Google Cloud Next Tokyo'24 レポート -  Gemini for Google Workspace の現状と今後

2024年10月3日掲載

キービジュアル

皆さん、こんにちは。

Google Workspace 導入/技術サポート チームです。

本記事では、少し前になりますが2024年8月1日、2日にパシフィコ横浜で開催された Google Cloud Next Tokyo ‘24 に現地参加した際のSE目線で感じた現場の雰囲気や、Google Workspace の今後の動向についてお届けします。

日本開催ということで、国産企業の生成AIに関する動向や今後取り組みなど、日本の生成AI最先端について多くの発表が有りましたので、それらについても共有させていただきます。ぜひ、ご一読ください!

目次

この記事では
  • 2024年8月にパシフィコ横浜で開催された Google Cloud Next Tokyo ‘24 に現地参加した際のSE目線で感じた現場の雰囲気や、Google Workspace の今後の動向についてお届けします
  • Google Cloud プロダクトに興味がある人、Google 社のイベントに今後参加予定の方を対象としています

はじめに

皆さん、Google Cloud Next Tokyo というイベントをご存知でしょうか。Google 主催で毎年開催される Google Cloud Next と呼ばれる大規模なグローバルカンファレンスのうち、日本企業の Google プロダクト活用状況や日本での利用に特化した Google プロダクトのアップデート情報が発表されるカンファレンスです。

今年4月にラスベガスで開催された Google Cloud Next in Las Vegas については別ブログGoogle Cloud Next '24 レポート:Google Workspace 注目機能と現地で感じた AI 先進国でまとめておりますので、ぜひご覧ください。

Google Cloud Next Tokyo のイベント期間としては2024年8月1日から2日の2日間で、生成AI サービスの日本語対応や自治体での活用事例など日本開催ならではの Google プロダクトに関する情報が発表されました。有名企業や自治体での Vertex AI や Gemini for Google Workspace といった生成AIの活用状況に関するセッションを中心に参加させていただきましたが、4か月前の Google Cloud Next in Las Vegas で感じた「日本は生成AI活用に出遅れている」という感覚が間違っていたのでは?と感じるほど国内でも生成AIの熱が上がってきていると実感しました。

Google Workspace 関連の更新情報やセッション / ブースでの感想をお伝えし、現在の日本における生成AIの動向を感じていただき、今後の企業戦略として生成AIをどのように位置づけするべきか、何を行っていくべきかを検討するための材料にしていただければ幸いです。

 

Google Workspace 関連のアップデート

Google I/O 2024年など別カンファレンスで既に発表されている情報もありましたが、最新情報を含め日本国内ユーザーが注目する Google Workwpace 関連のアップデートが幾つか基調講演の中で発表されました。今後リリース予定の機能も含まれますので、SE視点でどのような活用が見込まれるか?どのような価値を発揮していくか?に着目しながら紹介させていただきます。

1. Gemini for Google Workspace サイドパネル機能 日本語対応版リリース

やっときたか、、と感じた方も多くおられるのではないでしょうか。Gemini for Google Workspaceのメイン機能の1つであるサイドパネルがアルファ版としてリリースされることが発表されました。

サイドパネル機能とは、Google Workspace を使う上で馴染みの「Gmail」「Googleスライド」「Googleドキュメント」「スプレッドシート」「Googleドライブ」に組み込まれた生成AI機能であり、社内ドキュメントの検索や資料生成などグループウェア上でのあらゆる作業の効率化を図ることが期待されるものです。これまでは、Google アカウントの言語設定を英語に変更して、英語入力・出力としてしか利用できなかったため、夢のある機能だけで結局あまり活用できていないという企業様はたくさんおられたと思います。

サイドパネルが日本語対応することで、日本国内の Google Workspace 全ユーザーがサイドパネルを真の意味で使いこなし「始めること」が出来ると考えています。Gemini for Google Workspace の最大の強みは何といっても「ドライブに格納されている社内データを活用できる」点にあります。日本語対応が開始されましたら、このポイントに着眼してぜひとも活用を進めていただきたい気持ちでいっぱいです。ドライブ活用が余り進んでいない企業様においても、このアップデートを機に、社内データのクラウド化を進め、既存データのフル活用による業務効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

2. Gems

Google I/O 2024年で既に発表されていましたが、この度改めて最新情報として基調講演でお披露目されました。Gems とは、ペルソナや前提条件、シチュエーションなどをプリセットし、パーソナライズされたAIチャットを作ることができる機能です。当機能を利用することで、ゼロからプロンプトを入力する必要が無くなり、AIチャットをよりシンプルかつ短時間で利活用できるようになることが期待できます。
※本記事の投稿時点では既にリリースされておりますので、ぜひお試しください。

 

~ Gems 利用画面 ~

 

3. Meet リアルタイム翻訳 日本語含む69言語対応

現在、Google Meet で利用できる翻訳機能は日本語含む69言語の各組合せで利用可能になりました。グローバルで働く企業様にとって、言語の壁は大きな障壁の1つになっているかと思いますが、Meet を利用することでこの課題も解決することができると考えています。現時点で日本語未対応ではありますが、議事録の自動生成機能である「Take notes for me」を併せて使うことで、今まで国内に留まっていた企業様に関しても、グローバルな商談の機会や新しいメーカーとの連携が可能になり、より大きな市場開拓への一歩を歩みだせるもしれません。
翻訳機能は2025年1月22日以降、Gemini for Google Workspace ライセンスが無いと利用できなくなります。現在 Google Workspace ライセンスのみでご利用中の皆様は、Gemini for Google Workspace ライセンスを購入頂くことで継続利用可能になりますので、ご注意ください。
参考:Google Meet で字幕の翻訳機能を利用する
 

4. Workspace 拡張機能(Geminiアプリ)

Gemini ライセンスを付与したユーザーが利用できる Gemini アプリにおいて、Workspace 拡張機能がベータ版で発表されました。既にコンシューマー向け Gemini では利用できる機能でしたが、この度 Google Workspace においても入力情報がモデル学習に利用されないセキュリティが強化された形でリリースされました。サイドパネル機能とは異なり、チャット形式で Google ドライブおよび Gmail のデータを参照した回答を取得できるようになり、サイドパネルと併用することでさらに RAG(検索拡張生成)による社内データの活用を進める事ができると考えています。
Gemini アプリは棒グラフや折れ線グラフ、表など情報整理機能を備えていますので、社内データの活用幅は広がること間違いなしです。

また、先日 Gemini アプリ上でローカル / 共有ドライブ / 共有アイテム のファイルをアップロードする機能もリリースされました。Gemini アプリの拡張機能ではファイル横断での検索を、アップロード機能および Google ドライブのサイドパネルでは特定ファイルの要約を行うといった使い分けになると想定しておりますので、ぜひ皆様もご自身の業務に併せて使い分けてして、活用を進めてください。

現地参加を通じて

本イベントでは、様々なセッションやブースが展開されておりましたが、その中でもGoogle Workspace の現在を特に実感いただけそうな弊社ブースおよび Google社 ブースについてご紹介させていただきます。

ソフトバンクブースの様子

弊社ブースでは、Gemini for Google Workspaceを始め数多くの取扱いプロダクトについてミニセッションを開催させていただきました。ここでは、その1つである【お迎え前にこれだけはやっておこう! Gemini for Google Workspace ~確認したい5つのポイント~】について少し触れさせていただきます。

当セッションでは、Gemini for Google Worksppace を導入する前に対応しておくことで導入後の活用効果を高めるための事前準備について発表されておりました。イベント開催時点では、多くの機能が日本語未対応であったため、多くの企業様がその対応を待っており具体的な動きが出来ていない状態だったと思います。詳細な説明は割愛させて頂きますが、重要な観点として、【日本語対応してから動き始めよう】では遅いということです。生成AIの活用が日常化する中で何も動けていない現状だと、間違いなく世間から、ひいてはグローバル企業の動きに対して出遅れてしまいます。Gemini for Google Worksppace の活用ポイントの1つとして【Google ドライブのデータを参照出来る】ことが挙げられます。事前準備としてドライブの整理を行うことや運用方針の見直しなど動き出してみてください。また、Gemini および Gemini for Google Worksppace の管理画面上の設定や機能は日々更新されております。それらを定期的に確認し、今から使える機能は検証した上でどんどん使い始めて下さい。この記事が、来たるサイドパネル日本語対応やそれ以降の日本語対応発表でスタートダッシュを切るためのきっかけになれば幸いです。

 

~ミニセッションの様子~

 

 

Google Cloud ブース

Google Cloud の最新技術を実際に触れることができるブースが幾つか展開されていました。本記事では【Google Worksppace】エリアに絞ってお届けします。当エリアでは、「Chrome OSとPixel」「Chrome Enterprise」「Gemini for Google Workspace」「AppSheet」4四本柱で展開されていました。特に私が興味のある領域として、「Chrome Enterprise」および「AppSheet」についてレポートします

Chrome Enterprise は Chrome ブラウザを利用したエンドポイントセキュリティの強化を実現する仕組みであり、最近発表された「Chrome Enterprise Premium」ライセンスを利用することで、最先端のセキュリティ機能を搭載することができます。詳細な機能は別ブログChrome Enterprise Premium (CEP) によるシンプルで効果的なセキュリティ対策で公開しておりますので、ぜひご覧ください。

当ブースでは、Chrome Enterprise が提供する各機能の威力を体感することができ、多くの方が Chrome ブラウザでこんなこともできるんだ?と新しい発見をされたことだと思います。近年、SaaS 製品や IaaS 上に構築したアプリケーションなど、多くのツールを使う上で Chrome ブラウザは入口となっています。ブラウザベースという新しいセキュリティソリューションにより、どのようなセキュリティ強化が実現可能かを体験していました。
 

AppSheet はノーコードで利用できるアプリ開発ツールです。一般的なタスク管理アプリから Google Worksppace 各サービスのデータと連携したアプリまで多岐に渡るアプリケーションを直感的に作成することができます。とはいえ、アプリ開発というだけでハードルが高く感じてしまっている方も多くおられるのではと思います。この度、AppSheet に Gemini が搭載されることになり、前述のようなハードルを超えられない方でも容易にアプリ開発へ着手できるようになります。Gemini in AppSheet では、作りたいアプリケーションのアイデアを自然言語で記述して Gemini に指示することで、アプリの設計内容を提案してくれます。日々の業務において、ツール導入を行うほどでもないけど可能なら効率化したい、といったことは多くの場面であると思いますが、Gemini in AppSheet を利用することで多くの皆様のこの課題を解決できるようになると考えています。

 

Google Workspace 今後の展望

Google Cloud Next in Las Vegas に引き続き、今回も生成AIのセッション / ブースが多々見られました。それほどまでに、日本でも生成AI活用の熱が上がってきており、【試す】段階から【使う】段階へ明確にシフトしていることが伺えます。Google Workspaceはある程度成熟したサービスですので、今後は生成AIをどのようにして併用させていくかがポイントになっていき、生成AIとの組み合わせによりさらに Google Workspace を活用していくことができると考えています。

Geminiに関連した内容として、「Gemini 1.5 Pro」モデルが LMSYS Chatbot Arene Leaderboard の「overall」および「Japanese」部門で1位を獲得したことを発表しました。Gemini for Google Workspace にも搭載されている Google の最新モデルであり、日本語利用開始が期待されている現状において、さらに期待値が高まったのではないでしょうか。間もなく Gemini for Google Workspace の主要機能である「サイドパネル」が(アルファ版から)日本語対応しますので、早く使いたい!!と思っている方々はたくさん居られると思いますし、私もその1人です。

※本記事の執筆時点では、別企業のモデルが1位となっております。

サイドパネルを始め、今後 Google Worksppace のあらゆる機能に Gemini は搭載されているくことが予想されます。グループウェアである Google Worksppace は日々の業務で欠かせないツールであり、そこにアドオンされる Gemini for Google Worksppace も同様にいつか欠かせない日がやってくると考えています。日常的に使うツールを使い倒すことが業務効率化の近道であり、Gemini for Google Worksppace も例外ではありません。既に導入されている企業の方は Gemini アプリを始め、全ての Gemini 機能を使っていただき、皆様の業務内容に活用できるもの、そうでないものをいち早く見出してください。その先に初めて業務改革が垣間見えます。Gemini for Google Workspace の導入 = 業務改革 ではないことを認識していただけますと幸いです。

今後 Gemini for Google Workspace を導入される企業様は、先駆者である企業様の事例を元に、皆さまの業務で考えうるシナリオを全て洗い出してください。今からでも遅くありません。日本企業として全員で知恵をふり絞って Gemini for Google Workspace の活用を推進していく流れができることを願っています。私たちも、Google Worksppace を国内で最も販売しているパートナーとして、Gemini for Google Workspace 活用の有り方について最前線で考え、発信していきます。

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。Gemini for Google Workspaceがもたらす生成AIの波は日本でも大きく到来しており、それに逆らうのではなく如何に乗りこなしていくか、SE目線でお伝えさせていただきました。もちろん押し売りしたいという気持ちではなく、当たり前になるツールをぜひ前もって準備し、業務活用のスタートを切ってほしいという思いでございます。

日々のアップデート情報を積極的にキャッチアップし、生成AIの最前線を走り抜けて行ってください。

最後になりますが、当イベントの最後に来年の Google Cloud Next Tokyo 開催が発表されました。【使う】段階へシフトした生成AIの醸成がどのような局面を迎えているか、Googleプロダクトがどのような影響を世の中に与えているか、創造すらできませんが大変楽しみでおります。開催情報は以下の通りです。

・開催日:2025年8月5日(火)- 6日(水)
・会場:東京ビックサイト 南展示棟
・URL:Google Cloud Next Tokyo ’24

今後も Gemini for Google Workspace および Google Worksppace に関するお役立ち情報等を随時発信していきますので、次回発信の際もご覧頂けますと幸いです。

 

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