SNSボタン
記事分割(js記載用)

AI時代の到来、「反転攻勢の時期が近づいている」 - ソフトバンクグループ株式会社 第43回定時株主総会レポート

AI時代の到来、「反転攻勢の時期が近づいている」 - ソフトバンクグループ株式会社 第43回定時株主総会レポート

2023年6月21日、ソフトバンクグループ株式会社の第43回定時株主総会が開催されました。 本年も、出席や議決権行使、質問などは株主専用ウェブサイトを通じてオンラインで行われ、併せて希望する株主は東京国際フォーラムの会場にて決議に参加。代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義が議長を務め、報告事項、決議事項議案、事業戦略のプレゼンテーションと質疑応答を行い、4つの議案について決議が行われました。

AI時代の到来、「反転攻勢の時期が近づいている」 - ソフトバンクグループ株式会社 第43回定時株主総会レポート

人類の未来のアーキテクトとしての役割を果たす

プレゼンテーションの冒頭、孫は、「いよいよ反転攻勢の時期が近づいていると感じております」と切り出しました。昨年の10月、自身の事業家としての人生を振り返り、「この程度でよいのだろうか」「自分がやりたかったことは何か」と自問自答した結果、「自分が人類の未来のアーキテクトとしての役割をいささかでも果たすことができたら」と、自身の役割を再確認したと話しました。

そこからAIの世界の先を思い描くようになり、8カ月間で約630件もの発明をし、AIが人類の未来に与えるその影響の根源になるところの発明・発案をせっせとやっていると言います。

孫は「人類の未来の本質に関わる、創造性に富んだ活動を中心にやっている。幸せいっぱい、忙しさいっぱい」と、それらの取り組みが結果的にソフトバンクグループの事業経営に寄与することになるだろうと語りました。

人類の未来のアーキテクトとしての役割を果たす

さらに孫は「今私が一番関心を持って仕込み中のこと。それは、AI革命」と続け、地球上で最も優れた頭脳を持つ動物である人類をAIが超える技術的特異点「シンギュラリティ」を迎えることにより、近い将来、人類はAIに一気に追い抜かれるだろうと予測します。短期間に急速な拡大を遂げた「ChatGPT」を例に挙げ、現在はテキストベースの会話(=チャット)にとどまらず、画像や音声・動画なども取り込んで対応できるレベルのGPT-4になったと紹介しました。

またグループ企業内で生成AIを活用したアイデアコンテストを行ったことに触れ、「ソフトバンクグループをあげ、このAI革命、情報革命の先端を担っていきたい」と力を込めました。

コンピューティングの進化によりAIが自己進化し自己増殖

コンピューティングの進化によりAIが自己進化し自己増殖

孫は、AI革命についての説明をさらに続けます。

もとは計算機の役割であったコンピューターが膨大な情報を扱うようになり、インターネット上にあるデータから必要な情報を取り出すための検索技術が出現。コンピューターは「計算マシン」から「記憶マシン」、「検索マシン」へと変化を遂げてきましたが、GPT-4はさらに、AIが得意とする「推論マシン」へと進化させたと述べました。

自身のアイデア発案の際にGPT-4を使っているという孫は、議論の掛け合いを通じてGPT-4の底知れぬ力を実感。皆がよく知っている物語の続きを書かせてみたり、斬新な設定を提示し絵画を描かせてみたりした結果、もはやAIにとっては芸術や創造も可能な領域であり、全方位から蓄積した知識を元に洞察する「創造マシン」になるだろうとの予想を示しました。

コンピューティングの進化によりAIが自己進化し自己増殖

また現時点のAIの知能レベルを示しつつ、「私の予想では、少なくとも全人類の英知の総和の1万倍ぐらいのレベルになるのではないか」と述べ、その時期が数十年後に迫っていると改めて強調しました。1万倍という予測は、将来的なArmチップの設計能力の試算に基づく現実的な数字だと、孫はその根拠を説明します。

人類の未来に幸せをもたらす超知性。進化を支えるArmチップにより反転攻勢へ

現在のGPT‐4はすでに人間がプログラムしているものではなく、自らがデータを取得して学習し、自らが推論している状況であり、いずれはAIが自ら進化し自己増殖する「超知性のAIマシン」が登場すると指摘。孫は、人類をはるかに超えた「超人類の誕生がもう目の前にやってきている」と語り、これまで人類が解決できなかったようなさまざまな難問を解決し、多くの人々に、より幸せで豊かな社会をもたらしてくれると、AIの進化をさらに加速させることの必要性を示しました。

Armのチップはスマートフォンに限らずコンピューティングの世界のありとあらゆるセンサーやデバイスに搭載され、その数は1兆個を超えると見込まれていることから、孫は、AIの進化の中核にはArmがいるとして、「いよいよArmも大爆発的成長の入り口に入った」と力強く語りました。

コンピューティングの進化によりAIが自己進化し自己増殖

「AIは超知性として、単なる知識だけではなく、知恵の世界、創造の世界まで含めて、われわれ人類の未来をより豊かに、より幸せに、より素晴らしいものにしてくれる手助けをしてくれる。そういうものにしてくれると私は心の底から信じている」と未来に向けた展望を述べ、プレゼンテーションを締めくくりました。

最後に孫は、「いよいよ反転攻勢」と繰り返し、徹底的に守りに入った3年間を経て「5兆円を超える手元流動性を持っている。守りは十分できた」とし、「ワクワクしている」とこれから攻めに転じる意欲を見せました。

コンピューティングの進化によりAIが自己進化し自己増殖

グループの中核企業であるArmのCEOが取締役に就任

質疑応答を経て、「剰余金の処分の件」「取締役9名選任の件」「監査役1名選任の件」「子会社持分譲渡(現物出資)契約承認の件」の4議案の採決が行われ、全ての議案が原案通り承認可決されました。

この決議で新たにレネ・ハース氏が取締役に就任しました。ハース氏は、大手半導体メーカーのNVIDIAの幹部職を歴任し、2013年に Armへ入社。2017年1月からは同社 IP Products Group(IPG)のPresidentを務め、その後、2022年2月にChief Executive Officerに就任しました。

経営管理やテクノロジーに関する豊富な知識と経験を有しているハース氏は、ここ1年半ほどは孫と密にコミュニケーションを取り仕事をしていると言います。取締役就任のあいさつとして「ソフトバンクグループの取締役に選任いただき大変光栄です。今後は皆さまの力となれるよう努力していきたい」と意気込みを述べました。

グループの中核企業であるArmのCEOが取締役に就任

第43回定時株主総会についてはこちらからご覧いただけます。

動画 動画配信
決議内容・資料 第43回定時株主総会

(掲載日:2022年6月20日、更新日:2022年6月23日)
文:ソフトバンクニュース編集部