フォーム読み込み中
2025年3月14日掲載
こんにちは。ソリューションエンジニアの谷口陽聖です。
今回は、AWS Certified Machine Learning Engineer – Associateに1000点満点で合格したので、取り組んできたことを紹介していきます。
もともとAWSのML/AI系のサービスを触っていたわけでも、ゴリゴリに試験対策をやっていたわけでもない私が満点合格できたので、ゼロからAWSのML系の知識を習得したい人向けに有益な情報になればと思います!
また社会人3年目のエンジニアとして、あるべき技術との向き合い方を改めて実感する良い機会にもなったので、そちらについても紹介しています。
ぜひ記事を最後まで読んでみてください!
AWS Certified Machine Learning Engineer – Associate(AWS認定 機械学習エンジニア – アソシエイト)(以降、MLA)とは、2024年に新設されたAWS認定資格の1つで、クラウド上での機械学習本番運用スキルを認定する中級レベルの試験です。
新設された認定試験ということで、実は2025年2月15日までに合格すると、Early Adopter(アーリーアドプター)のデジタルバッジも授与されます!
記事冒頭の試験結果の通り、ちょうど2025年2月15日に合格したので、Early Adopterのデジタルバッジもいただくことができました!(ちょっとギリギリを狙いました笑)
試験範囲はデータ準備からモデル開発、デプロイ、運用・監視・セキュリティまで幅広い内容が出題されます。特に Amazon SageMaker 関連の問題が多く、前処理・学習・チューニング・デプロイ・モニタリングといったAmazon SageMaker上での一連の作業理解が問われます。
AWS公式の試験ガイドでは「Amazon SageMakerをはじめとするAWSのサービスを利用したMLエンジニアリングの経験が1年以上ある」ことが推奨されています。機械学習の基礎知識(アルゴリズム、評価指標、ハイパーパラメータ調整など)やPython実装スキル、そしてAWSの基礎サービスの理解も必要です。
詳細は是非AWS公式の試験ガイドをご確認ください!
そんな初心者に毛が生えた程度の私が試験対策として用いたのは以下のUdemyの教材です。
MLA-C01 / AWS Machine Learning Engineer Associate 対策テスト4回+@
日本語で解説してくれるこちらの対策テストは、新設されたてで日本語での情報や参考書は特に少ないEarly Adopterからすると非常に助かりました。
MLAではどのような観点がどのような形式で聞かれるのかイメージすることができ、MLA受験本番の抜け漏れを潰してくれたのは間違いなくこちらの教材でした。
同部の2024 Japan AWS Top Engineersの平尾さんもこちらの教材を基に学習され、高得点で合格されていたため、信頼性はある程度保証できるかなと思います!
一方で、私が自信をもってこのようなTechBlogを書けるようになったのは、本章以降で紹介する勉強方法(取り組み)のおかげだと思っています。
それはズバリ、輪読会です!
私の部署では有志で集まり、輪読会を実施するという文化が醸成されつつあります。
(されつつある段階ですが、効果を非常に実感しているので、しっかり醸成させ、当たり前の文化に発展させたいなと活動しています!)
先輩の助言もあり、今まではイチ参加者だった輪読会で、企画、運営に挑戦してみることになりました。そのときに選んだ課題図書が以下の本です!
AWSではじめる生成AI -RAGアプリケーション開発から、基盤モデルの微調整、マルチモーダルAI活用までを試して学ぶ-
こちらの本は、数日で読破できるようなビジネス書みたいなものではなく、理論やコードから生成AIを理解する本であり、数か月かけて輪読会メンバーで議論を重ねながら読み進めてきました。
また生成AIに触れていく中で、データの取り扱いがより重要になってくると考え、以下の本でも輪読会を行いました。
データエンジニアリングの基礎 -データプロジェクトで失敗しないために-
輪読会で議論を重ねることで、単なるインプットではなく、「なぜか」を徹底的に考え抜き、「何となく」を排除していくことができました。
今までMLA以外のすべてのAWS認定試験に合格してきましたが、いずれの試験でも何となく理解したなという段階で満足してしまっていた感がありました。
試験に合格するためにはややオーバーワークだと思いますが、AWSや生成AIについて真の自信がつけられる機会になりました。
輪読会で培った、(特にAWSで)生成AIはどのように考え、どのように扱うべきかという基盤の思想があったからこそ、3章で紹介した問題集の対策で1000点満点取得までもっていくことができたと実感しています。
※輪読会は入社後3年間で以下のようなものを行ってきました。これらの開催方法等については別記事にて詳細をご紹介します!
| 年次 | テーマ | 課題図書 |
|---|---|---|
| FY22(1年目) | デジタルマーケティング | |
| FY23(2年目) | プロダクトマネジメント | |
| FY23(2年目) | アジャイル/プロダクトマネジメント | |
| FY23(2年目) | アジャイル | |
| FY23(2年目) | アジャイル | |
| FY24(3年目) | 生成AI | |
| FY24(3年目) | データエンジニアリング |
またインプットだけでなくアウトプットも知識の定着、考えの整理に繋がりました。
ともに2024 Japan AWS Jr. Championsに表彰されたNRIネットコム大林さんとアジアクエスト井川さんと協力して2024 Japan AWS Jr. Champions が語る生成 AIというイベントに登壇し、生成AIの基礎から、生成AIの業務活用、生成AIの可能性について講演しました。
登壇を通じて、生成AIの最新トレンドや実践的なユースケースに関する知見が深まったのはもちろん、自分の言葉で語れるようにする過程で自分の理解を整理する絶好の機会となりました。整理する中で、根拠をもって講演できるように徹底的に調査したことも、知識の定着、深化に寄与しました。
また、登壇者間でのディスカッションを通して、他のプロフェッショナルからのフィードバックを受け、実務に直結する情報を得ることができました。これにより、試験対策としてもAWSのサービスや生成AIの応用に対する視野が広がり、実践的な知識が身についたと感じています。
その他にも、社内で生成AIを活用したソリューションを拡販する部隊のノウハウを収集、周知するワーキンググループ「AI Working Group」(以下、AIG)のリーダーを務め、まだ世にあまり出ていない生成AI案件から得られたノウハウを組織知とするための活動を推進してきました。この活動により、インプットした情報の実践機会と、実際の案件で得られたノウハウを組織へインプットする機会の両方を同時に得ることができ、加速度的にML/AI関連のノウハウを手に入れることができたと考えています。
では、ここまで紹介した活動、勉強方法が、AWS公式のMLA試験ガイドに記載されているスキル領域にどのように寄与しているかまとめてみます。当然どの活動もどのスキル領域に対しても寄与してはいますが、その中でも特に好影響を与えたものに注目して紹介します。
AWS MLAで必要とされるスキル領域は、大きく「第1分野: 機械学習 (ML) のためのデータ準備」、「第2分野: ML モデルの開発」、「第3分野: ML ワークフローのデプロイとオーケストレーション」、「第4分野: ML ソリューションのモニタリング、保守、セキュリティ」の4つに分類されます。
こちらの分野では、多様なデータソースからのデータ収集、クレンジング・前処理、特徴量エンジニアリングを通じて、学習に適した高品質なデータを生成するプロセスに関する知識を習得することが求められています。結果的には試験で問われる問題としてもAWSのML/AIサービスを活用した回答を行うことになりますが、なぜそのようなサービスが必要なのか、有効なのかを理解している必要があります。その理解には、『データエンジニアリングの基礎』の輪読会が特に有効でした。高品質なデータの考え方から、技術要素、組織の在り方まで深くディスカッションすることができ、Amazon SageMaker Data WranglerやAWS Glue DataBrew等のML/AIツールの有用性を深く理解することができました。何となくツールを使うのではなく、基盤の知識を有した上で活用する方法を検討できるようになったことで、実践的なスキルと試験で必要な考え方を同時に習得できたと考えています。
こちらの分野では、準備したデータと解決したい問題を基にモデリングアプローチを選定し、要件を満たすためのトレーニング、改良を行い、パフォーマンスを分析するプロセスに関する知識を習得することが求められています。AWSで使われているMLアルゴリズムを理解する機会はなかなかないですが、こちらの知識を習得するためには、AWSのML/AIサービスがどのように構成されているかから理解する必要があります。その理解には、『AWSではじめる生成AI』の輪読会が特に有効でした。どのような仕組みや技術を組み込んで構成されているかはもちろん、他の参考書ではなかなか見たことがないサンプルコードが記載されており、実際にAWSのサービスで開発をしてみることができるようになっています。自分で開発することで、改良する方法や評価する方法についても理解度が深めることができました。
こちらの分野では、実際にAWSのML/AIサービスをデプロイするためのスキルを習得することが求められています。この時、単にデプロイするだけでなく、IaCやCI/CDを活用した自動オーケストレーションも併せて抑えておく必要があります。自動オーケストレーションは、継続的に改善が必要なML/AIサービスでは特に重要視されていると考えています。これらのスキルや知識は、実際に構築してみた経験がないと習得するのが困難だったと感じています。そのため、最も役立ったのは趣味半分で検証環境を触った経験でした。実際に触ってみると、デプロイに必要な構成要素を把握し、検討しなければいけない項目を洗い出すことができました。これらを全て自身で経験することは難しいので、生成AIイベント『2024 Japan AWS Jr. Champions が語る生成 AI』で他社がどのような事例を実践してきたか深掘ってディスカッションできたことは非常に良い機会となりました。自身の経験を自分だけのナレッジとして留めない重要性にも改めて気づく機会となりました。
こちらの分野では、デプロイしたML/AIサービスの性能監視、データドリフト検知、セキュリティ対策等の継続的な運用のために必要な知識の習得が求められています。これらは様々なAIを活用した環境を把握し、起こりうるリスクの検討や最新の対策を継続的に実施しておくことで身につける必要がありました。こちらの知識の習得には、AIGリーダーとしての横串での案件状況の把握と組織内共有の繰り返しが特に役に立ったと感じています。実際にAIが動いている環境を追っていくことで、潜んでいるリスクの把握、実際に起きてしまったトラブルから学ぶことができると考えています。このような事例はどんどん増えているので、AWS等のクラウドプロバイダーも多くの生成AI事例紹介イベントを開催しています。このような事例を「自分ごと」として吸収していくことで、実際に自分が継続的に運用していく際に気をつけなければいけないことに対する嗅覚が鋭くなってくると考えています。
1000点満点をとれたからこそより実感できたのだろうと思いますが、認定資格を取得すること以上に大切なことを学ぶことができました。
当たり前でわかっているつもりになっていましたが、徹底的に考え抜くことが真の技術力の醸成に寄与することを改めて実感できたことは、社会人3年目のエンジニアとしては非常に大きな糧となりました。
徹底的に考え抜く。言うは易く行うは難し。
実際にやってみると挫けそうになると思います。私も1人では挫けていたと思います。
仲間と一緒に支え合いながら議論できる輪読会、イベント登壇を、皆さんも実践してみてください!
きっと技術力が一回りも二回りも成長することと思います!
最後に、私と輪読会に取り組んでくださった、大沼 貴義さん、小川 潤さん、舩渡 卓さん、内田 青空さん、本当にありがとうございました!
他の本でも輪読会を実施し、技術力を伸ばしていければと思います!
また他社ながら一緒に生成AIイベントの企画、発表を進めていただけた、NRIネットコム大林 優斗さん、アジアクエスト井川 朋樹さん、ありがとうございました!
他にもイベントの企画をしているので、是非見てみてください!
ソフトバンクはAWS アドバンストティアサービスパートナーです。「はじめてのAWS導入」から大規模なサービス基盤や基幹システムの構築まで、お客さまのご要望にあわせて最適なAWS環境の導入を支援します。
Microsoft Azureは、Microsoftが提供するパブリッククラウドプラットフォームです。コンピューティングからデータ保存、アプリケーションなどのリソースを、必要な時に必要な量だけ従量課金で利用することができます。
Google サービスを支える、信頼性に富んだクラウドサービスです。お客さまのニーズにあわせて利用可能なコンピューティングサービスに始まり、データから価値を導き出す情報分析や、最先端の機械学習技術が搭載されています。
Alibaba Cloudは中国国内でのクラウド利用はもちろん、日本-中国間のネットワークの不安定さの解消、中国サイバーセキュリティ法への対策など、中国進出に際する課題を解消できるパブリッククラウドサービスです。
MSP(Managed Service Provider)サービスは、お客さまのパブリッククラウドの導入から運用までをトータルでご提供するマネージドサービスです。
条件に該当するページがございません