ソフトバンク株式会社が、2021年5月11日に2021年3月期 決算説明会を開催。4月から代表取締役 社長執行役員 兼 CEOに就任した宮川潤一は「技術者として、これまで創業者の孫とともに多くの局面を乗り越えてきた。今後は経営者として『レジリエントな経営』を目指し、急加速するデジタル化の時代において予測不可能な困難をしなやかに受け止め、反発力に変えてソフトバンクを大きく成長させていく」と、社長としての抱負を述べました。
「Beyond Carrier」戦略は、第2フェーズへ。「天の時、地の利、人の和」を生かすことが成功の方程式
続いて、ソフトバンクの中長期ビジョンを発表。宮川は、ソフトバンクのBeyond Carrier戦略は第2フェーズへ移ったとして、「今後10年は増収・増益と新事業の立ち上げにこだわり、ソフトバンクの成長につなげていきたい」と述べました。
そして、「成功の方程式」として孟子の教えである「天・地・人」にソフトバンクのリソースを当てはめて、グループ各社やパートナー企業との信頼関係の構築に努めながら、これからもスピード感を持った経営を目指すとしました。
全セグメントで増収・増益に。今後は新規事業が生み出す潜在価値を積極的に開示
2020年度の連結業績については、デジタル化需要の高まりによって全セグメントで増収・増益を達成し、一株当たりの配当金が期初の予想どおり86円を予定していることを説明。
2021年度の連結業績予想も開示し、「増収・増益の目標を、プライドをかけて達成していきたい」とし、高水準の配当金の還元を継続すると同時に、2020年8月に公表した2022年度の目標についても変わりなく達成したいと述べました。
さらに、今後はソフトバンクが持つ事業価値を顕在化するために、セグメント別の営業利益の予想数値と有力なグループ会社のKPIを積極的に開示していくことを明らかに。
グループ企業とのシナジーの創出が短期の重点戦略
各事業の振り返りでは、法人事業の好調ぶりをアピールし、全国約40万社の顧客基盤をベースとしたソリューションビジネスの展開や、LINEの統合によって「B2B2C」のビジネスモデルを推進できることを強みとして、2022年度までに法人事業の営業利益1,500億円を達成することをコミット。
また、5G展開についても触れ、2022年春までの人口カバー率90%の達成目標に向けて順調に推移していることを説明しました。
マルチキャリア戦略を展開するコンシューマ分野においては、ソフトバンクおよびワイモバイルにLINEMOを加えて「スマートフォンナンバーワンを目指す」とし、今後も他社との差別化を図り、ユーザーのメリットを追求していくとしました。
eコマース事業については、国内の物流網に対する課題認識を示しながら、LINEを含めたグループ企業との協業体制を強化し、国内ナンバーワンを目指す努力を惜しまず、挑戦し続けると述べました。
「PayPay」 の決済取扱高が3.2兆円を達成
PayPayについては、これまで非開示だった決済取扱高を初めて開示。事業価値の顕在化を図るために、その他の数値についても積極的に開示することを宣言しました。今後は、さまざまなサービスとの連携で金融エコシステムを構築し、さらなるスーパーアプリ化を目指して成長していくとし、グループシナジーを高めていくことが、「総合デジタルプラットフォーマー」としてのソフトバンクが担う役割であることを改めて強調しました。
「Beyond Japan」―ソフトバンクは日本から世界へ
さらに宮川は、今後は海外での事業展開にも取り組んでいくとし、アジア最大級の通信事業者であるアシアタ・グループ傘下のADA社との資本・業務提携に触れ、ソフトバンクのデジタルマーケティング商材を東南アジアで展開していくと説明しました。
加えて、LINEがグループに加わることでNAVER社との関係が強化され、共同で立ち上げた事業戦略検討委員会で、東南アジアへの本格的な展開を検討していることを明らかに。
「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現を目指す。カーボンニュートラル2030を宣言
最後に社会課題の解決が事業成長につながると述べた上で、SDGsの取り組みの一環として、「カーボンニュートラル2030宣言」について言及。温室効果ガス排出量実質ゼロの実現を目指すとともに、SDGsのACTION6に設定されているレジリエントな経営基盤の発展にこだわることを改めて強調し、説明会を締めくくりました。
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(掲載日:2021年5月11日、更新日:2021年5月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部