パブリッククラウド比較 AWS・Azure・GoogleCloud・Alibaba Cloud・IBM Cloud

2023年5月15日更新
2018年5月9日掲載

パブリッククラウド比較

※【情報更新】2023年5月15日 :パブリッククラウドの市場と最新動向

日本国内のパブリッククラウド市場は近い将来数兆円を超える規模になると言われている。世界に目を向けると、Amazon Web Services (以下AWS)、 Microsoft Azure(以下Azure)、Google Cloud に続き、Alibaba Cloud(アリババクラウド)などの新興勢力もシェアを伸ばしています。

本項では、パブリッククラウドの特長や導入メリットを整理し、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Alibaba Cloud、IBM Cloudの主要クラウドサービスを中心に、プライベートクラウドやオンプレミスとの違いを解説する。ぜひ本ブログとともに、関連資料「世界5大パブリッククラウド比較ガイド」も参考にしてください。

目次

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドとは、企業や個人など不特定多数のユーザに対し、インターネットを通じて、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェアなどのクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことを言います。

特定ユーザにのみ向けたコンピューティング環境であるプライベートクラウドと異なり、パブリッククラウドは高額のハードウェアや通信回線を自社で購入・保守する必要がなく、必要なときに必要な量のクラウド環境を、素早く利用することが可能になります。ストレージやデータベースを追加したい場合でも、サーバの契約を意識することなく、サービスとして利用できることが導入のメリットです。

サービスによってはインターネットから分離された閉域ネットワークを活用したセキュアな環境を提供しているものもあり、基幹系システムでも安全に低遅延で使うことができます。

国内でも通信事業者などを中心に閉域ネットワークを提供するサービスを展開しており、例えばソフトバンクでも、クローズドネットワーク経由で各種クラウドサービスへアクセスする接続サービス「OnePort」を提供しています。

また、多くのサービスでは使用分に応じて料金が発生するため、少量の使用ならば比較的安価に利用でき、料金さえ支払えばほぼ無制限にリソースを拡大できることも大きな魅力と言えます。

パブリッククラウドの市場と最新動向

調査会社のIDC Japan※1によると、2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は2兆1,594億円と、前年比29.8%増の成長が見込まれています。また、2026年の市場規模は2021年比約2.6倍の4兆2,795億円になると予測しています。

また、総務省※2によると、2021年には、クラウドサービスを一部でも利用している国内企業の割合は70.4%に上っており、2017年からの4年間で13.5ポイントも増加しています。

パブリッククラウドの市場と最新動向

世界5大パブリッククラウドと選び方・比較

ここからは世界の5大パブリッククラウドの特長などを説明します。最初に紹介した「世界5大パブリッククラウド比較ガイド」でも取り上げているので、ぜひ参考にしてみてください。

世界5大パブリッククラウド
  • 各種数値などは2022年7月1日時点の各社Webサイト記載のもの。

Amazon Web Services (AWS) とは

Amazon Web Service(AWS)とは、Amazonが提供するパブリッククラウドサービス。世界26のリージョン、84のアベイラビリティーゾーンで運用されており、日本には東京と大阪にアベイラビリティゾーンがあります。近々、オーストラリア、カナダ、インド、イスラエル、ニュージーランド、スペイン、スイス、およびアラブ首長国連邦 (UAE) に 24 アベイラビリティーゾーンと8リージョンが追加される予定です。

2004年からサービスを提供しているシェアNo.1のサービスで、ストレージには一日の長があります。

パブリッククラウドのデファクトスタンダードとも言えるサービスであり、サービス系アプリやビッグデータ分析、ストレージなど、幅広い利用に適した優等生な性能を誇るため、パブリッククラウドを比較検討する際にはまず候補に入れるべきでしょう。

Microsoft Azure とは

Microsoft Azureとは、Microsoftが提供するパブリッククラウドサービス。世界60のリージョン、140ヵ国でサービスを提供してる。Office 365などのMicrosoft製品との親和性が高いことも特長のひとつです。

市場唯一の一貫性のあるハイブリッドクラウドを謳っており、既存のシステムからスムーズに移行しやすいです。Active Directoryとの連携に長けており、Active Directoryを導入している企業にとっても移行しやすいサービスでしょう。

また、Azure Marketplaceに多種多様なアプリケーションが用意されているため、さまざまな機能拡張を比較的容易に行えます。

用途としては、Microsoft製品との連携が要件に入る場合はまず検討したいクラウドです。Active Directoryを使ったイントラネットなどをクラウドに移行したい場合などにも有効です。

Google Cloud とは

Google Cloudとは、Google が提供するパブリッククラウドサービスです。世界29のリージョン、88のゾーン、180ヵ所超のネットワークエッジのロケーション、200以上の国と地域でサービスを提供しており、2016年には東京リージョン、2019年には大阪リージョンの運用を開始しました。現在、日本には東京に3ゾーン、大阪にも3ゾーンが開設されています。

Google 検索や Gmail 、YouTube 、 Google マップなど、 Google の各種サービスを支えるプラットフォームと同等の、高性能で高速、セキュアで安定した強固なインフラを利用できます。

また、多様な言語に対応したPaaSである Google App Engine は、アプリケーションのユーザが急激に増えた際にも自動的にスケールされるため、大規模なユーザ増にも耐え得ます。

サービス系アプリだけでなく、わずか数分でテラバイト単位のビッグデータを処理できるBigQueryや、ディープラーニング用サービスのCloud Machine Learningなども優れているため、機械学習を活用したビッグデータ解析を行いたい場合には検討したいクラウドです。

また、 Google が提供している Gmail や Googleカレンダー 、スプレッドシートなどのクラウドサービスとの連携にも最適で、Google App Engine も利用可能なため、これらの Google 製品を活用している場合は、真っ先に検討するとよいでしょう。

Alibaba Cloud(アリババクラウド)とは

Alibaba Cloudとは、アリババ・グループ(阿里巴巴集団)が提供するパブリッククラウドサービスです。

2,800超のCDNノードと84のアベイラビリティゾーンを持ち、27のリージョンと世界200の国と地域で提供されている。日本では東京リージョンに2ヵ所のアベイラビリティゾーンを開設しています。

とりわけ中国では、2,300以上のCDNノード数、12リージョン、複数のアベイラビリティゾーンを展開しており、全世界でも230万以上のユーザを抱えています。

Amazonに並ぶECサイト「Tmall(天猫)」や、1秒間に140,000件の支払いを処理して世界記録を塗り替えた「Alipay(支付宝)」等をホストしているものと同等のクラウドインフラストラクチャと、高水準の国際基準に準拠したデータセキュリティを完備した、強力でセキュアなインフラ基盤を利用できます。

用途としては、アジアを発信地とした急成長するビジネスのIT基盤にパブリッククラウドを考えているなら、Alibaba Cloudを検討するとよいでしょう。将来的には中国含めたグローバルビジネス展開が視野にあるならば、Alibaba Cloudが選択肢として有力です。

IBM Cloud とは

IBM Cloudとは、IBMが提供するパブリッククラウドサービス。フォーチュン50社中47社が利用するなど、安全で敏速なパブリッククラウドです。AIやIoT、ブロックチェーンなどを含む170を超えるサービスを備えたフルスタックのクラウドプラットフォームを謳います。

IBMは8,000人以上のセキュリティの専門家を擁しており、利用者が鍵を保持することでIBM社員ですらデータにアクセスできなくするなど、厳しい要件を満たすデータ暗号化を実現しています。

KubernetesやIBM Watson APIを含む40以上の無料サービスを含む、データ、AI、コンテナ、IoT、ブロックチェーンなど、170以上のサービスを利用できる、フルスタック・クラウド・プラットフォームを謳っています。

IBM WatsonなどのAIを用いた高度でセキュアなデータ活用を必要とするサービスをパブリッククラウド上で展開したい場合には、IBM Cloudは選択肢に入るでしょう。

5大パブリッククラウドの比較については「世界5大パブリッククラウド比較ガイド」でより詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

パブリッククラウドの利用シーン

パブリッククラウドの利用シーンを一言で表すならば、「利用するリソース量の増減が頻繁に想定されるとき」に尽きます。

パブリッククラウドの主な特長は、
 ①少量から膨大なリソースまで、必要なときに必要な量だけ利用できる
 ②使用分に応じて料金が発生する従量課金制
の2つに集約されます。このようなパブリッククラウドの特長は、サーバやストレージなどの必要なリソースを素早く揃え、サービスのスケールに応じて拡張したいケースには最適だと言えます。

パブリッククラウドが存在しなかった時代には、サービス提供者は最大の利用量を想定したインフラを常に用意して保守する必要があり、結果、膨大なコストを支払う必要がありました。しかし、パブリッククラウドでは利用したいときに利用したいだけのリソースを素早く得られるため、急なリソース不足にも柔軟に対応できます。

また、パブリッククラウドは利用者側によるハードウェア等のメンテナンスを必要とせず、高性能なクラウド環境をセキュアに利用できることも重要なポイントです。

プライベートクラウドとの違い、使い分け

パブリッククラウドは素晴らしく、プライベートクラウドは時代遅れで使えないのか、というと全くそんなことはありません。これらには明確に使い分けができます。

プライベートクラウドの強みは、第一に環境を占有できることにあります。ほかの企業やクラウドサービスの提供者に合わせる必要がないため、ハードウェアやOS、データベース、ソフトウェア、セキュリティ環境、回線などを自由に設計することができます。

パブリッククラウドを利用する場合、データをサービス提供者に委ねなければならないし、サービスの範囲内でしかカスタマイズできません。また、ハードウェアやクラウド基盤の状態を利用者側が把握・管理することもできません。コンプライアンスやガバナンスの面から、こうしたリスクを許容できないケースもあるはずです。その場合は、プライベートクラウドが選択肢のひとつとなります。

ソフトバンクが提供するパブリッククラウドサービス「ホワイトクラウド ASPIRE」は、高品質の環境とあわせて自由自在で柔軟な構成を実現でき、基幹系業務アプリに強いのが特長です。このような特長は、AWSやGCP、Azureなどにはないため、独自の環境を構築したい場合、「ホワイトクラウド ASPIRE」を選択すべきでしょう。

オンプレミスとクラウドとの違い、使い分け

オンプレミスとは、ハードウェアからソフトウェア、回線、データセンターまで自社で用意する自社サーバのことを言います。クラウドサービスが普及する以前は最もありふれた形態でした。

インフラを構築するための初期コストが高く、時間もかかり、保守メンテナンスや災害対策も必要と、デメリットが目立ちますが、プライベートクラウド以上に完全な自由設計が可能であり、クローズドな環境なでデータが外部の環境に置かれることがないことが強みだと言えます。

例えば、顧客情報など取り扱いに対して一定のレギュレーションやガバナンスに従う必要がある場合、そもそもクラウドを選択できないこともあるでしょう。そうした場合には、オンプレミスでのインフラ構築が今でも重要となります。

オンプレミスとクラウドの違い

まとめ

パブリッククラウドは正しく活用すれば、コストや時間、性能、セキュリティなどの面で大きなメリットを生みますが、自社にあったパブリッククラウドサービスを選ぶことは、なかなか難しいともいえます。本項がパブリッククラウド検討の一助となれば幸いです。

関連資料

世界5大パブリッククラウド比較ガイド

世界5大パブリッククラウドの特長や製品、料金の比較について解説します。

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