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絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

自宅で過ごす時間が多く、思うように過ごせない日々が続いていますね? 紙とペンや色えんぴつさえあれば、自宅ですぐにできるのが「お絵描き」。でも絵を描くことへの苦手意識から、子どもと一緒に楽しめないという方も多いのではないでしょうか?

そこで、「スクールランブル」「夏のあらし!」などでおなじみの漫画家 小林尽さんに、楽しく、そして自分らしく絵を描くことのヒントについて伺いました。

漫画家 小林尽(こばやし・じん)さん

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

2001年、週刊少年マガジン新人漫画賞・佳作を受賞後、翌2002年に「スクールランブル」でデビュー。2006年から2010年まで、「月刊ガンガンWING」「ガンガンJOKER」で「夏のあらし!」を連載するなど、数々のヒット作を描いている。千葉県出身、B型。

絵のうまさは関係ない。見て喜んでもらえるのがうれしくて、プロになった

絵を描くのはずっと好きだったんですか?

小林尽さん

特別なきっかけはありませんが、物心ついた時から絵が好きでした。好きな昆虫を観察するのじゃなく、動かしてみたいモノを平面上に描いてストーリーを追いかけているという感じで、ドラえもんとかをずっと描いていました。ふつうに友達とも遊びましたが、部屋で絵を描いている時間が好きで、描きたいという欲求が大きかったです。

プロになろうと思ったのは、なぜですか?

小林尽さん

自分の漫画を初めて客観視できたことがキッカケですね。大学で入った漫画サークルで、初めて自分の描いた絵を友人に見せたら、みんながすごく褒めてくれたんです。「世間はテクニックだけを求めていないんだ。皆が読んで喜んでくれるんだったらプロになれるのかも」って思いました。
それからは就職活動みたいに出版社に原稿をドンドン持ち込むようにして、最終的には1年ほどで賞をいただいてプロになりました。

小林さんの描くスタイルについて教えてください。新しい漫画を生み出すときは、どのように創作しているのですか?

小林尽さん

自分の好奇心を探して外に出ていろんな人に会ったり話したりして、興味があることを引き出します。ストーリーの作り方は音楽と一緒で、イントロがあってパートがあってサビがあって終わる感じ。イントロが長いと今の人は飛ばしちゃいますから、早めに核心を見せるように工夫して、読んだ時に気持ちが良いものとなるような構成づくりを考えます。

絵を描くときのこだわりは何ですか?

小林尽さん

目の表情がこだわりポイントなので、目から描き始めます。目は左右で表情が違うでしょう? 感情の伝わり方が違ってくるんですよ。セリフがなくてもキャラクター心理が水面下で変わる様子がわかるものが好きですね。だからストーリーが重要なんです。
表情は気持ちを乗せるためになるべく一度で描きたいと思っています。だから、基本的に下書きはせず、ペン入れの時に気合を入れます!

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

データが変えるクリエーティブの世界。AI時代の子どもが面白いと思うことを知りたい

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

基本的には「アナログ人間」という、小林先生。新たに作品を生み出すキッカケにづくりとして、YouTubeチャンネルを開設しました。「すべてはおもしろい漫画を描くため」と、YouTubeを続ける中でいろいろ挑戦していきたいと意欲をみせています。

7月からYouTubeチャンネルを開設されましたね

小林尽さん

Youtubeを始めてからデータをよく見るようになりました。感覚的な漫画の世界とは大きく違って、AIが判断した数字がすべてというのは、テレビ番組の作り方などクリエーティブの世界に大きく影響してますし……。編集者さんの直感に頼るということが通用しなくなるかも知れません。最初の3話で読者の反応が低いというデータが出たから、もうダメとかね。
だから、データ分析から生み出されたモノを見てきた子どもの感性がどうなるのかに興味があります。現代の子どもが面白いと思っていること、何がおもしろいのかを理解しておきたいですね。

Youtuberになって創作に変化はありましたか?

小林尽さん

Youtube作りはリアルタイムで人が見ていることがわかって楽しいですね。AIが出した数字の結果が、クリエーティブ作りに大きな影響を与えているのは確かですが、でも、データ結果に従うのではなく、そこから少しテンポを外したほうがいいんだろうな? とか、自分なりの表現のしかたを、Youtubeづくりを通じて考えています。

創作で大切なことは何でしょうか?

小林尽さん

感性は自分の武器として大事にしたいと思っています。例えば、昔自分が好きだったタレントさんについて、なぜあんなに好きだったのか? という気持ち。それは時代が違っても、少し形を変えて表現していくことで、共感してくれる人がいるかもしれません。だから、新しい作品を生み出す時に自分の感性を信じるよう心がけています。
また、「こういう作品をつくりたい、読者が喜ぶストーリーはどういうものか?」など、自分だけでなくて、いろいろな人とディスカッションする中で作品が作られていきます。多くの人とコミュニケーションを取ることで発想が湧いてくることがあるので、編集者との打ち合わせは重要ですね。

子どもの創造力は無限大。親子間でのコミュニケーションこそが、発想力をかき立てる

絵心やセンスがなくてもできる。漫画家YouTuber 小林尽さんに聞く、親子で楽しく絵を描くヒントや仕事論

スタッフが描いた「どこでも連れて行ってくれる」未来のロボット(左)を、小林先生がさっと、すてきなイラストにしてくれました

改めて、絵や漫画が持つ魅力は何でしょうか?

小林尽さん

観察力が上がることでしょうか? ぼくは街中を歩いている時も、取りあえず見たものを頭の中で描いてみる、自動車のボディーラインとかの線を引いていくということをします。そうすると、モノの立体感や情景とかに目が行くようになります。
それは漫画を描くためじゃなくて、純粋に好きなモノを描きたいという欲求があるからです。子どもの頃は、好きだけど手に入れられないものはたくさんありますよね。すごく欲しいなーと思いながらも、自動車や機関銃とかは買えない。そういったものを絵に描くと満足するんです。絵の中の自動車や機関銃は自分だけのもの。要求が満たされてスッキリする。だから、気になるもの格好良いものは頭の中で描いてみるんです。

いいアイデアですね! でも、絵が苦手な人にはハードルが高いです。

小林尽さん

絵を描くというと、テクニックやうまい下手ということを考えがちですが、設定やストーリーから考えてみるのが良いのかもしれません。もし、子どもと一緒に絵を描くのであれば、「どんな車に乗ってみたい?」「その車の大きさは?」「どんな装備がついているの?」というように、親が子どもの発想をかき立てるような問いかけが大事です。
子どもの創造力は無限大。絵を描くことは、感性を磨いて自分自身を表現し作品にしていく事なんです。

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スタッフに各パーツの意図を確認し、絵の細部にまでストーリーと命を吹き込んでくれました

未来のロボットの絵も、みんなでいろいろなアイデアを出しましたね。

小林尽さん

コミュニケーションしながら描くと、そこから発想が得られてイメージが広がっていきました。少しずつ形ができていく中で、お互いがひっかかることを話してみるといいですよ。「どうして左手だけが長いの?」とか「どんな目をしているのかな」とか。
小さい子供の世界は狭いので、親からどんどんコミュニケーションをとるようにして、いろいろな情報を与えてあげればいいんです。価値観を共有したり、お互いに大事なモノを補っていったりしながら、一緒に絵を描くといいですよ。絵の練習には、興味のあるものを描いてみるのをお勧めします。あと、丸いものとか。
それから、「お絵かきソフト」はドンドン使ってみるべきですね。指2本ですぐ消せて何度でも描けますから(笑)。自分の発想を全部ぶつけられるから、子どもは使うべきですね。

なるほど、参考になります。最後に小林先生がずっと描き続けたい漫画について教えてください。

小林尽さん

読んでくれる人が楽しんでくれるものに尽きます。一定の人がわかってくれるというのではなく、読んだ人が共感してくれるような人間の感情の描写ができている漫画を描いていきたいですね。例えば、男の子の冒険心や探究心などは、普遍的なモノとして受け入れられると思いますが、見せ方は時代と共に移り変わっていきます。
漫画はストーリー展開なので人に語りかけているようなもの。人間の認識する情報量が増えていく現代に合わせて速い展開にしていくか、あるいはその逆にして面白いと思ってもらえるか?という表現の仕方は常に考えるようにしてますね。

小林尽先生があなたのオリジナル作品を漫画にしてくれる! 「あさってロボット子ども会議」作品募集中!

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10年後、20年後の未来を想像してみてください。ロボットはどんな存在になっていると思いますか? 未来のロボットを想像してみましょう! ソフトバンクロボティクスが運営する「あさってロボット子ども会議」では、子どもたちが描く「未来のロボット」の絵を募集します。

募集要項

お題

「こんなロボットがあったらいいな」を想像して描いてください。
想像したロボットへの想いとロボットの特技を付け添えてください。

描き方

色鉛筆・絵の具・クレヨンなどを使ってください。
用紙フォーマットをA3用紙に印刷の上、ご提出ください。
用紙フォーマットはこちら

対象

中学3年生までのお子さま

募集期間

2020年8月28日(金)から2020年10月31日(土)

詳しくは「あさってロボット会議」をご覧ください。

(掲載日:2020年9月18日)
文:ソフトバンクニュース編集部