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嵐の中でも新たな芽を育てていきたい。-ソフトバンクグループ株式会社 2022年3月期 第2四半期 決算説明会レポート

2021年11月8日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2022年3月期 第2四半期決算説明会が開催され、代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義が、第2四半期の業績と同日決議された1兆円を上限とした自己株式の取得について説明しました。

アリババとソフトバンク・ビジョン・ファンドの中国銘柄の株価下落が影響

冒頭、孫は「半年前、日本経済史上最大の5兆円の純利益を出したと大いに胸を張りながら40年前を振り返りましたが、半年が経ってまた大嵐、冬の木枯らしでございます」と切り出し、「これは株主の皆さんにとって一大事ではありますが、しかし、悪い話ばかりではない。後半で話をさせていただきたい」と説明を始めました。

業績の概要について、当期純利益は前年同期比で80.7%減の3,635億6,900万円、SBGにとって最も重要な指標であるNAV(時価純資産)は第1四半期末時点の27.9兆円から20.9兆円へと3カ月間で6兆円減少。その主な要因は、アリババの価値が減少したことと、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)の一部投資先企業の株価下落が影響したことであると述べました。

時価純資産(NAV)

もう1つの重要な指標である、LTV(純負債/保有株式)は19%と、通常時 25%未満で運用 (異常時でも上限35%)という財務方針に則り、安定的に推移していることを説明。

LTV(純負債/保有株式)

ファンド事業の投資損益については、SVF開始からの累計では約6兆円の利益と十分成功しているが、この3カ月の中で言えば、中国企業銘柄が下落したことや、韓国のクーパンが上場の反動で値下がりしたことなどが要因で約1兆円下落したと解説。また、利益の大半は先行しているSVF1で、スタートしたばかりのSVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドは今後3、4年かけて投資先が続々と上場していくと思うと述べました。また、投資先の時価で見て、幅広い地域・分野へ資本を提供していることもあわせて説明しました。

Vision Fund等 投資事業 損益(累計)

投資企業数は1年で3倍以上に。手持ち資金で「金の卵」を生み続けるエコシステムを確立

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続いて、SVF2の投資プロセスについて、約3,000社ほどの候補の中から分野別、地域別に分けて専門チームが分析を行い厳格なプロセスを経て投資を決定していると紹介。また、SVF1とSVF2の違いについて、SVF2はより組織だった仕組みが出来た状態であること、1件あたりの投資額がSVF1の約5分の1の200億円程度になっていること、1社における持ち株比率をより細やかにしていることを説明。「ホームランを狙うというより数多くのヒットの累積でトータルの利益を出していきたい」と、1社あたりの投資金額を小さくし、ディールの件数を増やすことで、分散して細かく確実に投資していることを説明しました。

投資額(1社当たり平均)

次に、ソフトバンクグループは資本家であることを改めて説明しました。基本的な考え方として、未上場のAIのユニコーンに投資をしてAIユニコーン群を作り、投資先が上場後、売却や資金化をして、その資金で新たに未上場のユニコーンに投資していく。2021年度上期においては、投資した3.2兆円のうち、3兆円の資金はSVFなどの上場株式の売却やアセットバックファイナンスによるもので、保有株式から資金化し、新たな投資をするということが、エコシステムで回るようになってきた、と述べました。

さらに、「嵐の中でも『新たな芽』を育てていきたい」として、そのひとつはSVFで生まれてくる金の卵であるとしました。SVFを開始して以来、上場した投資先は毎年倍々で増加し、今年はこの上期だけで既に18社が上場済みであり、今後上場が見えているところも含めると30社以上となっている。また、SVF1、SVF2、ソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンドの投資先はパイプラインを含めて現在368社に上り、「1件あたりの投資金額が5分の1であったとしてもSVF1の累積に匹敵するぐらいの卵がたった1年ほどで入っている。嵐の中でも着実に金の卵を生み続けるエコシステムができてきた」と自信をのぞかせました。

IPO 新規上場 / 売却数

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嵐の中でも「新たな芽」が見えている。1兆円の自己株式取得を決議

最後に孫は、「SBGのNAVが20.9兆円であるのに対して時価総額は11.1兆円。5割近いディスカウントがある。株主としてこの状況を逆手にとって嬉しいニュースにするにはどうしたらいいかというと、自己株式の取得である」として、発行済み株式総数の14.6%にあたる2億5000万株を1兆円を上限に取得することを決議したと発表しました。

自己株式の取得

従来から掲げている LTVや⼿元流動性に関する財務⽅針を堅持しつつ、持続的な成⻑に向けた投資機会や NAV ディスカウントの⽔準などを考慮しながら機動的に⾃⼰株式の取得を⾏っていく方針を示し、「嵐の中で、実際の実力よりも大幅に株価が下がっているわけであれば、今こそチャンスだ」と話し、説明会を締めくくりました。

プレスリリース:⾃⼰株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ

嵐の中でも「新たな芽」が見えている。1兆円の自己株式取得を決議

資料 プレゼンテーション資料(PDF形式:49.8MB/64ぺージ)

(掲載日:2021年11月8日、更新日:2021年11月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部