最近、オンライン上で採用面接を行う企業が増えています。中には、最終面接を含むすべての採用過程をオンラインで行う企業もあるそう。また、ローテーション勤務が推奨されたことで、会議・商談など、ビジネスの現場でもビデオ電話ツールを使用する機会が増加しています。しかし、「オンラインで、自分の熱意や言いたいことがきちんと伝わるだろうか?」「変な印象を持たれないだろうか?」などの不安を抱えている人も少なくないはず……。
そこで今回は、これまで数多くのWeb面接に対応してきたキャリアコンサルタントの福島知加さんに、よくある失敗例や対策方法について教えていただきました。オンライン会議などで使えるテクニックもたくさんあるため、ビジネスマンの方も必見です!
キャリアコンサルタント/WadachiLab.代表 福島 知加(ふくしま・ちか)さん
沖縄県在住。株式会社リクルートライフスタイルにてコンサルティング営業に携わった後、IT企業での採用・人材育成統括、就職支援機関のキャリアコーチ・研修講師を経て、2017年4月に独立。現在は企業向けに人材開発・採用コンサルティング、キャリア相談事業を展開し約2万人を超える支援に携わる。加えて就活生カフェ「トポセシア」において大学3-4年向けにカウンセリング、面接対策を実施。企業の人事部に勤めていた頃、毎日4~5回のWeb面接をこなすなど、Web面接に精通している。
- ウェブサイト:WadachiLab.
- Twitter:@fukushima_chika
目次
- 今後スタンダードになるオンラインでのコミュニケーション。便利な一方、意外な失敗も…
- 【事前準備①】「ネット環境が死活問題に!?」 押さえておきたい4つのポイント(環境編)
- 【事前準備②】カメラ角度と照明で印象がぐんとアップ! 押さえておきたい4つのポイント(映り・その他編)
- 【本番編】注意すべきは、ズバリ「目線」! 本番時に気をつけたい5つのポイント
今後スタンダードになるオンラインでのコミュニケーション。便利な一方、意外な失敗も……
最近、Web面接を導入する企業が増えていると聞きます。今後もこの傾向は続いていくのでしょうか?
はい。企業側、求職者側の双方にとって多くのメリットがあるため、今後はスタンダードになる可能性が高いと思います。例えば、従来だと企業側は、面接のためにわざわざスペースを確保したり、遠方に住んでいる志望者に交通費を渡したりする必要がありました。しかし、Web面接ではこういった必要がないため、企業側はコストを抑えながら効率良く人材を選ぶことができます。
また、求職者側も、住んでいる場所に縛られず選考に参加することができますし、自宅で面接を受けることによって心理的な負担を軽減することもできます。しかし、こういったメリットの反面、オンラインならではの失敗や落とし穴もあるんです。
はい。企業側、求職者側の双方にとって多くのメリットがあるため、今後はスタンダードになる可能性が高いと思います。例えば、従来だと企業側は、面接のためにわざわざスペースを確保したり、遠方に住んでいる志望者に交通費を渡したりする必要がありました。しかし、Web面接ではこういった必要がないため、企業側はコストを抑えながら効率良く人材を選ぶことができます。
また、求職者側も、住んでいる場所に縛られず選考に参加することができますし、自宅で面接を受けることによって心理的な負担を軽減することもできます。しかし、こういったメリットの反面、オンラインならではの失敗や落とし穴もあるんです。
具体的にはどんな失敗があるんでしょうか?
例えば、通信環境が不安定、なかなか入室できない、カメラ位置を固定できないなど、主に準備の段階で落とし穴があります。私が企業の面接官をしていたときは、スマホがきちんと固定されておらず何度もボトボト落としていた方や、カメラ位置が上下逆になっていた方もいました。
また、ITスキルに自信が無い、オンラインに慣れていないなどの理由で、ちゃんと面接ができるのかどうか当日まで不安に感じている人も多いです。しかし、こうした失敗や不安は、きちんと対策を練ることで避けることができます。
例えば、通信環境が不安定、なかなか入室できない、カメラ位置を固定できないなど、主に初期の段階で落とし穴があります。私が企業の面接官をしていたときは、スマホがきちんと固定されておらず何度もボトボト落としていた方や、カメラ位置が上下逆になっていた方もいました。
また、ITスキルに自信がなかったり、オンラインに慣れていないなどの理由で、ちゃんと面接ができるのかどうか当日まで不安に感じている人も多いです。しかし、こうした失敗や不安は、きちんと対策を練ることで避けることができます。
では、次ページからオンラインの面談で起こりがちなミスや押さえておきたいポイントについて見ていきましょう!
【事前準備①】「ネット環境が死活問題に!?」押さえておきたい4つのポイント(環境編)
オンライン面談を無事に進める秘訣は「事前準備」が8割。まずは「環境面」で大切な4つのポイントを見ていきましょう。
その① ツールはパソコンがオススメ。充電を忘れないこと
まず、パソコンとスマホでは、どちらが適していますか?
安定した通信環境でカメラ位置が固定できれば、基本はどちらでもいいと思いますが、どちらかと言われたら、パソコンがオススメです。カメラが固定しやすいですし、カメラに映ったときのバランスもいいですね。パソコンでもスマホでも、大切なのはとにかく充電を忘れないこと。実際に面接をしていて、相手の充電が切れてしまって5分以上連絡が取れなくなったことがありました。
安定した通信環境でカメラ位置が固定できれば、基本はどちらでもいいと思いますが、どちらかと言われたら、パソコンがオススメです。カメラが固定しやすいですし、カメラに映ったときのバランスもいいですね。パソコンでもスマホでも、大切なのはとにかく充電を忘れないこと。実際に面接をしていて、相手の充電が切れてしまって5分以上連絡が取れなくなったことがありました。
スマホから参加する場合は、SNSや着信の通知オフを忘れずに。通知オンのままだと、内容が相手側に表示されてしまうこともあります……。
その② 背景はシンプルな無地の壁がオススメ
背景や映り込みで注意するポイントはありますか?
背景は、無地の壁などできるだけシンプルな場所がよいでしょう。個性を出すために、ポスター、本棚などを画面に入れる方もいますが、相手の気が散ってしまう可能性があります。
「では、今の僕の背景はNGですね(ライター)」
バッチリです!
よかった。ちなみに、バーチャル背景を使用するのはOKですか?
バーチャル背景は、うまく自分の顔や身体を認識できないこともあるので、あまりオススメできません。やはり、自分の表情や姿勢などがはっきり見えるシンプルな背景が一番だと思います。
その③ 雑音に注意。家族には事前に知らせて協力してもらう
家に小さな子どもがいる場合、泣き声などが入ってしまうこともあると思いますが、マイナスになるのでしょうか?
直接マイナスにはなりませんが、間接的にはなり得ます。というのも、その対応に追われると時間が減ってしまうからです。トラブル全般の話になりますが、例えば、30分という限られた時間のうち10分がそういったことへの対応で削られてしまうと、お互いに不完全燃焼で終わってしまいます。
オンラインで面接や商談を行う場合、家族には事前に伝えて、子どもの世話、音への配慮など、できる限り協力をしてもらいましょう。
直接マイナスにはなりませんが、間接的にはなり得ます。というのも、その対応に追われると時間が減ってしまうからです。トラブル全般の話になりますが、例えば、30分という限られた時間のうち10分がそういったことへの対応で削られてしまうと、お互いに不完全燃焼で終わってしまいます。オンラインで面接や商談を行う場合、家族には事前に伝えて、子どもの世話、音への配慮など、できる限り協力をしてもらいましょう。
その④ ネット環境を整えよう
どこで実施するのがオススメですか?
固定のWi-Fiがある自宅が一番です。どうしてもWi-Fi環境がない場合はスマホのテザリングサービスを使いましょう。ただし、データ通信量の消費が増えて心配という声もあるので、やはりWi-Fi環境のある自宅が理想です。
カフェなどで行うのはどうでしょうか?
カフェは雑音がかなり入ってしまうのでオススメしません。もし自宅が難しい場合は、貸し会議室などを借りるといいと思います。
Web面接やオンライン会議でよく使われるビデオコミュニケーションツールで発生するデータ通信量は膨大。また、そんな膨大なデータをスムーズにやりとりするには、高速で安定したネット回線が欠かせません。しかし、「自宅にインターネット回線がない…」「今からネットをつなぐと、工事に時間がかかりそう…」という方もいるのではないでしょうか?
「自宅にネット回線がない」「すぐにWi-Fiが必要」という方には、工事不要ですぐに使える「SoftBank Air」がオススメ
「SoftBank Air」のホームルーターなら、工事不要ですぐにネットが利用可能。BCNランキングではWi-Fi回線機器市場の機種別で販売数第1位を獲得しています。また、25歳以下の方限定で、月額料金が割引・事務手数料が無料になっていますので、この機会に回線トラブル対策をしてみてくださいね。
【事前準備②】カメラの角度と照明で印象がぐんとアップ! 4つのポイント(映り・その他編)
その⑤ カメラは上半身が映るようにしっかり固定する
カメラの角度はどうすればいいのでしょうか?
顔のみではなく、必ず上半身が映るようにしましょう。顔だけだとジェスチャーが映らず、身ぶり手ぶりがないので熱意が伝わりにくいです。頭が画面上で切れてしまうのももったいないですね。また面接の場合、採用担当者は身だしなみも確認しています。
ということは、服装などもきちんとすべきということですね。
はい。たとえ自宅で行う場合であっても、服装は対面のときと変わりません。ごくまれに、上はビシッとスーツで決めているのに、下は油断してパジャマや短パンを穿いている方がいますが、ふとした瞬間に映ってしまう可能性があるので、絶対にやめてくださいね。
あ、今日 僕Tシャツ……ちょっとラフすぎましたね。
(笑)。
カメラと目線の高さを合わせよう
目線とカメラは、まっすぐ水平になるように調整しましょう。イスの高さが調節できなければ、パソコンの下に本や空き箱を置くなどして調節する方法もあります。
その⑥ 顔色が明るく見えるよう、照明・光を調節する
画面の明るさについてはどうですか? 最近は、リモート会議などで、Webカメラ用ライトを使っている人もいますが……。
「実は私も今、カメラの上にライトをつけています」
「えええええええ」
確かに、自分の画面と比べると福島さんはかなり顔色がよく見えます! やはりライトを準備した方がいいんでしょうか?
無理してライトを買う必要はありません。カメラを照明に寄せる、カーテンを開けて自然光を入れるなど、まずは少しでも明るく見える方法を工夫してみてください。もしそれでも暗いのであれば、照明を用意した方がいいかもしれません。
ライトがなければ白い紙でもOK
ライトを使わなくても、レフ板代わりに、白紙を置いたり、白い机を使ったりするだけで、明るさはかなり変わります。ぜひ試してみてくださいね。
その⑦ メモはOK。ただし、下ばかり向かないように注意
メモは準備したほうが良いですか?
どちらでも大丈夫です。面接では自分が質問をするタイミングもあると思うので、その際にメモを取っているとしっかり相手の話を聞いていることが伝わります。しかし、メモをする許可を取ることと、メモに集中して下ばかり向かないように心がけましょう。
その⑧ 相手の連絡先を手元に置いておく
その他、事前準備で気を付けることはありますか?
先方の連絡先を手元に置いておきましょう。面接なら採用担当者、商談なら取引先相手になりますね。当日は自分だけでなく、相手の通信環境にトラブルが起きることも考えられます。事前に連絡先を用意しておけば、すぐに連絡をして対処方法を相談することができます。慌てず、冷静に、何かあればここに連絡するという安心感にもつながりますね。
この8つを抑えれば、事前準備はバッチリ! 次ページでは、いよいよオンライン面談本番で気を付けるポイントについて学んでいきます。
【本番編】注意すべきは、ズバリ「目線」! 本番時に気をつけたい5つのポイント
事前準備の8ポイントはしっかりチェックできましたか? 次はオンライン面談の本番で気を付けるポイントについて学んでいきましょう。
① 5分前にはログイン。入室時にはあいさつを忘れずに
入室時はどのようにすればいいのでしょうか?
「こんにちは」や「失礼します」など、まずはあいさつをしましょう。その後、自分の所属(大学・会社名)、名前などを伝えて「よろしくお願いします」と言うのが基本です。また、開始時刻に遅れないよう5分前には入室しましょう。
相手が許可しないと入室はできないツールの場合も、5分前から待機しておくのがオススメです。
「こんにちは」や「失礼します」など、まずはあいさつをしましょう。その後、自分の所属(大学・会社名)、名前などを伝えて「よろしくお願いします」と言うのが基本です。また、開始時刻に遅れないよう5分前には入室しましょう。相手が許可しないと入室はできないツールの場合も、5分前から待機しておくのがオススメです。
② ポイントは「目線」。カメラに目線を合わせて会話する
本番中に意識するポイントはありますか?
ずばり、「目線」です。普段通り相手にアイコンタクトを送ろうとすると、ディスプレーを見ることになるので、相手は目線が外れているように感じてしまいます。ディスプレーではなく、カメラに目線を合わせて会話するようにしてください。
なるほど。相手の話を聞いているときもカメラ目線にした方がいいんですか?
はい。カメラを見ないと、相手の話を聞いていないように見えてしまいます。しかし、多くの人は相手の目を見て会話することに慣れているので、オンラインになった途端「カメラを見なさい」と言われてもなかなか難しいんです。ですので、カメラを見て会話するトレーニングをしっかりと行っておきましょう。
カンペをうまく活用しよう
オンラインのメリットのひとつが、カンペを見ながら対応できること。しかし、下を向いてカンペを読んでいると印象がよくありません……。オススメなのが、パソコンの画面にカンペを映すこと。こうすれば目線をカメラからそらさずにカンペを読むことができます。とはいえ、カンペを読みすぎると棒読みになってしまう可能性があるので、やはり事前の練習は必要です。
③ 声の大きさ、ジェスチャーは1.3倍を意識する
他に、心がけることはありますか?
声の大きさは1.3倍を意識してください。1.5倍だとやや大きく、1倍だと場合によってはやや聞き取りにくいです。滑舌は1音ずつしっかり届けるイメージで、口を大きくあけて話をしましょう。
また、身ぶり手ぶりも1.3倍を意識しましょう。何もジェスチャーがないと、オンラインの場合は気持ちが伝わりにくいです。非言語コミュニケーションは普段より意識した方がいいですね。
声の大きさは1.3倍を意識してください。1.5倍だとやや大きく、1倍だと場合によってはやや聞き取りにくいです。滑舌は1音ずつしっかり届けるイメージで、口を大きくあけて話をしましょう。また、身ぶり手ぶりも1.3倍を意識しましょう。何もジェスチャーがないと、オンラインの場合は気持ちが伝わりにくいです。非言語コミュニケーションは普段より意識した方がいいですね。
④ 退出時にもしっかりあいさつ。語先後礼で丁寧な印象に
退出時に気を付けることはありますか?
きれいに礼をすることです。「本日はありがとうございました」と言って礼をし、顔をあげて「それでは、失礼します」で退出ボタンを押す。語先後礼にすると印象もいいですよね。
最後まで気を抜かずに!
以前グループ面接の面接官をしたとき、あえて一番最後に退出することで相手の印象に残るという裏ワザを使っている方がいました。ちょっとあざといですが、オンライン会議やオンライン飲み会でも使えるテクニックだと思います(笑)。
最後まで気を抜かずに!
以前グループ面接の面接官をしたとき、あえて一番最後に退出することで相手の印象に残るという裏ワザを使っている方がいました。ちょっとあざといですが、オンライン会議やオンライン飲み会でも使えるテクニックだと思います(笑)。
⑤ トラブルは率直に伝える。とにかく冷静に対応しよう
もし本番中、タイムラグなどのトラブルが起こったときはどうすればいいですか?
一番は冷静に対応することです。トラブルが出たタイミングで手をあげて、相手に率直に伝えてください。トラブルが出ていること自体、相手はわからないケースもあります。その上で、再起動するのかそのまま続けるのか、いったん相手に判断を委ねましょう。
また、もし音声が聞こえなくなった場合は、ツール上のチャット機能でメッセージを送りましょう。接続が切れてしまった場合などは、先述したように、あらかじめ控えていた先方の連絡先に連絡しましょう。
一番は冷静に対応することです。トラブルが出たタイミングで手をあげて、相手に率直に伝えてください。トラブルが出ていること自体、相手はわからないケースもあります。その上で、再起動するのかそのまま続けるのか、いったん相手に判断を委ねましょう。また、もし音声が聞こえなくなった場合は、ツール上のチャット機能でメッセージを送ってみてください。接続が切れてしまった場合などは、先述したようにあらかじめ控えていた先方の連絡先に連絡しましょう。
ポイントを押さえれば、オンラインでのコミュニケーションがもっと上手に
今回学んだポイントを押さえるほか、ツールの扱いに慣れ、事前に練習するなどしっかり準備すれば、成功にぐっと近づけるはず。オンライン会議など、ビジネスシーンで使える技もたくさんあるのでぜひ生かしてみてくださいね。
また限られた時間の中でオンラインで効率的にコミュニケーションをとるために、自宅のネット環境はきちんと整備しましょう。とはいえ、外出先でオンライン会議やWeb面接に対応しなくてはならない場合もありますよね。しかし、ビデオコミュニケーションツールは膨大な通信量が発生してしまいがち……。
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Wi-Fi環境のないところでは、テザリングを使ってオンライン対応を行う場合もあると思いますが、ビデオコミュニケーションツールで発生するデータ通信量は膨大……。データ通信量が足りるのか心配ですよね。そこで、毎月50GBまで利用できるデータ容量に加えて、対象の動画サービスやSNSが使い放題となる「メリハリプラン」がオススメ。
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これらを活用して、Wi-Fi環境のないところでも通信量を気にせず、オンライン会議やWeb面接に臨んでくださいね。
(掲載日:2020年6月26日)
文:山田宗太朗
編集:エクスライト
写真:山野一真