災害が起きたとき、水道、電気、ガスなどのライフラインの確保は大変重要です。
今年発生したトルコ・シリア大地震でも、JICAの国際緊急援助隊が災害時の水問題の解決策として「WOTA BOX」を活用していました。100Lの水で約100回のシャワーを浴びることができる「WOTA BOX」。災害派遣トレーニングに参加し、実際に体験してきました。
災害時の水問題に立ち向かう「WOTA BOX」
私たちの生活に欠かせない「水」。2004年に発生した新潟県中越地震に関する内閣府の住民アンケート調査※によると、公的避難場所に避難した人の不満として上位に挙げられていたのが、過密によるプライバシーなどの問題と、風呂や洗濯、トイレといった断水に伴う水まわりの不満でした。大規模災害が起きて上下水道が断水した場合、復旧作業が長期化することが懸念されており、2011年に発生した東日本大震災では、90〜95%程度の復旧までに約1カ月の期間を要しています。水が利用できない環境は精神的、肉体的に大きな影響をもたらします。
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内閣府「平成16年新潟県中越地震に関する住民アンケート調査調査結果」
そうした災害時の断水による水不足を解決し、シャワーや手洗いなどで避難所の衛生環境の向上を目指すのが、「WOTA BOX」です。
ソフトバンク株式会社と資本・業務提携をしているWOTA株式会社独自のAI・IoT技術を使った水処理自律制御技術により、排水の約98%を再生循環し、公衆浴場基準をクリアした水として供給。100Lの水で約100回のシャワー入浴を実現します。配管工事が不要で電源さえ確保できれば短時間で設置が可能。さらに、センサー・アルゴリズム による水質監視・管理により、せっけんやシャンプーを利用した水でも再利用でき、災害時などでの活用が期待されています。
災害派遣トレーニングで「WOTA BOX」を実際に体験
ソフトバンクとして「WOTA BOX」のデモ実演を行うために、国内外の被災地で救助・救命活動を行う災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団 "ARROWS"」(運営:特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)の災害派遣トレーニングに参加してきました。
訓練会場にあったセット、これが「WOTA BOX」です。もっと大掛かりな機械などを想像していましたが、この一式でシャワーが浴びられるなんて…。
まずは、シャワーを浴びるのに必要なタネ水を100L入れます。
次に、脱衣テントとシャワーテントを組み立てます。
複雑な配管のようなものは見当たらず、チューブを挿して電源スイッチをオンにすると…
たった15分程度で設営完了! シャワーから水がしっかり出ています。
この日、外はひんやりしていたのですが、中に入るとあたたかい…。また、シャワーテントは脱衣テントに覆われているので、プライベート空間が保たれています。2人で入っても余裕の広さだったので、1人ではもちろん、家族などのグループでも利用できますね。
しかもシャワーからの水は…
「あったかい…!」
なんと、「WOTA BOX」の屋外シャワーキットには給湯器がついており、温水が出るのです。国内外の災害現場で医療支援経験があり、実際にシャワーを浴びた参加者からは「災害時にあたたかいシャワーを浴びられることはとても貴重、ありがたい」との声も。
その後も、「WOTA BOX」を体験すべく、参加者が次々と訪れていました。
参加者からは、「夏の時期の災害は特に衛生問題が悪化する。シャワーがあるとうれしい」「テントの中は暖かく広い。外の声は聞こえるが、プライバシーが守られている」との感想を聞くことができました。
関連プレスリリース・お知らせ
- プレスリリース:AIやIoTを活用した水の再生処理技術を持つWOTAと資本・業務提携~水道インフラの維持が困難な過疎地域などにおいて、水道インフラから独立した分散型の新たな水供給システムの構築を見据えて~(2021年5月10日 ソフトバンク株式会社)
- 災害時における断水による水不足を解決し、感染症防止へ シャワーや手洗い等で避難所の衛生環境向上を目指すプロジェクト『#避難所の衛生を守れ』を7月10日(金)より始動(2020年7月1日、WOTA株式会社)
(掲載日:2023年6月13日)
文:ソフトバンクニュース編集部