2023年8月8日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2024年3月期 第1四半期 決算説明会が開催され、取締役 専務執行役員 CFO 後藤芳光が連結業績と今後の方針について説明しました。
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ビジョン・ファンドの投資損益が6四半期ぶりの黒字転換
冒頭、後藤は「この3カ月間、株式市場は非常に堅調に推移してきている。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、SVF)の上場株もポジティブに推移し、NASDAQに近づいている。慎重に投資を行った結果、SVF事業単体の投資損益は6四半期ぶりに黒字転換、累計の投資損益は6四半期ぶりに反転した」と述べました。
第1四半期の投資額(SVF1、SVF2、ラテンアメリカファンド、SBGほか)は18億ドルで「AIの流れのなかでリレーションを持ちたい企業群に対して、しっかりした意思決定のもと、慎重に投資している」としました。
第1四半期の連結業績は、売上高1兆5,575億円、投資損失6,990億円、税引前損失1,762億円、純損失4,776億円となりました。投資損益は前年同期比プラス2兆1,355億円と大きく回復。6,990億円の損失には、先渡売買契約等で資金化を完了したアリババ株式の保有分の未実現評価損失の5,534億円が含まれるが、アリババ株式を利用した先渡売買契約等に係るデリバティブ関連利益7,699億円で相殺されることもあわせて説明しました。
第1四半期の純損失4,776億円について、「純損失には円安が進んだことによりPL上計上される為替差損4,646億円が含まれるが、円安に伴い損益計算書上では、外貨建ての借り入れの元本の損失が増えたという評価上の話。重要なNAVへの影響は1.3兆円のプラスであり、円安は非常にプラスと捉えている」と説明しました。
重要指標が全て改善。慎重に投資を再開
2023年6月末時点におけるSBGの最重要指標は、NAVが15.5兆円、LTVが8%、手元流動性が5.8兆円と、いずれも2023年3月末から順調に回復し、財務の安全性は盤石であることを説明しました。
SVF1、SVF2、ラテンアメリカファンドの投資損失は、合計10億ドルで着地。SVF1は、89.6億ドルの投資額に対して102億ドルの累計投資成果、SVF2は520億ドルの投資額に対して330億ドルの累計投資成果でした。
ポートフォリオの価値変動については、2023年6月末は2023年3月末に比べ、投資時点よりも価値が増えた社数が増加、価値が減った社数が減少したことに触れ、「潮目の変化が起きており、既存の投資先にもポジティブな変化が見え始めているが、まだまだ油断はできない。SVFをしっかりモニタリングして、投資先と向き合っていく」と力を込めました。
第1四半期のSVFの新規投資は9億ドルとなり、「昨年1年間に比べると、ファーストからセカンドにギアチェンジした程度」と話しました。
約440社のSVFの投資先については、「すでに約50社が日本で事業を開始している。日本市場においては、ソフトバンク株式会社が中心となって日本の総代理店としての役割を担っている」とし、ソフトバンクグループ全体でSVF投資先企業の日本市場進出をサポートしていることを説明しました。
また、2018年度〜2022年度のSBG連結ベースの法人所得税の支払額合計は2兆6,124億円で、うち国内は2兆1,909億円、海外は4,215億円であったこと、日本における連結法人所得税支払額のランキングはこの5年間で第3位であったことを説明。「われわれは、さまざまな持株会社を通じて投資をしています。その持株会社による売却に対する税金は、その持株会社が税金を払う。2022年度の2,142億円は、持株会社レベルで支払っていると見ていただければと思っている」と強調しました。
2023年度の財務戦略として「通常時LTV25%未満での運用」「少なくとも2年分の社債償還資金」「グループからの配当収益SVFや子会社から継続的な配当収入を確保」の3つの方針を示しました。守りと攻めを両立する財務方針を堅持する中で、「世界をリードする投資会社として投資を行っていく。株主還元や財務改善を行い、投資家との約束を守っていく」と締めくくりました。
2024年3月期 第1四半期決算説明会
- プレゼンテーション資料(PDF形式:5.61MB/71ぺージ)
- 短信、データシートなど決算説明会関連資料
(掲載日:2023年8月7日、更新日:2023年8月10日)
文:ソフトバンクニュース編集部