Looker Studio を活用した Vertex AI ログ分析ダッシュボードの構築

2025年11月27日掲載

キービジュアル

近年、生成 AI の進化は目覚ましく、多くの企業で生成 AI サービスの業務活用が急速に進んでいます。

しかし、いざサービスを導入してみたものの、「本当に効率よく活用できているのか?」「どれくらいの頻度で、どのような目的で使われているのか?」といった、利用実態に関する疑問や悩みを抱えている方も少なくないでしょう。

導入効果の最大化やコスト最適化のためには、利用状況の正確な把握と分析が不可欠です。

 

本記事では、Google Cloud の統合AI プラットフォームである Vertex AI の利用ログを BigQuery に収集し、Looker Studio を用いることで、どのような指標やグラフを作成し、データに基づいた意思決定に役立つインサイトを得られるのか、具体的な方法を紹介します。

Vertex AI の Gemini モデルを例に挙げ、生成 AI の利用状況を Looker Studio を用いて、可視化・分析できるようにします。

Vertex AI が利用された日時や使用中のモデル、ユーザーが投げた質問およびその回答を Looker Studio で確認できるようにします。

※本記事で紹介するのは一つの参考事例です。分析したい内容や生成 AI モデルと導入時のAPI の仕様変更により、作成できるダッシュボードの内容は異なります。

目次

ダッシュボード構築までの流れ

Vertex AI の利用状況をダッシュボードで可視化するまで、以下の 3 ステップで構成されます。

  1. Vertex AI のログを BigQuery に集約する
  2. BigQuery のログを Looker Studio に接続する
  3. Looker Studio でダッシュボードを作成する

1.Vertex AI のログを BigQuery に集約する

任意のプロジェクトの BigQuery にアクセスし、BigQuery データセットおよびテーブルを作成します。

プロジェクトIDの「︙」を押下し、「データセットを作成」を選択します。
データセットの名前とリージョンを決め、作成します。


作成したデータセットの「︙」を押下し、「テーブルを作成」を選択します。
設定はデフォルトのままで、テーブル名を決め、作成します。

次に、ローカル環境に以下の内容の JSON (request.json) を作成します。
ここでは、どの BigQuery テーブルにログを集約するのかを指定します。

{
  "publisherModelConfig": {
     "loggingConfig": {
       "enabled": true,
       "samplingRate": 1.0,
       "bigqueryDestination": {
         "outputUri": "bq://<テーブルID>"
       },
       "enableOtelLogging": true
     }
   }
 }

そして request.json の格納先ディレクトリで、以下のコマンドを実行します。
どのプロジェクトの Vertex AI で、どの AI モデルのログ記録を有効化するのかを設定し、ログの出力先として、先ほど作成した request.json を適用しています。

詳細な設定方法は公式ドキュメント:ベースの基盤モデルのリクエスト / レスポンスログをご参照ください。

curl -X POST \
     -H "Authorization: Bearer $(gcloud auth print-access-token)" \
     -H "Content-Type: application/json; charset=utf-8" \
     -d @request.json \
     "https://<ENDPOINT_PREFIX>aiplatform.googleapis.com/v1beta1/projects/
<プロジェクト ID>/locations/<リージョン>/publishers/google/models/<モデル>
:setPublisherModelConfig"

複数のモデル名を設定したい場合は、
<モデル>部分を書き換え、一つずつコマンドを実行してください。

実行すると、作成した BigQuery テーブルにスキーマが作成され、Vertex AI が利用される度にリアルタイムでログが記録されます。

2.BigQuery テーブルと Looker Studio の接続

次に、ログが記録されている BigQuery テーブル を Looker Studio に接続します。

ここでは、BigQuery テーブルにあるデータから、クエリで必要なデータを抽出し、データソースとして Looker Studio に追加します。
そのため、可視化する内容に応じて、BigQuery テーブルの集計や Looker Studio 側でのカスタムクエリ構築が必要になる場合があります。

接続方法と必要なデータの抽出方法に関しては、以下の記事の「3.Looker Studio で Agent ログを可視化」で解説されていますのでご覧ください。
Vertex AI Agent Builder のログを Looker Studio で分析してみた

3.Looker Studio でダッシュボードを作成

いよいよ、本題である Looker Studio を使用したデータの可視化に進みます。

以下の公式ドキュメントで、Looker Studio の操作方法をご参照ください。
Looker Studio の使い方を確認する

 

こちらが、今回作成したダッシュボードの全体像です。 
全体構成として、4つのセクションに加え、全体に共通して適用される2種類のフィルターを設けています。

なお、例示しているログは、どのように可視化できるのかをを示すためのデモデータであり、一部手動で作成しています。実際のログ内容は、AI モデルや API の仕様の変更によって異なりますのでご了承ください。

フィルター

モデル、期間の選択ができます。

これにより、使用された AI モデルの精度や、指定した期間内における利用傾向を絞り込んで分析できるようになり

セクション1:サマリー (主要KPI)

左から

  • 総リクエスト数:指定した期間内の利用回数
  • 推定総コスト:AI モデルと使用したトークンからの概算
  • 平均応答時間(単位:ミリ秒):AI の平均応答時間
  • セーフティブロック率:セーフティー機能によって AI が会話をブロックした会話の割合

これらの指標がダッシュボード上部のKPIサマリーとして機能し、利用規模やコスト、パフォーマンス、安全性の観点からサービスを一目で評価できます。

セクション2:コスト&パフォーマンス分析

利用料金の最適化とサービス応答性の改善に必要なデータを分析します。

  • 日次コストとトークン使用量:日々の利用量とそれにかかったコストの相関関係を把握できます。
  • 高遅延リクエスト一覧:応答に時間がかかった質問文の一覧。応答に時間がかかった原因調査に繋げられます。

セクション3:ユーザーエンゲージメント分析

  • 1日のリクエスト数:AI の利用が活発な曜日や時期を把握できます。
  • 対話ラリー数:ユーザーが回答を得るまでの手間を分析できます。
  • 会話テーマトレンド:どのような会話が多いのか、トレンドを視覚的に把握できます。

これらにより、サービスの導入効果を最大化するための具体的な改善策や、ユーザーニーズに基づいた次なるビジネス施策の立案に役立てられます。

セクション4:モデル品質分析

AI モデルの応答品質と安全性を詳細に評価できます。

  • 応答完了理由:回答が途中で打ち切られていないか、応答の品質を確認できます。
  • ブロックされたリクエスト:どのような質問文がセーフティ機能に引っ掛かりブロックされたかを具体的に確認できます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

本記事では、Vertex AI の利用ログを BigQuery に収集し、Looker Studio を用いることで、どのような指標やグラフを作成し、データに基づいた意思決定に役立つインサイトを得られるのか、具体的なソリューションを紹介しました。

Vertex AI に限らず、利用状況のログを BigQuery に送信できるサービスであれば、他のモデルでも応用可能です。

例えば、Gemini Enterprise や NotebookLM Enterprise は、BigQuery にログが記録でき、同様の手法で可視化することができます。

この記事を通じて、皆さまの AI 活用がより戦略的かつ効率的になるための一助となれば幸いです。

 

そしてソフトバンクでは、このようなログ分析・可視化をはじめとする生成AI による顧客ビジネスの発展を支援しています。

ぜひソフトバンクまでお気軽にお問い合わせください。皆様のビジネス成長をサポートいたします。

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