Looker 、Looker Studio 、Looker Studio Pro の世界観で構築するデータマネジメント

2023年12月28日掲載

キービジュアル

データドリブンな戦略策定や生成AI の活用など、日々変化の速いビジネスにおいて、データを活用するためのデータマネジメントの重要性が高まっています。

Google はデータ分析の分野においてもリーダーとしての地位を確立しており、2020年に買収を完了したLooker を通じて柔軟でパワフルなデータ分析環境を提供しています。Looker はGoogle Cloud のスケーラビリティと安定性を活かし、Looker 自体にデータを持たないことで、データベースの性能を活用して高速なパフォーマンスを維持することができます。

本ブログでは、Looker 、Looker Studio 、Looker Studio Pro の基礎知識とそれぞれの企業のニーズに応じた使い分け、データ活用のステップなどをご紹介いたします。

目次

Looker とは

Looker は、集計前のデータモデル作成や可視化後のデータ連携・エクスポートまでカバーした「データプラットフォーム」です。

Looker は企業として統一管理されたデータから必要なインサイト(発見や気づき)を導きます。インサイトは導くだけでは限られた価値しかありません。そこでLooker のもつデータ連携やエクスポート機能を活用し、経営層や社内、顧客含めた多くの人の判断のフローに入り、経営判断への活用や顧客への有益なデータの提供につながります。社内のデータの価値を最大化の手助けをすることができる、それがLooker です。

Lookerとは

Looker の主な特長は、データ価値の最大化に重要な、ニアリアルタイム性とデータガバナンス、活用の拡張性にあります。

ニアリアルタイム性

Looker はそれ自体にデータを持ちません。データのアップロード工程がないため処理速度が処理性能に縛られることがなく、処理速度の速いデータベースの利用が可能となります。また、ニアリアルタイムの最新データを取得して分析し、ダッシュボードやレポートに最新の情報を反映させることができます。

関連ブログ:Looker を BigQuery に接続してみる

データガバナンス

LookMLと呼ばれる専用のデータモデリング言語を使用し、モデルとビューを作成することができます。

LookMLで企業内の部署ごとのデータ定義のばらつきを抑え、データの一貫性を担保しながらそれぞれの部署の観点からの分析を支えます。例えば、「売上」の数字ひとつをとっても、「実際の請求金額」や「注文書の記載金額」、「税別、税込がバラバラ」であったりすることはよくあることかと思います。このような定義の不明確なデータを活用した意思決定は、誤ったデータに基づいた誤った判断につながりかねません。LookMLで共通のデータ定義をつくることで、データに一貫性をもたせ、企業としての経営判断や横串のデータインサイトの実現につながります。

関連ブログ:LookML でビューやモデルを定義する

活用と拡張性

Looker は、APIとの統合、既存システムとのシームレスな連携、既存ビジネスワークフローへの組み込み、そしてさまざまな外部データベースとの接続も可能で、広範なカスタマイズと拡張性があります。さらにこれらをエンジニアに頼らず、簡単に連携・実装することができるのも大きな特長です。

例えばSlackやSalesforc などの既存の業務ツールに連携しレポート配信することで、データ分析結果が、誰にも使われない/活用されないというよくあるケースを防ぎます。

さらには、業務フローの中に分析結果の表示やタイムリーな判断を組み込めば、社内データを価値あるデータとしてお客様に提供する形でアウトプットし、直接的・間接的なマネタイズも実現できます。

Looker についてより詳しく知りたい方は下記ブログを参照ください。
関連ブログ:データプラットフォーム「Looker」 の機能紹介

Looker Studio とは

Looker Studio はGoogleアカウントがあれば利用できる無料のデータ分析・可視化ツールです。Google Workspaces を利用している場合、管理コンソールでLooker Studio サービスを有効化するだけで利用できることもあり、活用シーンが増えています。

※旧名称はData Studio(Data Portal)です。2020年2月にデータ分析企業Looker の買収に伴いLooker Studio に名称変更されました。名前が紛らわしいですが、前述のLooker とはコンセプトも製品としても全く異なるサービスです。

主な特長

①データソースとの接続:800種類をこえるデータソースと接続できます。またデータベースに加え、Google Workspace のスプレッドシートデータなどWebアプリやCSVファイルなども読み込めます。

②簡単に可視化ができる:レポートやグラフのテンプレートが豊富に用意されています。

③シンプルな操作で作れる:ドラッグアンドドロップなどシンプルな操作でレポートが作成できます。

最近は分析するデータの置き場としてBigQuery にデータを格納し連携させるなど、Google Cloud を活用し、Looker Studio の利便性をより向上させる動きも活発になっています。

利用イメージやユースケースがまとめられているブログもぜひ参考にしてください。

関連ブログ:Looker Studio ~ユースケースに沿った見せ方を作成してみた~

Looker Studio Pro とは

Looker Studio Pro は、Looker Studio の有償のProfessional プランです。

Looker Studio は無料で使え、すぐに今手元にあるデータを分析するには良いツールですが、企業や部門で使う場合に、サポートがない、それぞれが作ったレポートが乱立し管理ができなくなるなどの課題が発生します。Looker Studio Pro は、企業や部門でLooker Studio を活用する上で発生するそれらの課題を解決します。

Looker Studio Pro で付加される主な機能

  1. 組織管理機能
  2. チーム間のコラボレーション
  3. サポートとSLAの提供

また、今後も企業向けの機能はどんどんアップグレードされる予定とのことです。

利用するには

Looker Studio Pro の導入にはGoogle Cloud の開通が必要です。Google Cloud のプロジェクトにLooker Studio Pro を紐づけて管理するためです。

オンライン購入ができない、組織単位でしか加入できないなどの購入方法も改善がすすみ、やっとオンラインでの購入とアカウント単位での購入が可能となりました!(2023年10月現在)

導入手続きの煩雑さや、限られた部署でのみLooker Studio Pro を利用する場合に懸念された予期せぬ課金リスクが解消されたことで、Looker Studio からの次のステップとして今後より機能拡張が期待されるLooker Studio Pro の利用も、選択の候補に入ってくるものと思います。

Looker 、Looker Studio 、Looker Studio Pro を比較する

Looker 、Looker Studio 、Looker Studio Pro は、データ分析とビジネスインテリジェンスの分野で機能的に異なる役割を果たしています。企業の現在のステージ、ニーズに応じて、最適なソリューションを選択いただき、Looker Studio からLooker Studio Pro やLooker へのステージアップを狙ってはどうでしょうか。

 Looker 

Looker Studio 

Looker Studio Pro 
概要

全社的なデータ統一が可能となり、経営判断に活用できる正確なデータ分析を継続的に行うことができる。

1回限りの分析を行うことができる。手元にあるデータを使った手軽な分析ができる。

Looker Studio の有料版。権限管理の拡大とGoogle Cloud カスタマーケアを通したサポートが受けられる。

範囲

全社レベル

下記表:レベル3

部署

下記表:レベル1

部門、プロジェクト

下記表:レベル2

ターゲット
ユーザ
  • データガバナンスやデータセキュリティを重視している
  • SQLを書く頻度が高い
  • データ抽出が担当者に依存している
  • ワークフローにデータを統合させたい
  • 将来的にデータの価値をお客様へ提供しマネタイズしたい
  • 気軽にデータ分析をはじめたい
  • 手元にあるデータを分析してみたい
  • テンプレートを使った定型レポートを出したい
  • Looker Studio で作成されたレポートを組織や部門で管理したい
  • Looker Studio を使っているが、チーム間共有を効率化したい
  • サポートがほしい
  • Google Chat やGoogle Slide との連携機能がほしい

成熟度レベルの基本的な考え方

まとめ

Looker 、Looker Studio 、Looker Studio Pro の利用は、ビジネスのデータ分析の効率化を進めます。さらにデータの可視化や柔軟なクエリ、カスタムビジュアルなどの機能は、データドリブンな意思決定の推進と競争力を高める企業の動きを加速させることになります。

企業としてのデータ活用にはいくつかのステージがあります。まず、特定の部署や少人数でまずはデータを分析して活用していこうというステージ。気軽に手元にあるデータを活用していきたい場合がこれにあてはまり、Looker Studio からスタートするのがおすすめです。

Looker Studio の利用が広がると、高度な分析をしたい、利用者が増えることで発生する問合せ対応を効率化したい、データを使ったチーム間のコラボレーションをしたい、といった要望が出てくるでしょう。その時はサポートが受けられてチーム間共有が効率化できるLooker Studio Pro への移行のタイミングです。

そして最後は全社的にデータ活用を進めていこうというステージで、データ定義の統一が不可欠となります。全社のデータを横ぐしで見て、経営判断や新たなデータの価値を生み出すことを目指したり、顧客への自社データの価値の提供によるマネタイズには、Looker をおすすめします。

ソフトバンクはGoogle Cloud 、Looker のパートナーとして、お客様のどのステージのデータ活用にも最適なご提案を用意し、それぞれのステージでお客様のデータの価値を最大化するお手伝いをさせていただきます。

関連資料

5つのQ&Aで理解する「 Looker 」の世界

Lookerがどのように企業のデータ活用を促進するかをご紹介します。

関連ブログ

関連サービス

Looker

Looker は、定義から集計、可視化の一連のデータ分析プロセスをカバーするBIツールを超えるデータプラットフォームです。すべて共通の指標定義なので、誰が分析しても同じ結果を出すことができ、ビジネスの意思決定を的確に行うことができます。

Google Cloud

Google サービスを支える、信頼性に富んだクラウドサービスです。お客さまのニーズにあわせて利用可能なコンピューティングサービスに始まり、データから価値を導き出す情報分析や、最先端の機械学習技術が搭載されています。

MSPサービス

MSP(Managed Service Provider)サービスは、お客さまのパブリッククラウドの導入から運用までをトータルでご提供するマネージドサービスです。

関連セミナー・イベント

条件に該当するページがございません

おすすめの記事

条件に該当するページがございません