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こんにちは。ソリューションアーキテクト部の吉村です。
この記事は、Alibaba Cloudの認定資格であるACP Cloud Networking Certificationを取得した際の体験記です。
試験の概要やネタばれにならない程度に出題内容を解説をしていきます。
日本ではあまり認知されていないと思いますが、Alibaba CloudでもAWSやAzureと同じような技術者向けの認定資格があります。
認定は役割(ジャンル)毎に分かれており、さらに、ACA/ACP/ACEの3段階のレベルで試験が用意されています。
例えば、Alibaba Cloudの基礎知識となる Cloud Computing では、ACA Cloud Computing、ACP Cloud Computing、ACE Cloud Computing という3段階の認定があります。
初めての方は、まずはACA Cloud Computingを受験から始める、という具合です。
試験の全体像は公式サイトにあるこちらの図が分かりやすいので、公式サイトからご確認ください。
試験費用は120ドル~168ドルとなります。
ほとんどの資格は合格から2年間が認定有効期限となり、更新時は試験費用が半額になっていたりします。
また、試験の対応言語は英語、中国語、日本語の3つがありますが、日本語で受けられない試験もあります。
2023年3月時点での各試験の対応言語、試験時間、問題数、紹介リンクを以下にまとめておきます。
最も難しいレベルのACEはまだ2種類しかありません。
ACA | ACP | ACE | |
|---|---|---|---|
Cloud Computing | 日本語・英語 / 90分 / 50問 | 日本語・英語 / 90分 / 70問 | 英語 / 150分 / 75問 |
Big Data | 日本語・英語 / 90分 / 60問 | 日本語・英語 / 120分 / 60問 | 英語 / 150分 / 50問 |
Security | 日本語・英語 / 90分 / 60問 | 日本語・英語 / 120分 / 80問 | - |
Database | 英語 / 90分 / 50問 | - | - |
Cloud Networking | - | 英語 / 120分 / 100問 | - |
EDCT | 英語・中国語 / 90分 / 50問 | 英語・中国語 / 120分 / 75問 | - |
Cloud Native | 英語 / 90分 / 50問 | 英語 / 120分 / 100問 | - |
System Operator | 英語 / 90分 / 50問 | 英語/ 90分 / 70問 | - |
Developer | 英語 / 90分 / 50問 | - |
本記事で紹介するACP Cloud Networkingの試験概要と問題サンプルはこちらから確認できます。
以下は2023年3月時点の情報ですので、最新情報は上記リンクからご確認ください。
120分の試験で100問が出題されて、65点以上を獲得すれば合格です。
問題は4つの選択肢から単一選択する問題が65問、複数選択する問題が35問、合計100問が出題されます。
1問1分で回答していく算段ですので、時間的な余裕があまりないように感じてしまうかもしれません。
しかし、実際には1問毎の問題文が短い文章となっており、試験時間120分は余裕のある時間だと感じました。
稀に長文問題もありますが、それでも英文10行程度の量なので読みやすかったです。
英語があまり得意でない人でも馴染みのあるIT用語だと集中力を切らさずに受験できるのではないでしょうか。
また、ネットワーク試験らしく計算問題もありましたが、暗算で計算できる易しさでした。
ちなみに、私の場合はACP Cloud Networkingと同時期に、Azureのネットワーク資格である「AZ-700: Microsoft Azure ネットワーク ソリューションの設計と実装」も受験しました。
正確には比較できないでしょうが、AzureのAZ-700は日本語で受験したにもかかわらず時間が足りなかったので、ACP Cloud Networkingの方が時間的に余裕を感じました。
とはいえ、Alibaba Cloudに関する基本的な知識がないと問題文がスラスラと読めないと思うので、やはりCloud Networkingの前にはCloud Computingの資格を取得することをお勧めします。
例えば、VPC、EIP、NAT Gateway、SLB、CDN、DNSなどの知識は他のパブリッククラウドを利用したことがあれば大体は理解出来ると思います。
一方で、CEN、SAG、EIP Bandwidth Plan、GA、中国リージョンに関するプロダクトなどはAlibaba Cloudを使ったことがないと分からない部分ではないかと思います。
試験シラバスによると、以下のような問題配分とのことです。
この問題配分の中に苦手なジャンルがあり、正答率に偏りがあったとしても合否には関係ありません。全体で65点以上取れば合格はできるので積極的に挑んでみてください。
また、Alibaba Cloudの場合には明らかに他のクラウドの資格試験と異なる点があります。
それは、Alibaba Cloudの特徴である中国リージョンを絡めた問題です。
パブリッククラウドの知識ではなく、ICP登録といった中国インターネットの知識を問う問題といえます。
こちらについては試験対策を後述します。
私が考えた試験対策を紹介します。
シラバスで出題範囲となっているネットワークプロダクトの各ドキュメントをリンクをご紹介しておきます。
まずは、これらのプロダクトがどのような役割で、どのシナリオで利用するのかを覚えましょう。
また、チュートリアルまで読むとどうしても時間が掛かってしまいます。試験問題でも具体的な実装方法についての出題は少ない印象ですが、それでもいくつかのプロダクトは設定の順番を問われたりします。この部分は時間の許す限りコンソールで触って覚えた方が良さそうです。
出題範囲のネットワークプロダクトの課金方法とスペックは可能な限り暗記しておくことをお勧めします。
このプロダクトの課金は、従量課金かサブスクリプションか定額のリソースプランか、などです。
上記の各ネットワークプロダクトのリンクだと、EIP Bandwidth Plan と Data Transfer Plan はプロダクトというよりも課金方法の説明になります。
一般的にクラウドと言えばインターネットアウトバウンドのトラフィック費用は従量課金になっていますが、Alibaba Cloudにはトラフィックの定額データプランがあるため、他のパブリッククラウドに慣れている方はトラフィック費用=従量課金と思い込まないように注意してください。
その他にも、NAT GatawayやALBといったプロダクトは、インスタンス課金(時間課金)+CU課金(1時間毎のCapacity Unit課金)の合計で算出されます。
この場合、インスタンス費用の単価(1時間●●ドル)は覚える必要はありません。
一方で、CUの仕様(計測されるメトリクスと性能上限)は覚えておきましょう。
CUの仕様は細かい暗記となるため少し面倒ですが、頑張って覚えておくと良いことあるかもしれません。
Alibaba Cloudの強みである中国、東南アジアを含むグローバルWANアーキテクチャを構築する際に、どのプロダクトを組み合わせるかを勉強しておきましょう。
例えば、日本のオフィスと中国のオフィスをエンドツーエンドで接続したいという場合には以下のような構成があります。
VPN Gatewayで中国拠点と中国VPCをIPsec接続、CENを利用して中国VPCと東京VPC/VBRを接続、Express Connectで日本本社と東京VBRを閉域接続。
このような構成例がパッと頭に浮かぶ場合は大丈夫です。
可能でしたら、グローバルWANの中心的なプロダクトであるCENについては具体的な構築方法も覚えておくと良いでしょう。
ネットワークの試験なので、当然ながら技術的な問題がメインで出題されます。
そのため、ほとんどの問題はネットワークエンジニアやクラウドエンジニアにとっては解きやすい問題だと思います。
しかし、一部の問題では中国特有の問題が出てきます。これらの問題はAlibaba Cloudでも中国リージョンを利用してたり、中国ビジネスを経験した人じゃないと問題文の理解や解答の根拠を導き出すのが難しいと思います。
例えば、「ICP登録をしていない香港リージョンのWebサイト」という状態が何のことか分からないと解答が難しいなどです。
ICP登録の申請方法までは覚える必要がありません。
ICP登録が必要なリージョンとプロダクトはなにか、ICP登録が取れない場合にはどのようなアーキテクチャが適切かが問われます。
手前味噌ですがICP登録の試験対策としては是非こちらの記事を参考にしてみてください。
本記事でのACP Cloud Networkingのご紹介は以上です。
最後に余談ですが、ソフトバンクには多くのAlibaba Cloudエンジニアがおり、Alibabaとも協力しながらAlibaba Cloudを学ぶ環境を整えています。
これほどAlibaba Cloudの資格保有者がいる会社は世界的にも珍しいのではないかと感じています。
もし我々と一緒に Alibaba Cloud を勉強したいという方がいたらお気軽にご相談ください。
Alibaba Cloudエンジニアによる勉強会 AliEaters でも継続的に活動しているので、そちらのご参加も大歓迎です。
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