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6G実現に向けたソフトバンクの研究開発の今。「ギジュツノチカラ Beyond 5G/6G編」ラボツアー


6G実現に向けたソフトバンクの研究開発の今。「ギジュツノチカラ Beyond 5G/6G編」ラボツアー

7月14日に開催されたソフトバンクのオンライン技術イベント「ギジュツノチカラ Beyond 5G/6G編」。同日行われたHAPSやテラヘルツ通信に関する研究を紹介するラボツアーに参加してきました

目次

実際に成層圏を飛んだHAPSの心臓部「ペイロード」

実際に成層圏を飛んだHAPSの心臓部「ペイロード」

会場には、ペイロードの実機が展示されていました。

大きな羽をもつHAPSのグライダーの中には、このペイロードが搭載されていて、通信を行う基地局としての役割の他、グライダーの飛行を制御する基盤などさまざまな機能が詰まっており、まさにHAPSの心臓部といえる装置。

実際に成層圏を飛んだHAPSの心臓部「ペイロード」

展示されていたペイロードは、実際に成層圏のテスト飛行で使用されたもの。
気温-90°C、湿度0%という成層圏の過酷な環境で長期間稼働を続けるための温度調節機能として、空気抵抗で温めたり、逆に気圧が低く熱が逃げにくい成層圏で、こもりすぎた熱を逃すため100段階で開閉できるバルブを搭載するなど、さまざまな工夫や仕掛けが施されています。

現在約30kgあるというペイロードを上空20kmで飛行させるために、全長78mのあの大きな機体が必要になるとのこと。通信機器の開発と並行して、より安定した飛行を実現するため、今後軽量化も積み重ねていくそうです。

HAPS

「Moving cell問題」を解決する「フットプリント固定制御」技術

「Moving cell問題」を解決する「フットプリント固定制御」技術

電車で移動中に携帯基地局が切り替わることで、通信が不安定になることがありますよね。
それと同じように、HAPSを使った通信では移動する機体に基地局が載っているため、上空で機体と一緒にアンテナが移動してしまい、地上側のエリアが切り替わって通信品質が低下してしまいます。

Moving cell問題

この問題を「Moving cell問題」といいます。

この課題の解消に向け、機体が動いてもセル(エリア)を固定するための「フットプリント固定制御」技術として、ソフトバンクでは「シリンダーアンテナ」と「回転コネクター」の開発に取り組んでおり、試作機の展示と技術説明が行われました。

シリンダーアンテナ

シリンダーアンテナ

シリンダーアンテナは、円筒形のアンテナに複数のアンテナ素子を配置して、それぞれのビームの方向を変えることでエリアを固定する技術。

シリンダーアンテナ

このように、機体が動いてもビームを発する方向が変わらないように制御することで、エリアが切り替わることなく、安定した通信を実現することができます。

回転コネクター

回転コネクター

シリンダーアンテナは、機体と一緒にアンテナが動くのに対して、回転コネクターは、機体が動いてもアンテナの向きは固定されたままにする技術。

回転コネクター

機体の無線機とアンテナをつなぐコネクターを回転させることで、アンテナの向きを固定し、エリアが切り替わることなく通信ができます。

コネクターとケーブルの接続部が回転することでアンテナを固定

コネクターとケーブルの接続部が回転することでアンテナを固定

“「動く」テラヘルツ”の実用化に向けた「回転アンテナ」開発

“「動く」テラヘルツ”の実用化に向けた「回転アンテナ」開発

ソフトバンクでは、テラヘルツ帯を移動体通信としてサービス提供するため、スマートフォン向けの“「動く」テラヘルツ”の研究開発を行っています。

ビームフォーミング

高速・高品質な移動通信の実現には、たくさんのアンテナ素子を並べ、特定の方向に向けて電波を集中的に発射するMassive MIMOによるビームフォーミングの技術が鍵となりますが、テラヘルツのアンテナ素子は大きく高価なため、実用的な通信に用いることが難しいという現状があります。

そのため現在のテラヘルツ通信は、単体のアンテナが発射する非常に細い固定ビームで、少しでもアンテナがずれると通信が劣化してしまい移動通信には向かない、という課題がありました。

この問題の解決策として研究に取り組んでいるのが回転アンテナ。

回転アンテナ

パラボラアンテナの原理を応用し、ホーンアンテナから発射されたビームを回転しながら反射させ、横方向に向けることで360度のエリアを実現し、移動通信での活用を目指します。

回転アンテナ

そのほかにも、テラヘルツの伝搬特性の紹介や移動体通信システムで使用されている高速・高品質な通信技術OFDM(直交周波数分割多重方式)を使ったリアルタイム動画伝送のデモンストレーションも行われました。

動画伝送デモンストレーション

私たちが普段何気なく使っている携帯電話やさまざまなテクノロジーも、このようにたくさんの技術者のアイデアと地道な研究・検証を積み重ねて作られてきたもの。

10年後にやってくるという6Gの世界がどんな風になるのか、楽しみですね。

ソフトバンクの研究開発

ソフトバンクの研究開発

ソフトバンクは、「Beyond Carrier」戦略で生み出す新しい体験や暮らしの実現に向け、通信をベースとしたさまざまな先端技術の研究・開発に挑戦し続けています。

事業を支える研究開発

(掲載日:2021年8月5日)
文:ソフトバンクニュース編集部

ソフトバンクのさまざまな最先端技術やテクノロジーを使ったエンターテインメントを体感できる技術展「ギジュツノチカラ」。これまでのイベントの様子や研究開発の取り組みに関する記事をご覧いただけます。

「ギジュツノチカラ」特集