春はたくさんの花が咲いて、景色の彩りがにぎわう季節。咲き誇った桜に感動してスマホで撮影する機会も増えるでしょう。しかし、目で見た景色、記憶に残っている鮮やかな景色に比べて撮った写真がイマイチ… なんてことはありませんか?
「お花見で美しく撮ってSNSに投稿したい」「ライトアップされた夜桜をキレイに撮影したい」そんな思いをかなえる、ワンポイントテクニックを紹介します。ちょっとした工夫で、見違えるほどキレイに撮れるようになると思いますよ。
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この記事で紹介するスマホの操作手順は、一般的な操作を掲載しています。機種によって異なる場合があります。
神崎 洋治(こうざき・ようじ)さん
TRISEC International,Inc.代表。テクニカルライター兼コンサルタント。報道写真や商業写真を年間4,000枚以上撮影。デジタルカメラやレタッチ関連の書籍も多く執筆、監修しているほか、初心者向けに撮影やレタッチ講座の連載、人を引きつける写真の撮り方の講演実績など多数。
Twitter:@internetman
目次
【基本編(1)】すぐに使える撮影テクニック
桜のような特定の被写体を撮影する場合、スマホでの撮影のポイントは「被写体にピント(フォーカス)を合わせ、明るさに気をつける」ことです。基本編として、この2点を紹介します。
①フォーカス(ピント)を合わせる
スマホでフォーカスを合わせる方法は、スマホの撮影画面で一番撮りたいと思う被写体をタップするだけです。次の写真の場合は花びらの部分をタップすることで、桜の花びらにフォーカスを合わせてくれます。また、フォーカスだけでなく、最適な明るさになるように自動で調整されます。
②明るさを調節する(露出補正)
身近なシーンで桜を撮影する場合、下から見上げて撮ることが多いと思います。見上げて撮ると、撮る花が陰になり、さらに晴れた日でなければ暗く写ってしまうパターンがよく見られます。そこで活用できるのが、スマホの明るさ調整「露出補正」機能を使う方法です。
露出補正の操作方法
iPhoneの場合
フォーカスと明るさを合わせたい場所をタップすると、太陽のマークが表示されるので、その付近を指で上下になぞって調整します。指で上になぞると明るく、下になぞると暗くなります。
Androidの場合
フォーカスと明るさを合わせたい場所をタップし、上側に表示される太陽のマークを指で左右になぞって調整します。指で左になぞると明るく、右になぞると暗くなります。
③日の光を意識して撮影しよう
日中の撮影では、日の光を意識しましょう。基本的には太陽を背にした状態(太陽の光を桜が正面から受けている状態)、「順光」で撮影してください。
晴れの日は青空を少しでもいれて撮るだけで気持ちの良い写真になりますよ。
【基本編(2)】プロも顔負け!? さらに美しく撮る撮影テクニック
次に、スマホでさらに美しく撮るためのテクニックとして「ポートレート機能」と3つの構図(日の丸構図、三分割構図、対角線構図)を使った方法を紹介します。
①ポートレート機能を使う
一眼レフのカメラで人物を撮った写真など、被写体にピントが合っていて、その前後のモノや風景が大きくボケている写真を見たことがあると思います。スマホでも望遠で背景にある程度のぼけのある写真を撮ることができますが、デジタルエフェクト技術を活用し、背景をぼかして被写体を際立たせた写真にしてくれるのが「ポートレート機能」です。この機能は人物だけでなく、桜のような花、料理、静物写真にも使うことができます。
ピントが合う距離の範囲「被写界深度」は撮りたい写真で使い分けよう
左の写真は通常の撮影、右の写真はポートレート機能で背景をぼかして撮影をした写真です。ポートレート機能でピントが合う距離の範囲が狭い写真を「被写界深度が浅い写真」、逆に手前から背景までピントが合っている写真は「被写界深度が深い写真」と呼びます。被写界深度は使い分けることで、上の例では左が桜と赤い橋双方を見せたい場合に、右は桜を主体にして赤い橋が雰囲気を引き立てるような写真になります。
②構図を工夫しよう
桜の写真に限らず、撮影で重要なのは「構図」です。何気なくスマホのカメラを向けて撮影するのではなく、構図を少し意識するだけでもステキな写真に変わります。これは一眼レフカメラでも同じテクニックです。知っておくと役立つ代表的なものとして「日の丸構図」「三分割構図」「対角線構図」を押さえておきましょう。
日の丸構図
スマホの画面越しに見える景色を「フレーム」と呼びますが、主題になる被写体をフレームの中心に置いて撮る構図を「日の丸構図」と言います。日の丸の赤い◯を被写体に見立てるイメージです。日の丸構図は無難で落ち着きがある一方、単調になりがちなデメリットもあります。
三分割構図
桜を背景に人物をいれて撮影するときに使える、便利な構図です。フレームに縦横に3本の線を引き、その線上または交点に被写体を置いて撮る構図です。撮影時のスマホ画面に表示される「グリッド」機能を使うと便利です。スマホのカメラの設定には「グリッドを表示」する機能がありますが、これを活用するとよいですね。
対角線構図
被写体を対角線上に配置する構図です。風景写真だけでなく料理の写真でも活用できます。
対角線構図を使った例です。
③桜とのコラボ写真に挑戦
次に桜ともう1つ被写体を組み合わせたコラボ写真というテクニックがあります。桜にワンポイントが入ることで印象が変わる写真に仕上がりますよ。
【応用編】ライトアップされた夜桜を撮ろう
桜はライトアップし、夜桜も風情があって魅力的ですよね。夜の桜を撮る時のポイントと注意点を紹介します。
①夜景モードを使う
夜の写真はフラッシュを使いがちですが、夜桜の撮影には向きません。「夜景モード」で撮影し、ライトアップされた自然な景色を撮影する方がすてきな写真になります。最近のスマホでは暗い場所だと自動的に「夜景モード」に切り替わります。
iPhoneの場合
画面左上に黄色いマークとシャッター時間が表示されます。シャッターを押した後、撮影が完了するまで時間がかかるので、スマホを動かさないようにしましょう。
Androidの場合
機種によって異なりますが、シャッターボタンの下の「カメラ」が選択されているところをスワイプすると「夜景モード」が選択できます。シャッターボタンが三日月のマークになっていると「夜景モード」で撮影ができます。シャッターを押した後、撮影が完了するまで時間がかかるので、スマホを動かさないようにしましょう。
「夜景モード」の撮影は手ぶれに注意
「夜景モード」はシャッタースピードを長くすることで光を多く集めているため、シャッターボタンを押して、シャッター音がなってから、2回目のシャッター音がなるまで撮影を続けています。そのため、撮影の間にスマホを動かすと手ぶれが起きてしまいます。
撮影中はスマホをなるべく動かさず、脇を締めてしっかりとスマホを固定して撮ることで手ぶれを防ぐことができますよ。なお、ズームなどで倍率を大きくする(望遠)場合は手ぶれが激しくなるので注意してください。
②ライトアップされた光の向きを意識しよう
日中の撮影では太陽の位置が重要なのと同じように、夜桜の撮影ではライトアップの向きに注意するとよいでしょう。結論から言うと、「ライトが当たっている方向から撮る」ことが重要です。例えば、下からライトアップされている場合は、少しかがんで下から撮ると桜の色が出てキレイな写真になります。
③夜桜とのコラボ写真に挑戦
夜桜でもワンポイントの被写体を加えることで、夜桜を単体で撮影した場合と印象が違う写真に仕上がります。一例を紹介します。
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(掲載日:2023年3月15日、更新日:2024年3月15日)
文・写真・監修:神崎洋治
編集:ソフトバンクニュース編集部