2020年5月に「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsへの取り組みを強化したソフトバンク。いま実際に、どのような取り組みが行われているのか、担当社員が自らの言葉で事例を紹介します。第1回は、DXで物流業界の課題に挑む「MeeTruck(ミートラック)」です。
今回、話を聞いた人
ソフトバンク株式会社
法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 ビジネスプロモーション統括部 MeeTruck事業部 事業開発課
山田 健人(やまだ・けんと)
MeeTruck株式会社に出向中
法人営業としてソフトバンクに中途入社、首都圏の中小企業の営業担当に。2018年にデジタルトランスフォーメーション本部へ異動し、本プロジェクトの立ち上げに携わる。現在はMeeTruck株式会社で営業やマーケティングなど、Go-to-Marketの責任者を務めている。
MeeTruck株式会社
ソフトバンク株式会社と日本通運株式会社が、物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援することを目的として、2020年4月に共同で設立。2020年10月から、物流事業者向けのクラウド型配車支援サービスを提供している。
高品質な物流網を支えるために、デジタルで何ができるのか?
MeeTruckは、ソフトバンクと日本通運が物流業界をDXで支援することを目的に設立したジョイント・ベンチャーです。私が2018年にデジタルトランスフォーメーション本部に異動して「自分たちが取り組むべき社会課題はなんだろう?」と考えたときに、最初に思い浮かんだのが物流でした。
実は私、ソフトバンクに中途入社する前は物流業界で働いていて、神奈川県にある倉庫で現場の事務を担当していました。その経験から、デジタルを活用した物流業界の業務効率化にニーズがあると考えていたんです。タイミングよく、当時ソフトバンクとリレーションがあった日本通運と意見交換する機会があり、具体的な物流DXの検討が始まりました。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、日本の物流は非常に高品質です。予定の日時にきちんと荷物が届く、というのは世界各国を見渡すと珍しいことですからね。
また、物流業界では本当に多くの人が働いています。一般的に物流と聞くと、自宅に届く宅配便などをイメージされる方が多いと思いますが、これは物流全体のごく一部。工場間や事業所間など、いわゆるBtoBの物流の方がずっと多いんです。
どれだけITが進化して生活が便利になったとしても、物理的にモノを運ぶという仕事は存在し続けます。私たちが快適な生活を送ることができるのは、スムーズな物流が存在しているからこそで、社会に欠かせない重要な産業なんです。
その高品質な物流網は、現場で働く方々の日々の努力や届けたいという心意気に支えられています。しかし、物流業界、特に中小規模の運送会社では、ドライバー不足や、働き方改革が進みにくいといったさまざまな課題が存在しています。
そして、日本の運送会社の99%は中小企業です。現在、ドライバー不足などにより、経営者が自らトラックを運転せざるを得ないという話もよく耳にします。日本の物流を支える運送会社が直面する効率化や働き方に関する課題。その中には、デジタルで解決できるものがきっとある。そう信じてMeeTruckをスタートさせました。
あえてシンプルに、運送会社の業務の見える化に徹する
MeeTruckが中小規模の運送会社向けに提供しているサービスは、非常にシンプルです。簡単にいえば、これまでアナログで行っていた運送業務の一部を見える化して、みんなで共有できるようにしました。
例えば、ドライバーの予定などを管理する「配車表」。従来は、ボードに書いたり、印刷された紙を貼ったりして、事業所で管理するものでしたが、MeeTruckならスマホでどこからでも確認できます。実際に「新しい仕事の発注が来たけれど、すぐにドライバーを手配できるか分からず、確認の手間がかかる」という悩みを抱えている運送会社は多いです。
他にも、ドライバーに出す運送指示、運送を終えた後に従来電話で行っていた完了報告、運賃登録、請求書作成など、デジタルで効率化できる業務を集約しました。クラウドサービスなので面倒なメンテナンスが不要なところもポイントですね。
サービスを開発している段階では、もっとたくさんの機能を実装しようと考えていたんです。でも、実際に運送会社の方々に話を聞くと、何もかもデジタル化すればいいというものではないと思って、機能を絞り込みました。
電話でコミュニケーションを取ることに不都合がなければ、無理に変える必要はありません。変に頭でっかちになるよりも、シンプルに「便利だな、助かる」とユーザーに感じていただいた方が、課題解決に直結しますからね。
ユーザーファーストにこだわり、運送業界で信頼を勝ち取りたい
サービス提供を開始したのが、2020年10月。まもなく1年になりますが、お客さまを訪問したとき、実際にMeeTruckが使われているのを見たり、「ちょっと楽になったよ」と声をかけてもらったりすると、やっぱりうれしいですよね。微力ながら物流業界の役に立てているのかな、と感じます。
MeeTruckは、使いやすさを向上させるためのアップデートをすでに150回ほど行っています。機能がシンプルだからこそ、ユーザーフレンドリーを大切にしたいんです。お客さまの声を参考にしながら実施したアップデートもかなり多いですよ。
物流業界って元々「信頼関係」がすごく重視されるんです。相手にしっかりと届けるということもそうですし、同じ会社で働くうえでも連携することが大切だからなのだと思います。MeeTruckもユーザーから信頼を得られるサービスでありたい。今はそんな思いが強いですね。
ソフトバンクのマテリアリティ①「DXによる社会・産業の構築」
ソフトバンクは、SDGsの達成に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を特定。そのうち、SDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を踏まえた「DXによる社会・産業の構築」では、最先端テクノロジーを活用して、ビジネスの発展・効率化に貢献することを目指しています。
(掲載日:2021年9月17日)
文:ソフトバンクニュース編集部