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ネットワークセンターを大掃除してみたら… 30%の節電に! 眠っていた設備撤去の裏側

ネットワークセンターを大掃除してみたら… 30%の節電に! 眠っていた設備撤去の裏側

通信事業者であるソフトバンクのネットワークセンターにはたくさんのラックやケーブルがあります。設備全体は新しくなる一方で、使用しなくなった設備が残っていることも…。要らなくなった設備を撤去して、節電に結びつけた取り組みをご紹介します。

話を聞いた人

城内 一仁(しろうち・かずひと)

ソフトバンク株式会社
テクノロジーユニット エリアネットワーク本部 関東技術ネットワーク統括部 関東ネットワークセンター エリア保全1課
城内 一仁(しろうち・かずひと)

小林 達哉(こばやし・たつや)

ソフトバンク株式会社
テクノロジーユニット エリアネットワーク本部 関東技術ネットワーク統括部 関東ネットワークセンター エリア保全1課
小林達弥(こばやし・たつや)

誰も着手しなかった大規模な設備撤去に挑んだワケ

まず初めに、今回の設備撤去に取り組んだきっかけを教えてください。

城内

ネットワークセンターには今はもう使われていない設備があると、以前から認識していました。このままずっと残っていることで何かしらの弊害が発生しているのでは、と感じたことがきっかけです。

弊害とは具体的にどのようなものでしょうか?

小林

実際には使っていない設備であっても、そこにラックがある限り、電源を入れたままにしておく必要があるので電力を消費しているんです。そこで不用な設備を撤去してネットワークセンターをスリム化すれば、電力使用量が削減できるのではと考えました。

通信を支える重要拠点「ネットワークセンター」

通信を支える重要拠点「ネットワークセンター」

通信サービスを提供するための設備を収容する通信事業者にとって非常に重要な拠点。一般的には、提供するサービスに応じた交換機、ケーブル、ラック、監視装置などが収容され、安定した通信を提供するために不可欠な設備で、通信に異常がないかなどの監視なども行われる。

今まで取り組もうとしたことはなかったのでしょうか…?

小林

今回、ケーブル撤去をしたのは、ソフトバンクのネットワークセンターの中でも比較的に古いセンターなのですが、約30年運用している設備のため、人事異動や部署変更などが行われた中で、細かい部分まで把握できなくなることも…。本当に不用な設備がどれなのか、確認を取ることが難しく、なかなか実行に移すことができませんでした。

城内

「ケーブルの撤去」は、ネットワークセンターの数ある作業の中でも、一番リスクがあります。間違って抜いてしまうと、たちまち通信することができなくなり、お客さまにご迷惑がかかります。リスクを考えると、なかなか実行に踏み切ることができなかったのではないでしょうか…。

それでも、今回あえて撤去を実行したんですね。

小林

誰かがいつかやらなければ、この先もずっと同じ状況が続いてしまう… と一念発起! 自分たちが絶対に解決するという強い気持ちで臨みました。

一歩間違えればサービスの提供に支障も…。緻密なシミュレーションで無事故を実現

城内さんと小林さんを中心に6名で約2年間におよび取り組んだ結果、撤去したラックとケーブルなどはあわせて約260トン!
いざ、作業に着手してみるとさまざまな課題に直面したそうです。

どんな点に最も気をつけたのか教えてください。

城内

誤ってケーブルを抜いてしまわないため、事前の調査は丁寧に進めていました。何が不用な設備なのか、ネットワークの接続構成を確認していたのですが、いざ調査を始めてみると、実にいろいろな種類のケーブルが残っていることが分かり…。全部を調査し終えるまでに想定よりも時間がかかってしまいました。

実際の作業は、事前の計画通りに進みましたか?

城内

約30年稼働しているセンターのため、撤去対象の設備や資料など、紙で管理されていたものが多くて、とにかくなんでもかんでも古いんです…。それで現場での確認に非常に手こずりましたね。

小林

装置から出ている光ケーブルや電源ケーブルを撤去するために、どことつながっているのか確認したくても、ケーブルの接続先を示す札の手書き文字が薄くなっていて読めないなんてことも…。

一歩間違えればサービスの提供に支障も…。緻密なシミュレーションで無事故を実現

1本ずつ確認… 気が遠くなりそうです…。

小林

提供中のサービスに必要な光ケーブルが集中している近辺での作業や、装置の電源を触る作業、クレーンでの搬出作業など、繊細な注意が必要な作業が数多くあります。

ケーブルが何層にも重なっているので、実際にケーブルを抜くときにも緊張感が走りました。万一、途中で作業事故が起きてしまうと、その後のすべての作業が止まってしまうため、絶対に事故は起こさない決意で作業にあたっていました。

機器から抜く前に1本ずつ丁寧に確認

機器から抜く前に1本ずつ丁寧に確認

事前の綿密な調査と緊張感がある作業を経て、サービス停止などの事故もなく、無事撤去を実行!

左:撤去作業前/右:撤去作業後

左:撤去作業前 右:撤去作業後

実際に撤去してみると、ケーブルは満タン時の3分の1程度が不用だったそう。まるで地層のよう…。

撤去後はすっきりときれいになりました!

撤去されたケーブルやラックなど
撤去されたケーブルやラックなど

撤去されたケーブルやラックなど

撤去完了後にどんな変化があったのか教えてください。

城内

ラックが減ったことで風通しが良くなり空調の効率があがったので、一部の空調を停止することができました。撤去前から比べると電力使用量が約30%も減ったんです。

一歩間違えればサービスの提供に支障も…。緻密なシミュレーションで無事故を実現

節電だけじゃない。大掃除にはこんな効果もありました!

小林

節電効果だけでなく、無駄な設備が無くなったことで、故障が起きても作業しやすくなったり、事故防止にもつながっています。そして、なんといっても、機器室がすっきりして気持ちが明るくなりました(笑)

城内

今回、ラックとケーブルの配線構造を記録していたのが紙だったことで、大変苦労したので… 今回の撤去をきっかけとして、管理方法を見直しました。紙からデータベースでの管理に変更したことで、現場に行かなくてもどこからでもすぐ構造が分かるようになりました。おかげで、さまざまな作業の計画を立てるのも非常にスムーズになりました。

今回撤去作業を行ったネットワークセンター以外にも、不用な設備があるセンターがありますので、同じような対応を進めて行きたいと思います!

ありがとうございました。

(掲載日:2023年3月1日)
文:ソフトバンクニュース編集部