100年以上の歴史を誇り、世界中にファンを持つドイツの老舗カメラメーカー、ライカカメラ社。写真に興味があれば、誰しも一度は手にしたいと願う憧れのブランドではないでしょうか。そんなライカが、世界で初めて作ったスマホ「Leitz Phone 1(ライツフォン ワン)」が、ソフトバンクから独占発売されました。カメラとレンズの性能はもちろん、デザインやスペックなど、ライカの矜持が伺えるハイクオリティなスマホに仕上がっています。
今回は、写真家として雑誌や広告で活躍する松本直也さんに、「Leitz Phone 1」の性能を体感していただき、その魅力や使用感を語っていただくとともに、ライカのスマホで日常の風景を撮る楽しさを教えてもらいました。
ライカ(Leica)
100年以上の歴史を持つドイツのカメラメーカー。高級カメラの代名詞ともなっており、数多くの写真家が愛用している。「Leitz Phone 1」は、ライカとソフトバンクの間で企画が立ち上がり、シャープが製造で参画。ライカが全面監修し、ソフトバンクから独占発売されている。
ライカを愛用する写真家 松本 直也(まつもと・なおや)さん
東京と静岡・浜松をベースにファッション誌やカルチャー誌、カタログ、CDジャケットなど、さまざまな媒体でポートレートやファッションを中心に活躍する写真家。愛機はライカの代表的な存在とも言えるフイルムカメラ「ライカ M3」と、デジタルカメラの「ライカ M8」。
世界中の写真愛好家を魅了するライカの魅力ってなんでしょう?
松本さんが愛用するのが、ライカの代表的なフイルムカメラ『ライカ M3』と、同じM型シリーズのデジタルカメラ『ライカ M8』。写真家にとって、ライカの魅力はどこにあるのでしょうか? 数々のカメラの中でもライカを選ぶ理由をくわしく語っていただきます。
ライカを使い始めたのはいつ頃ですか?
松本「もう10年以上前になるのですが、独立してすぐに買った、フイルムカメラの『ライカ M5』が自分にとっての初めてのライカです。これを持つことで覚悟を決める意味があったと思います。そして、一度出会ってしまうと、やはりライカを超えるカメラはないのかなぁ… と思いましたね」
そんな松本さんを含めて、カメラ好き・写真好きが、ライカに憧れる理由はどこにあるのでしょうか?
松本「この佇まいが何よりの魅力なんじゃないでしょうか。『いい写真撮れそう!』と思わせてくれるんですよね。それから、『常に触っていたい』とも。それって、写真家にとってはすごく大事なことで、触ったら次は自然と撮りたくなる。そうさせてくれるカメラはライカだけかもしれません。以前、僕がライカで撮影したことをきっかけに、ご自身でも写真を始められたミュージシャンの方が、『カメラって本当にギターと一緒だよ。どれを選ぶかが大事』と言っていたのは印象的でしたね」
松本さんがライカについて、とくに気に入っているポイントを教えてください。
松本「常々いいなぁと思っているのはシャッター音。ほかのカメラと比べて品があるというか、押すたびに心地よくさせてくれます。シャッターを押したときの感覚と、静かだけど力強い音、そしてフイルムを巻き上げる感触、このすべてが芸術というか。写真の写りはもちろん大切ですが、こういう些細なことが、撮影のモチベーションにすごく影響するんですよね」
まさにライカ愛用者でなければわからないお話ですね。では、ライカで写した写真が多くの人を魅了する理由についてはどうお考えですか?
松本「ファッション撮影なんかでは、ライカのほかに一眼レフのフイルムカメラ、デジタル、コンパクトを合わせて使い分けることがよくあるのですが、現場ではどのカメラを使っていたかなんてみんなもちろん覚えていないんですよね。撮影した全部の写真をごちゃ混ぜにして、その後のセレクト会議で提案すると、編集部に選ばれるのはやっぱりライカで撮ったもの、ということが多々あります。
写真にあまり詳しくないメイクさんやスタイリストさんが見ても『いい!』と思ってしまうのがライカの魅力だと思います。ライカならではの描写力とか絶妙なボケ感とか、そういうことはもちろんあると思います。だけど、理屈ではない部分で、多くの人が『いい!』と感じてしまう写真が撮れることだと思います」
ライカを使っててよかったなぁと感じるエピソードがあれば教えてください。
松本「人物取材をするときは基本ライカで撮影しようと決めています。初めましての席で、撮るほうも撮られるほうもやっぱり緊張するじゃないですか。そこで、ライカを持っていると、『良いカメラ持ってるね』とか『それ俺も使ってたんだよ』とか、そういう会話が生まれる。それってやっぱりライカならではの力なんですよね。安心感もあるからなのか、やっぱり良い表情が撮れるんですよ」
すばらしきライカの世界を体感。松本さんに「LEITZ PHONE 1」で撮影してもらいました!
ライカを愛する写真家・松本さんにこの「Leitz Phone 1」を使って、身近な風景を撮影していただくことに。まずは、「Leitz Phone 1」の写真をじっくり見ていきましょう。
松本「手始めに、静岡の浜松市にある実家の周りを散歩しながら撮影しました。見たそのままのような夕暮れ時の光や、アスファルトや影の描写がスマホのカメラとは思えないですよね」
松本「2015年には、家や工場など何気ない建物や風景を写した写真集『about there』を発表しました。僕は色弱のせいなのか、赤や緑色の原色がとても鮮やかに見えるんです。この写真集に収めたのも色彩に惹かれて撮影した風景。今も風景の中に色を見つけるとついつい足をとめて撮影をしてしまいます」
思い出はモノクロームで撮りたくなる。
松本「思い出の風景って、なぜかモノクロームで撮りたくなるんですよね。それで浜松の風景は『Leitz Looks』モードでたくさん撮影しました」
ライカこだわりの描写力・カラー・スペック… その“ちがい”をクローズアップ
ここからは、「Leitz Phone 1」のスペックに改めて注目。他社のスマホカメラとの違いや、ライカならではのこだわりなどを、わかりやすく解説します。
① 驚くべき描写力
スマホとしては最大級※で、デジタルカメラ同様の大きさの1インチの高性能イメージセンサーを搭載。暗所でも明るく、細部のディテールをつかむ描写力があり、自然な色味での写真が撮影できます。レンズは、明るく高品質な非球面レンズ搭載の7枚構成レンズ「ズミクロンF1.9/19 ASPH.」を採用。ライカのレンズテクノロジーが生かされている。また、最大6倍のデジタルズームも可能。
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シャープ調べ
② 「Leitz Looks」モードの“黒”の美しさ
「Leitz Phone 1」独自の機能として、モノクロで撮影できる「Leitz Looks」モードはライカファンにはうれしい機能。ライカらしいコントラストが美しい、しっとりとした雰囲気のモノクロ写真が撮影できます。
③ 「マニュアルモード」で好みのトーンや色合いを表現
ホワイトバランスやISO感度、シャッタースピードや色合いを設定可能。そうした機能をいじりながら自分の好みの写りを見出していく、マニュアルカメラならではの醍醐味を味わえます。もちろん「AF (オートフォーカス)」機能も付いているので、初心者でも安心。
④ ライカそのまま! こだわりのデザイン
背面レンズの横には、ライカブランドの象徴である「赤バッジ」が。背面パネルはつや消しのブラック、フレームはアルミニウムを用いています。また、サイドフレームにはライカカメラにも使われているローレット加工(金属に細かい凹凸状の加工を施す加工方法)を施してあり、安定したホールド感を実現。さらに、こだわったのがシャッター音。Mシリーズと同じ音を再現しています。ライカのロゴマークが入ったマグネット式のレンズキャップや、高級感のある保護ケースも付属。
「失敗するから楽しい」 使えば使うほどに面白くなる「Leitz Phone 1」の奥深い魅力
さまざまなスペックや機能を持ったライカのスマホ「Leitz Phone 1」。今回、それらを実際に体感していただいた松本さんに、ライカを愛用する写真家としての、ストレートな感想をお聞きしました。
「Leitz Phone 1」を使ってみて、一番印象的だったのはどの機能でしょうか?
松本「『Leitz Looks』モードの描写力には驚きました。ライカのフイルムカメラに引けを取らない良さがあると思います。ライカは階調の豊かさが魅力なんですが、『Leitz Phone 1』もそれをしっかり受け継いでいました。あと、背景のボケ具合が自然ですごく好きですね」
ボケ感が一層フイルムカメラのような雰囲気を演出していますよね。
松本「シャッターが降りるまでのタイムラグとか自分のコントロールミスで起こったボケとかブレが、面白いんですよね。最初は操作に慣れなくて露出をオーバーしてしまったり、なかなか狙い通りの写真が撮れなかったのですが、そうすると、「あー失敗した!」とか「意外にこっちのほうが好きかも!」と思って、次はこうしてみようと試行錯誤しますよね。
そういう体験って、スマホのカメラではなかなか味わえないじゃないですか。すべてがノーマルにきれいに撮れちゃうと、それで満足しちゃう。僕はミスもどんどん楽しんでほしいです」
松本さんの理想とするのはどんな写真ですか?
松本「一枚の静止画って、説明が足りないじゃないですか。もちろん、動いてもないし文字も入ってない。見る人に余白を与えるというか。見る人によって全然解釈が違うし、意味合いも変わる。それが面白いですよね。そういう余白を与える写真を撮りたいとずっと思っています。そしてそれは、いつ見ても飽きない写真です」
今回、風景写真をメインに撮影していただきましたが、風景写真を撮影するコツがあればぜひ教えてください。
松本「僕は手持ちカメラの場合、構図はあまり決めずに『いいな』と思ったら撮る。それから、スマホで撮る時は画面を見過ぎないようにしています。あまりコントロールし過ぎずにどんどん撮ってみるのがいいと思います」
これまでライカに憧れていてもなかなか手にすることができなかったカメラファンにとって、「Leitz Phone 1」は、いいライカ入門にもなりそうですね!
松本「そうですよね。写真家だって誰もが持てるカメラというわけではないと思うので、こうしてライカを身近に味わえるのは、すごくうれしいことです。
今は、SNSの普及によって誰しも写真で表現できる時代だから、少しでもクオリティの高い写真を撮りたいという人は多いと思うんです。「Leitz Phone 1」は、まさにそんな時代に合ったスマホカメラだと感じます。手軽に撮影できて、ライカってこんなに“ちがう” んだと実感できる。本当にいい時代だと思います」
写真家もうなるライカのスマホ「Leitz Phone 1」の実力いかがだったでしょうか。クオリティを追求するライカならではのこだわりが、このスマホには詰まっています。今回松本さんに伺った風景写真のコツとともに、ぜひ「Leitz Phone 1」を試してみてください。
(掲載日:2021年8月16日)
編集、文:エクスライト
写真 : 山野一真(ポートレート)