8月31日、千葉県市原市の勝間ラジコン飛行場で、報道関係者向けにソフトバンクの「ドローン無線中継システム」のデモンストレーションが開催されました。
携帯電話の基地局が支障したときに通信を復旧させるドローンが有線給電で飛行。また、土砂やがれきの下にある被災者の携帯電話の位置情報を取得して、その位置を特定するデモンストレーションなども実施されました。当日の模様をご紹介します。
迅速な通信復旧を可能にする「有線給電ドローン無線中継システム」
自然災害などで携帯電話のサービスエリアで通信障害が発生した際、迅速な通信復旧のためにドローンによる無線中継基地局の活用が想定されています。ソフトバンクは2019年から、東京工業大学 工学院 電気電子系 藤井輝也 研究室と共同で、有線給電ドローン無線中継システムの研究を進めてきました。
無線中継局(子機)を搭載したドローンが高度100メートルまで上昇することで、最大で半径10キロメートル圏内と広範囲の通信をカバー。ドローンはワンボックスカー1台で運搬でき、設置も容易なため「係留気球無線中継システム」と比べて運用開始までの時間が大幅に短縮することができます。また、有線給電のため3日間以上の連続飛行が可能。短期・中期間運用に向いています。
「ドローン無線中継システム」を用いた遭難者の位置特定
ソフトバンクは2016年から藤井輝也 研究室と共同で、雪山や山岳地域などでの遭難者救助を目的にドローンによる無線中継システムを用いた遭難者位置特定の研究を進めてきました。ドローンが無線中継することで遭難者の携帯電話がエリア化され通信可能となり、受信しているGPSの位置情報を捜索側で取得して位置を特定することができます。
今回のデモンストレーションでは、災害発生時の市街地での携帯電話の位置特定を新たに想定。手動操縦で可能な限り接近して電波を発射することで、電波が届きにくい土砂やコンクリート塊などのがれきの中に埋まった携帯電話の位置特定を行いました。
ドローンはモバイルネットワークを介して遠隔からの操縦も可能です。今回は勝間ラジコン飛行場から約70キロメートル離れた遠隔地からドローンを手動操縦して、土砂やコンクリートがれきの下にある携帯電話の位置を特定する実験にも成功。災害時にドローンを活用する流れが、今後さらに加速していきそうです。
ドローンが飛行する様子は、ぜひ動画でご覧ください
(掲載日:2020年9月14日、更新日:2020年9月28日)
文・写真:ソフトバンクニュース編集部