

  1. 近年、集中豪雨が多発。都市の排水能力を超える「都市型水害」も頻発
  2. 川の近くや地下は危険!車の運転中はアンダーパスにも注意
  3. こまめな天気予報のチェックと車載防災セットの備えを

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 近年、集中豪雨が多発。都市の排水能力を超える「都市型水害」も頻発
  2. 川の近くや地下は危険!車の運転中はアンダーパスにも注意
  3. こまめな天気予報のチェックと車載防災セットの備えを

目次

リスク:近年、1時間に50mm超える豪雨が全国で多発。マンホールから水が噴出するなど、「都市型水害」の危険も

「集中豪雨」とは、積乱雲の急激な発達や台風の影響などで、1時間に100〜数100mmの雨が数時間にわたって降ること。近年、1時間に50mmを超える非常に激しい雨が全国で多発しており、年間発生回数は、30年前と比べると約1.4倍に増加。最近は、これまで降雨量が少なかった北海道・東北でも、集中豪雨が発生しています。

1時間の降雨量と危険性

  • 30~50mm未満:激しい雨
    バケツをひっくり返したように降り、道路が川のようになる。側溝や下水管から雨水があふれる。
  • 50~80mm未満:非常に激しい雨
    バケツをひっくり返したように降り、道路が川のようになる。側溝や下水管から雨水があふれる。滝のようにゴーゴーと降り、水しぶきで辺り一面が白っぽくなる。地下やアンダーパス(立体交差などで、鉄道や道路の下を通る掘り下げ式の地下道)に水が流れ込む。
  • 80mm以上:猛烈な雨
    雨量が密集していて視界が遮られ、圧迫感がある。大規模な災害が発生する恐れがある。

中でも、数十分の短時間かつごく狭い範囲に、数10mm程度の雨が降る「局地的大雨」は「ゲリラ豪雨」とも呼ばれ、河川の氾濫や土砂崩れ、住宅浸水などの深刻な水害をもたらします。また都市部では、下水の排水処理能力を超えて水が氾濫する「都市型水害」が頻発。地下や低地が浸水したり、マンホールから水が噴き出したりといった被害が多発しています。

平成最悪の被害をもたらした「西日本豪雨」

2018年7月、西日本を中心に記録的な大雨となり、各地で水害が発生。15府県で死者が220人を超え、「平成最悪の水害」と報道されました。特に岡山県倉敷市の真備(まび)町地区では、8カ所の堤防が次々に決壊し、地区の3割が浸水。約5,700棟の住宅が全半壊し、51人の死者が出ました。2つの川に挟まれたこの地域は、ハザードマップ上でも、浸水する危険性が示されていました。

対処法:浸水した道路は歩かない。アンダーパスには近づかない。前兆に気づいたら早めに避難を

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

河川の近くにいる場合は…

  • 速やかにその場から離れる
    川の水位が急激に上昇し、濁流に飲み込まれる危険性があるため、ただちに避難を。また、自分のいる場所に雨が降っていなくても上流で降った雨が流れてきて、危険な状態になる場合もあるので注意が必要です。(大雨が降っているときの動き方)

街中にいる場合は…

  • 浸水して足下が見えない場合は、道路を歩かない
    突然道路のマンホールから水が噴き出したり、ふたが外れていて転落したりする危険があるため、むやむに歩き回らず、安全な場所に避難します。
  • 地下街や地下鉄の駅にいる場合は、すぐに地上へ
    流れ込んだ雨水が浸水し、停電したり、水圧で出入口やエレベーターのドアが開かなくなったりする危険があるため、すぐに地上へ避難します。

運転中の場合は…

  • 運転を一時中断する
    視界が悪くなったり、ブレーキがきかなくなったりする恐れがあるため、後続車の追突や冠水の危険のない安全な場所に駐車して待機を。
  • アンダーパスには近づかない
    車両が取り残され水没したり、雨水の深さが分からず進入して水没したりする危険があるため、絶対に近づかないこと。
  • 冠水した場合はすぐにエンジンを停止。車を降りて安全な場所へ
    30cm程度の冠水でエンジンは停止します。それ以上になると、ドアが開かなくなったり車ごと流されたりする危険があるため、車から降りて安全な場所へ避難します。

事前の予測が難しい「局地的大雨」の前には、前兆が起こることがあります。急な天候の変化を察知したら、すぐに避難を開始しましょう。

「局地的大雨」の前兆

  1. 急に冷たい風が吹く
  2. 真っ黒な雲に空がおおわれる
  3. 雷の音が聞こえる

事前の備え:外出先でも天気予報をこまめにチェック。車にも防災セットを用意しておこう

外出中、大雨・集中豪雨で道路が冠水…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

初夏から秋までは、「出水期」といい、前線などの影響で集中豪雨が発生しやすい季節です。外出前には天気予報で警報や注意報が出ていないか確認し、外出先でも天気の変化をこまめにチェックするようにしましょう。雨雲レーダーで局地的な大雨を予測するスマホアプリを活用すれば、リアルタイムの情報を入手できて、早めの対策につながります。

万が一、車が冠水してしまったときのために、日頃から以下のものを備えておくとさらに安心です。

  • 緊急脱出用の小型ハンマー
    車が水没し、水圧でドアが開かなくなったり、電気系統のショートによってパワーウィンドウが開かなくなったとき、窓を割って脱出する際に役立ちます。シートベルトなどを切るためのカッターが一体になったタイプも。
  • 車載防災セット
    災害時、車で待機する場合に備えて、車にも防災グッズの常備を。飲料水・食料・携帯トイレ・懐中電灯・防寒グッズがセットになったものがオススメ。

集中豪雨に見舞われたときに役立つサービス・ウェブサイト

① 気象庁「台風情報」

気象庁「台風情報

台風の最新情報を知ることができるウェブサイト。台風の実況と24時間先までの予報は3時間ごと、120時間先までの予報は6時間ごとに発表されます。

② Yahoo!天気・災害「知っておきたい! 防災情報」

Yahoo!天気・災害「知っておきたい!防災情報」

「Yahoo!天気・災害」がお届けする、災害や防災に関する知識の啓発のため、実用的な防災コラムや防災グッズなどの情報を提供するページです。

③ Yahoo!道路交通情報

Yahoo!道路交通情報

全国の高速道路の渋滞情報や通行止め・事故などの道路交通情報を検索できるサービス。災害による通行止めなどの情報も提供しています。

④ Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピング

Yahoo!JAPANが運営する日本最大級のオンラインショッピングモール。日用品はもちろん、非常食・保存飲料といった備蓄品、避難生活を送る際にあると便利なアイテムや事前の防災グッズも幅広く取りそろえています。

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2020年6月8日、更新日:2022年12月21日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草