テクノロジーが導く未来を体験。ソフトバンク 先端技術研究所の技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」レポート

テクノロジーが導く未来を体験。ソフトバンク 先端技術研究所の技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」レポート

目まぐるしい技術革新により、私たちの生活や世の中の在り方は日々変化しています。これから世界をさらに進化させるソフトバンクの最先端技術を体験できる技術展「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」が3月22〜23日の2日間にわたって、ソフトバンク本社ビルで開催されました。

ソフトバンクの先端技術研究所が発足して1年。近年注目を集める自動運転や量子技術、まだまだ進化を続ける通信技術など、研究を通して先端技術研究所が目指す未来が詰まった会場の様子を取材してきました。

目次

自動運転レベル4解禁! 一般道路での自動運転走行デモを披露

レベル4解禁! 自動運転時代の到来を支える遠隔監視システム

開催初日、東京・竹芝の会場の外では、自動運転車両の走行デモンストレーションを見ることができました。目の前を通り過ぎる車両は、人が運転しているのと遜色ない動きで自動運転で走行しているとは思えないほど、スムーズな走りでした。直線だけでなく、右左折時でも車線を外れることなく安定した走行が実現されてました。

2023年4月1日施行の改正道路交通法で、特定の条件下でシステムによる運転が可能となる自動運転レベル4が解禁されましたが、「特定の条件下」なので、まだどこでも走行が可能なわけではありません。

自動運転レベル4では、無人の自動運転車両が走れるのは特定のルートや敷地内など限定的な場所のみ。また、特定自動運行を行う際には、運用や緊急時に車内もしくは遠隔で対応を行う特定自動運行主任者の配置が事業者に義務付けられます。ソフトバンクの先端技術研究所は、将来的な運行業務の無人化を見据え、システムの稼働状況や車の位置情報、車載カメラによる車内外の映像など、走行の安全を遠隔で監視する運行システムに関する研究開発を進めています。

自動運転レベルについてかんたんに説明しています。

安全な走行を支える遠隔監視システムのデモンストレーション

安全な走行を支える遠隔監視システムをデモンストレーション
安全な走行を支える遠隔監視システムをデモンストレーション

会場では、実際の走行ルートや他の走行車両、路駐車両などをリアルに再現したデジタルツイン空間上で、最適な走行シミュレーションを行う研究や、AIを用いて遠隔監視者が1人でも複数台の監視を行える遠隔監視システムのデモンストレーションなど、安心安全で、持続性が高い自動運転の社会実装に向けて、ソフトバンクの先端技術研究所が取り組む技術開発について展示が行われていました。

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バッテリーはさらに軽量・長寿命化へ。ソフトバンクが挑む次世代電池開発

バッテリーはさらに軽量・長寿命化へ。ソフトバンクが挑む次世代電池開発

現在私たちにとって身近な軽量・大容量の電池といえばスマートフォンやモバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池ですが、IoT機器の普及や産業分野でのドローンやロボットの活用が増えていくと、より軽量で長時間かつ大容量の電力を供給できる電池の需要は今後さらに拡大してくことが見込まれています。

ソフトバンクの先端技術研究所が商用化に向けて開発を進めている成層圏通信プラットフォーム「HAPS」の長時間の飛行を実現するためにも、少しでも軽量で、寿命が長く、また成層圏の低い気温や圧力に耐えられる電池が必要不可欠です。そこで、ソフトバンクの先端技術研究所では高エネルギー密度化(軽量化)や長寿命化、安全性の向上を目指して電池の開発・検証を行う施設「ソフトバンク次世代電池Lab.(ラボ)」を設立するなど、次世代電池の研究開発に取り組んでいます。

次世代電池の早期実用化を加速。「ソフトバンク次世代電池Lab.」現地見学会リポート

「ソフトバンク次世代電池Lab.」について詳しく紹介しています。

次世代電池の早期実用化を加速。「ソフトバンク次世代電池Lab.」現地見学会リポート

次世代電池ブースでは、研究成果として、軽量化を実現する材料や、成層圏環境での実証実験にも使用されたリチウム金属電池の成層圏用のバッテリーセルパックの現物が展示されていたほか、さらなる研究対象として開発中の、レアメタルを使用せず低コストかつ軽量な材料として注目される有機正極二次電池について期待される性能の解説などが行われていました。

加圧調整用治具

加圧調整用治具

ドローン用次世代バッテリーパック

ドローン用の次世代バッテリーパック

電池の軽量化を実現する軽量集電体(次世代樹脂箔)

電池の軽量化を実現する
軽量集電体(次世代樹脂箔)

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量子コンピューター時代のセキュリティリスクに備える新たな暗号技術

量子コンピュータ時代のセキュリティリスクに備える新たな暗号技術

このシャンデリアのような美しい機械、何だか分かりますか? 実はこれ、近年ニュースなどでたまに耳にする「量子コンピューター」なんです。スーパーコンピューターをはるかにしのぐと言われる桁違いの計算速度を誇る量子コンピューターの活用について、現在世界中の大学や研究機関による研究と議論が交わされています。

これまでのコンピューターでは、何年かかっても答えが出せなかった問題の計算を、現実的な時間で完了することができる量子コンピューターの脅威的な計算能力は、さまざまな分野で貢献が期待されています。たとえば、トラックの配送ルートを最適化して燃料コストやCO2排出量、配送時間を削減したり、創薬の分野でも、シミュレーション計算に必要な時間が大幅に短縮され、新薬開発のスピード向上にも役立つとされています。

その一方で、既存のコンピューターでは難しかったシステム、ネットワークを保護する暗号の解読ができてしまう力も秘めており、その脅威が懸念されています。

その脅威に備えるため、量子コンピューターでも解読することが極めて困難な「耐量子計算機暗号(PQC: Post Quantum Cryptography)」と呼ばれる暗号アルゴリズムの開発に多くの暗号研究者が取り組んでいるほか、量子鍵配送(QKD: Quantum Key Distribution)と呼ばれる、量子力学の原理を活用することで安全に暗号鍵を届ける技術の社会実装が期待されています。

ソフトバンクの先端技術研究所は、通信性能の劣化など、暗号の強度が高まることで発生しうる影響についての検証に取り組んでおり、米国のSandboxAQ社と共同で実施した耐量子計算機暗号を使用した検証についての解説展示およびプロジェクト担当者によるプレゼンテーションが行われました。

関連リリース

日本初、Beyond 5G/6G通信を支えるテラヘルツ波通信のデモンストレーション

日本初、Beyond 5G/6G通信を支えるテラヘルツ波通信をデモンストレーション

次世代ネットワークのブースでは、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信技術として、360度自由に動き回る端末に対し、テラヘルツ波による通信を行う日本初のデモンストレーションが披露されました。

デモンストレーションでは、ソフトバンクの先端技術研究所が開発した回転反射鏡アンテナを使って、岐阜大学とNICTとの共同研究で開発された超小型アンテナ(DCA)を実装した端末を動かすとアンテナが追従(ビームフォーミング)して、テラヘルツ通信を維持する様子を実演。

開発当初のサイズから大幅に小型化された回転反射鏡アンテナ

ミリ波よりも大幅に小型化された
テラへルツ波の回転反射鏡アンテナ

テラヘルツを用いた研究は世界的にも例が少なく、ビームフォーミング可能なアンテナの研究開発も行われていますが、まだ、ビームフォーミング技術を他の技術と組み合わせた実験は行われていません。

ソフトバンクの先端技術研究所では、この回転反射鏡アンテナを用いたテラヘルツ通信実験を通して課題やデータを抽出し、将来の6Gエリア形成に役立てるなど、6Gの実用化に向けた研究開発を加速しています。

また今回のデモンストレーションでは、新たに開発した「コセカント2乗ビームアンテナ」も実際に使われています。電波は周波数が高くなるにつれ、遠くに届く電波が弱くなってしまう性質があるため、高い周波数を使った通信では、ビームを細くすることで遠くまで届く電波を1点集中させる方法が一般的です。しかし、この方法では細いビームで正確に端末を捉えられるよう、高い追従精度が求められるため、装置の作りが煩雑になり、装置の高コスト化につながります。

コセカント2乗ビームアンテナは、特殊な形状のビームを形成し、近くには適度に弱い電波を届け、遠くには強い電波を届けることができるアンテナです。この技術により、高い周波数でも、ビームの追従なしにエリアを広げることが可能となります。

日本初、Beyond 5G/6G通信を支えるテラヘルツ波通信をデモンストレーション

また、5Gの普及、そしてBeyond5G/6G時代の到来に向け、進化するコンピューティング技術に対応する次世代モバイルコア構築の取り組みとして、モバイルネットワークを最新のクラウドコンピューティング環境に最適化した構造へと刷新するための研究開発も紹介されました。

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リアルとデジタルの境界線を越えていく。XRを活用したインタラクティブなエンタメの最前線

リアルとデジタルの境界線を越えていく。XRを活用したインタラクティブなエンタメの最前線

ライブ会場などで、アーティストの呼びかけでスマートフォンのライトを掲げた経験がある方も多いのではないでしょうか? 近年、観客のスマホを活用した会場演出は、エンターテインメント業界でも注目されています。次世代コンテンツのブースでは、リアルやバーチャルを問わず、空間に属する全ての端末を同時に制御できる技術を紹介。演出の一部としてスマホの画面の色を変化させたり映像を流したりするには、全ての端末に寸分のずれなく画像や動画を表示させることが必要となります。

しかし、データがそれぞれの端末に届き、処理をして画面に表示される過程で、端末ごとに微妙な遅延のばらつきが生じ、タイミングがズレてしまったりすることがあります。 “ゆらぎ” と呼ばれるその遅延時間のばらつきは、演出の完成度に影響を与える要因にもなり得ます。端末の時刻を同期して、その時刻を基準に全ての端末が一斉に処理を行うよう制御することで、ゆらぎを解消し、多数のスマホの画面を用いた動的なグラデーションや、スマホの画面の間を動物がシームレスに移動するアニメーションを違和感なく表示させるなど、舞台の演出に合わせた調和のある端末連携を実現するシステムの実演展示が行われていました。

スマホの画面を用いた動的なグラデーション

スマホの画面を用いた動的なグラデーション

コロナ禍をきっかけに、配信者数や視聴者数が増加しているライブ配信は、視聴しながら配信者に応援アイテムやコメントを送るスタイルが主流ですが、その楽しみ方を臨場のライブ演出にも広げる試みとして、スマホを振ったりタップしたりといった動作だけで、ステージから目を離さず瞬時にリアクションを送ることができる、インタラクティブな体験のデモンストレーションが行われていました。これはバーチャルとリアルの間の双方向のやりとりを可能とし、それをリアルタイムに集計する技術で実現されています。

© 赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

© 赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

スクリーンにかざしたスマホ画面に映るARを通して観客も演出に参加して楽しめる

スクリーンにかざしたスマホ画面に映るARを通して
観客も演出に参加して楽しめる

さらに応用として、スクリーン上のバーチャル空間とARで生み出される空間をシームレスにつなぎ、会場全体を舞台にする新たな演出のデモンストレーションも行われていました。こちらは空間認識や自己位置推定により得られた座標情報や、同期された時刻情報をやり取りすることで、これまで表現できなかった体験を作り出そうというものです。

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会場内では、各分野の第一人者を迎えたトークセッションも終日実施され、技術の解説のみならず、その技術がもたらす未来について熱いトークが繰り広げられました。

トークセッション
トークセッション
トークセッション
トークセッション

(掲載日:2023年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部

ソフトバンク 先端技術研究所

研究開発の取り組みやこれまでの活動実績、研究員など、先端技術研究所の最新の情報をご覧いただけます。

ソフトバンク
先端技術研究所

情報モラル教育を「デジいく」で支援。LINEみらい財団・ヤフー・ソフトバンクの共同プロジェクトが始動

情報モラル教育を「デジいく」で支援。LINEみらい財団・ヤフー・ソフトバンクの共同プロジェクトが始動

文部科学省のGIGAスクール構想により小・中学校で1人1台のタブレットやパソコンが配備され、子どもたちにとってますます身近になるインターネット。一方で、学校内でネットトラブルが発生するなど、子どもが正しく安全な方法でインターネットを利用する力を身に付けることが求められています。

健全なインターネット利用啓発の推進に向けて、SNS・通信・インターネットの分野において情報モラル教育に関わってきた一般財団法人LINEみらい財団、ヤフー株式会社、ソフトバンク株式会社の三者が連携して「デジいく」(デジタル活用能力育成プロジェクト)を開始しました。

情報モラル教育

小学校・中学校・高等学校の児童・生徒を対象に、情報社会における正しい判断や望ましい態度を育てることを目指す教育。

  • 西尾 勇気(にしお・ゆうき)
  • 一般財団法人LINEみらい財団
    事業推進部 部長
    西尾 勇気(にしお・ゆうき)さん
  • 大山 成道(おおやま・なるみち)
  • ヤフー株式会社 SR推進統括本部
    サービス開発室
    大山 成道(おおやま・なるみち)さん
  • 引野 智史(ひきの・さとし)
  • ソフトバンク株式会社
    CSR本部 CSR企画統括部
    引野 智史(ひきの・さとし)
  • 西尾 勇気(にしお・ゆうき)
  • 一般財団法人LINEみらい財団
    事業推進部 部長
    西尾 勇気(にしお・ゆうき)さん
  • 大山 成道(おおやま・なるみち)
  • ヤフー株式会社 SR推進統括本部
    サービス開発室
    大山 成道(おおやま・なるみち)さん
  • 引野 智史(ひきの・さとし)
  • ソフトバンク株式会社
    CSR本部 CSR企画統括部
    引野 智史(ひきの・さとし)

子どもが学びやすい、先生が教えやすい。活用シーンに合わせて使える教材を提供

三者は、SNS・インターネット・通信分野でサービスを提供する事業者の社会責任として、以前から情報モラル教育に取り組んできました。近年、GIGAスクール構想やコロナ禍の影響により学校教育のオンライン化が急速に進み、児童や生徒が情報の正しい扱い方や活用方法を身に付ける重要性が高まっていることを受けて、三者共同で子どもの情報活用能力の向上を目指す「デジいく」(デジタル活用能力育成プロジェクト)を2023年3月から開始しました。

情報活用能力

文部科学省が定める学習指導要領によると「学習の基盤となる資質能力として必要とされる力」のこと。その一項目に「情報モラル」が含まれています。

「デジいく」とはどのようなプロジェクトですか?

引野

「デジいくは、児童・生徒が安心安全に、そして便利にインターネットを利用できる環境づくりに向けて、『GIGAワークブック』という教材コンテンツの活用や、教育者向けの研修の実施などを通して、学校現場における情報モラル教育の推進をサポートすることを目指したプロジェクトです」

西尾

「情報モラルという言葉は、これまで『トラブル』や『危険』といったイメージと結びつきやすい傾向にありました。SNSやインターネット、通信サービスを提供する事業者が連携することで、デジいくを通してインターネット関連のトラブルをなくすだけではなく、『活用』に焦点を当てて、インターネットを上手に活用する力を身に付けるサポートをしていきます」

デジいくの一環として、LINEみらい財団が国立大学法人静岡大学教育学部の准教授 塩田真吾さんと共同で開発するGIGAワークブックを活用した情報モラル教育が推進されています。

子どもが学びやすい、先生が教えやすい。活用シーンに合わせて使える教材を提供

教育現場での使いやすさと分かりやすさにこだわって制作された本教材は、発達段階にあわせ「ビギナー(小学1~3年生向け)」「スタンダード(小学4~6年生向け)」「アドバンスド(中・高校生向け)」の3パターンが用意されています。また、コンテンツは「調べる」「写真を撮る」「共有する」「家で使う」といった8つのICT活用場面に分けて用意されており、場面ごとに「活用」「情報モラル」「セキュリティ」の3つの観点で学ぶことが可能。1つのICT活用場面あたり15分から実施できるため、授業に取り入れやすい構成になっていることが特長です。

子どもが学びやすい、先生が教えやすい。活用シーンに合わせて使える教材を提供

対象者や利用シーンごとにコンテンツが分けられているんですね。教える側も学ぶ側も使いやすそうです。

大山

「分かりやすさや使いやすさは、デジいくの申し込み窓口を設ける際にも大事にしています。授業での調べ学習などでは、子どものインターネット利用の入り口として小学生向けのポータルサイト『Yahoo!きっず』を活用いただくことがありますが、デジいくの専用サイトへの導線を『Yahoo!きっず』上に設けることで、先生方に情報が届きやすい仕組みにしています」

SNS・インターネット・通信分野の連携で、情報モラルの向上を目指す

今回の連携では、LINEみらい財団はGIGAワークブックを始めとする教材コンテンツの開発・提供を、ヤフーは学校の授業で利用されているYahoo!きっず上でGIGAワークブックの認知拡大・普及を図ります。ソフトバンクはこれまで培ってきた地域の自治体とのネットワークを生かして、教育現場への提案や普及活動を推進します。

情報モラル教育の分野で、三者が連携するに至った経緯を教えてください。

引野

「教育のオンライン化が急速に進むだけでなく、新しいインターネットサービスなどが続々と登場していく中で、教育現場のニーズに合わせた教材開発や学習コンテンツの提供をしていきたいという思いが三者間で一致していたことが連携に至った大きな理由です。

ソフトバンクは通信事業者として、フィルタリングサービスや『みんなで考えよう、スマートフォン』という教材や教員・保護者向けの研修を提供してきました。これまで取り組んできた教材のアップデートを検討する際に、情報モラル教育分野に注力してきた2社にお声がけしてデジいくの発足につながりました」

西尾

「LINEみらい財団では、子どもたちがSNSを利用するようになる中で、トラブルやいじめも発生するようになり社会問題化したことをきっかけに、2012年から児童・生徒や保護者、教員向けの教材開発・出前授業の実施など、ネット上でのコミュニケーショントラブルに焦点を当てた取り組みを行ってきました。

『GIGAワークブック』は以前から学校の授業で活用いただいていますが、元々ヤフーの担当者と情報モラル教育で連携できないか検討していたところ、ちょうどソフトバンク側からお話をいただいたんです。そこから議論が進み、大山さん発案の『デジいく』という名のプロジェクトとして、教育現場での情報モラル教育のさらなる推進サポートに取り組んでいます」

デジいくという名前はヤフーの大山さんの発案なんですね。

大山

「たまたま採用していただきました(笑)

ヤフーとしても、これまで安全な検索エンジンと、小学生向けのスマホのルールやインターネットの付き合い方をテーマにした学習コンテンツを提供してきました。教育現場が必要としている情報を届けたいという思いが以前からあったので、情報モラルというテーマで学習コンテンツを直接先生方に届けることに使命を感じています」

プロジェクトへの期待をお聞かせください。

西尾

「この数年間でインターネットを利用した生活は大きく変わってきているので、各社が個別に取り組むのではなく、グループとして力を合わせることで、これまでできなかったことが可能になると思っています。いいスタートが切れたと思っているので、子どもたちの『情報活用能力』の育成につなげていきたいですね」

大山

「元々は子どもがネット上でいじめの被害に遭わないようにといった観点でしたが、子どもが現代の社会でより幸せに生きられるように、エンパワーメントができるように努めていきたいです。子どもが自らアクセスして自発的に学べる環境も整えていきたいと思っています」

引野

「ソフトバンクは、自治体とのネットワークを生かした普及・提案活動を行い、自治体など現場の声を教材に反映していきます。GIGAワークブックをより多くの児童・生徒に届けるために、コンテンツのさらなるパワーアップに向けて三者で連携して取り組んでいきたいです。お二人とも、よろしくお願いします!」

学校の授業で使える活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」

「GIGAワークブック」特設サイト

文部科学省が推進するGIGAスクール構想の展開にあわせ、児童・生徒の「情報モラル」と「情報活用」の育成や向上を目的として制作された「GIGAワークブック」。自治体単位での導入に限らず、学校単位でも活用いただけます。

「GIGAワークブック」
特設サイト

関連情報

子どもたちのより良いコミュニケーションや健全なインターネット利用啓発のため、情報モラル教育においてSNS・通信・インターネット分野の3者が連携(2023年3月15日一般財団法人LINEみらい財団)

(掲載日:2023年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部

トレンドから研究開発中の技術まで盛りだくさん! エンジニアが主役の「SoftBank Tech Night Fes 2023」が開催

トレンドから研究開発中の技術まで盛りだくさん! エンジニアが主役の「SoftBank Tech Night Fes 2023」開催

3月16日、ソフトバンク竹芝本社で「SoftBank Tech Night Fes 2023」が開催されました。このイベントは、ソフトバンクで働く有志のエンジニアが主催しており、日々取り組む研究や技術について発表が行われています。今回は会場とオンラインによるハイブリッド形式で、ソフトバンクだけでなくグループ企業のエンジニアも登壇。会場とオンライン合わせて500人を超える参加となった、この “オールソフトバンク” なイベントの様子を取材しました。

目次

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT」

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT

今回は、初となる「チケットNFT」を使った入場が実施されました。来場者はスマホでチケットのQRコードを表示し、スタッフに読み取りをしてもらって入場完了。スタッフがQRコードを読み取ると一度限りのトークンが発行され、チケットがその人だけのものという証明がされるという仕組み。紙のチケットと異なり偽造がされにくく、使用済みになるとチケットの所有者、運営側どちらにも通知されるためなりすまし防止にも効果的です。

QRコードでサクッと入場。テクノロジーを活用した「チケットNFT」

こちらが実際にスマホでチケットを表示し、スタッフがもぎり(QRコードの読み取り)をする様子。「え、もう終わりですか?」と、本当にスマホだけであっさりと完結してしまう便利さに驚き。

このチケットNFTの仕組みを支えるのが、「Web3」という技術。「Web3」とは、特定の管理者がいない、ブロックチェーン技術によって実現した分散型インターネットのことをいいます。

そして、Web3で実現されるデジタル経済圏で流通するのがFT(デジタル通貨)とNFT(デジタル所有権)です。デジタル世界での「カネ(FT)」と「モノ(NFT)」の所有が、ブロックチェーンによって管理・証明されます。

Web3についてはこちらで詳しく解説しています

Web3もNFTも、実は身近なところで活用できる。チケットNFTの仕組みを解説

「Web3」をテーマにした講演では、今回のイベントで使用されたチケットNFTの仕組みや、その応用であるスタンプラリーNFTについて解説されました。

小倉聡司(おぐら・さとし)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット サイバーセキュリティ本部
小倉聡司(おぐら・さとし)

「Web3は現在ほとんど使われておらず、まだ浸透していない技術ですが、近い将来ブロックチェーン技術とともに社会の基盤となり、意識せずとも誰もが利用する時代が来ると確信しています。例えば、チケットNFTでは『個人間で自由に二次流通できる』、『誰でも偽物と本物の判別が可能』、『誰でも使用済みか否かの判別が可能』などのメリットがあります。仲介者を必要とせず、人と人とが直接かつ透明性高くデータのやり取りができる未来も近いと考えています。

Web3もNFTも、実は身近なところで活用できる。チケットNFTの仕組みを解説!

日々の業務では、Web3やブロックチェーンの社会実装に向けて『現実世界で役立つ』こと、『NFTの活用をキーにする』という2点を意識しています。今後はチケットNFTなどの検証で培った知識・技術を応用し、ソフトバンクのサービスにつなげていきたいですね。

チケットNFTについては、SoftBank Tech Nightの場を借りて、何度か『チケットNFTの発行ともぎり』の実証実験をしてきました。そこで見えた技術的な問題点を改善しつつ、利用者からサービス需要の確かな手応えを感じているので、ぜひ何かにつなげていきたいと思います」

社会を良くする、もっと便利な未来に向けて取り組む研究開発

当日は合計20の講演が行われ、多くの人が参加・視聴しました。その中でも私たちの生活で実用化が進む、注目度の高い技術や研究に関する発表を紹介します。

高齢化や運転手不足解消の糸口として期待される「自動運転」

2023年4月、限定的なエリアでの完全無人化による運転が可能な「レベル4」が道路交通法の改正によって解禁され、ますます注目が高まる自動運転。このレベル4の解禁に伴い重要度が増す「遠隔監視技術」について講演が行われました。

須山温人(すやま・あつと)さん

BOLDLY株式会社 CTO
須山温人(すやま・あつと)さん

「まさに今、自動運転は社会実装の夜明けというタイミング。自動運転制御技術だけでなく、AI(人工知能)による遠隔監視やインフラ連携、冗長化などさまざまな技術を駆使して実証を行い、どこよりも早く自動運転の実用化を進めているのがBOLDLYです。地方における公共交通の廃止や撤退、運転手の高齢化や担い手不足など、自動運転モビリティサービスを早期に実用化することで、あらゆる地域で移動問題の課題解決につながります」

BOLDLYが開発・提供する遠隔監視システムの画面

BOLDLYが開発・提供する遠隔監視システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」の画面

高齢化や運転手不足解消の糸口として期待される「自動運転」

「個人的に10年近く『自動運転モビリティサービスの実用化』というテーマに取り組み続けてきたので、それがいよいよ日本でも解禁されることにとても喜ばしくワクワクしています! 今後は日本初のレベル4自動運転サービスの実現を目指し、パッケージ化して多くの地域に広げていきたいです。熱意のあるエンジニアにもっとこのワクワクする状況を知ってもらいたいですね」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

インターネット検索や広告配信などでよく利用される位置情報ですが、災害時における位置情報や人流予測の研究や実用化についての取り組みも進められています。避難訓練における人流データの活用に関する講演が行われました。

上山宏(うえやま・ひろし)さん

株式会社Agoop
上山宏(うえやま・ひろし)さん

「私からは、内閣府主催による避難訓練における人流データの活用についてお話しました。実際の実証実験の内容を踏まえて説明させていただいたことがポイントです。やはり、利用される方やそのニーズを知るには実際に現地でシステムを体感してもらい、フィードバックをいただくことがもっとも良い方法であると実感しました。今後はより多くの自治体で避難訓練の実証実験を実施し、可視化システムの改善を行い災害DX(デジタルトランスフォーメーション)の進化に貢献できればと考えています」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

位置情報と人流予測はこんな分野でも。避難訓練で検証が進む「災害DX」

「避難訓練の参加は初めての試みだったため、成功させるためにどのような準備をすべきかをチーム内で議論や検討を重ねてシステムを開発しました。避難行動のリアルタイムな可視化は避難訓練参加者や関係者の共感を得られ、その重要性を改めて実感しました。今後は、災害時に救助が必要な場所を選定するための人流の異常検知AIなど、研究要素の強い技術についても発表していきたいと考えています」

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

近年は大きな通信障害が記憶に新しいのではないでしょうか。より堅ろう性が高く大規模なモバイルネットワークを造るための研究開発についても発表されました。

堀場勝広(ほりば・かつひろ)

ソフトバンク株式会社 先端技術研究所 先端NW研究室
堀場勝広(ほりば・かつひろ)

「この研究テーマに取り組むにあたって、最初に思い立ったことは『なぜAmazonのBlack Fridayのような巨大ECサイトのイベントでは問題なく動くのに、モバイルネットワークでは輻輳(ふくそう)によって、ときに大規模で長時間にわたる障害を起こしてしまうことがあるのか』という素朴な疑問でした。

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

現在のモバイルネットワークは、ウェブとクラウドの技術を適用するのが難しいアーキテクチャ(構造)をしているため、このギャップを埋めることでモバイルネットワークの堅ろう性と規模性を高められるのではないかと考え研究開発をしています。

この技術は『モバイルネットワークが障害なく当たり前のように使えること』に貢献していく技術だと考えています。この10年でモバイルネットワークは社会生活を支える重要なインフラになりました。スマホが普及し、データ通信速度が上がっていったことによって、緊急通報だけでなく、電子決済や公共の手続き、映像を使ったコミュニケーションなど、社会生活には欠かせないものになりました。

加えて5G(第5世代移動通信システム)ではモバイルネットワークの産業利用も期待されていますので、これまで以上に普通に使えて当たり前、逆に障害が許容されないインフラになったと言えます。この当たり前をいかに高いレベルで実現していくか。これこそが通信事業者に課せられた大きな仕事だと考えています。

「なぜモバイルネットワークは大規模通信障害が起こるのか?」素朴な疑問から始まった思考実験

今回の発表は、モバイルネットワークをウェブとクラウドの技術に適合させるという取り組みであり、あくまで未来のモバイルネットワークを検討するための思考実験です。決して今のモバイルネットワークを、この技術に置き換えたいと言っているわけではありません。『次世代のモバイルネットワークはどうあるべきか』というフェアな検討をするにあたり、さまざまな考え方にもとづく研究と実験が必要なんだと思います。そのために少し偏った思考にもとづいた実験を行い、6Gあるいはその先に向けて『本当に必要なもの』は何なのかを見定めながら、標準化団体や業界団体へ情報発信をしていきたいと思っています」

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

講演にはヤフー株式会社、LINE株式会社、SB C&Sのエンジニアも登壇。グループ会社の講演が行われたのは今回が初めてということで、まさにオールソフトバンクなイベントとなりました。

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

テクノロジーにグループ間の壁は不要。「オールソフトバンク」なイベントに!

(掲載日:2023年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部

SoftBank Tech Night #11の開催が決定

SoftBank Tech Night #11の開催が決定

次回は6月12日(月)、「実務に活かすAI技術と最新動向」というテーマでソフトバンクのエンジニアがAI技術に関する知見を発表します。詳しくはイベントの詳細ページをご確認ください。

イベント詳細ページをみる