プレスリリース 2022年

ソフトバンクがSandbox AQと共同で量子コンピューターで解読不可能な次世代暗号方式の早期実装へ

2022年3月23日
ソフトバンク株式会社
Sandbox AQ

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)と米国Sandbox AQ(所在地:カリフォルニア州パロアルト、CEO:Jack Hidary、以下「Sandbox」)は、耐量子計算機暗号(Post Quantum Cryptography、以下「PQC」)を使用したVPNなどの実用化に向けて、日本での共同実証実験に関するパートナーシップ契約を締結しました。この契約により、ソフトバンクは、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が推進する「耐量子計算機暗号標準化プロジェクト」のラウンド3の最終候補および代替候補に選定されたPQCアルゴリズムを使用した検証を行い、将来的な標準化を見据えたPQCをいち早く実用化することも可能になります。

昨今の生活においてインターネットは必要不可欠であり、クレジットカード情報や個人情報などの機密情報をスマートフォンのアプリなどでやりとりをする機会が増えています。現在は、それらの通信内容を秘匿にするために、公開鍵暗号(RSA暗号や楕円曲線暗号)などを用いて高い安全性を保っています。しかし、世界中で開発が進められている量子コンピューターによって、現在広く普及しているこれらの暗号が、今後、瞬時に解読され通信の中身が簡単に盗まれる可能性が危惧されています。この問題を解決するために、量子コンピューターでも解読が困難な新しい暗号であるPQCの実用化および導入が必要不可欠です。PQCは、秘匿だけでなく認証(デジタル署名)にも適用することができ、ソフトウエアで実装できるため、インターネットとの親和性が高く、スマートフォンやタブレットなど、既存の通信デバイス上での利用が想定されています。

米国では、2030年ごろまでに暗号鍵長2,048ビットのRSA暗号を解読可能な量子コンピューターの登場を想定し、NISTにおいて「耐量子計算機暗号標準化プロジェクト」を推進しており、PQCとして採用する暗号アルゴリズムを2024年に決定するとしています。今回、Sandbox AQが提供するPQCは、NISTの「耐量子計算機暗号標準化プロジェクト」のラウンド3の最終候補および代替候補として選定されたさまざまなアルゴリズムを使用することができ、将来の標準化を見据えた検証を行うことが可能となります。ソフトバンクは、2022年夏までに、5G、4G、Wi-Fiなどのさまざまなネットワーク上でPQCアルゴリズムを動作させ、ネットワーク、マシン、ユーザーそれぞれの観点から性能を評価・検証していきます。また、今後お客さまが量子コンピューターからの攻撃にも耐性を持つセキュリティーを活用できるよう、商用ネットワークに早期にPQCを適用することも検討していきます。

耐量子計算機暗号システム構成イメージ
耐量子計算機暗号システム構成イメージ
[注]
  1. CPE:Customer Premises Equipment(顧客宅内機器)、顧客側にある通信機器など

両社のコメント

ソフトバンクの先端技術開発本部 本部長である湧川 隆次は次のように述べています。
「全ての産業がデジタル化して通信インフラの上で成り立つような社会において、ますます通信の超安全性が不可欠であり、真っ先に取り組むべき分野です。Sandbox AQの高い技術に加え、PQCがすでに実装可能な状態であることから、今回パートナーとして組むことになりました。この実証実験の成功時には、例えば銀行や保険会社など非常に高いセキュリティーが必要とされる業界への試験的な導入についての可能性も非常に期待しています」

Sandbox AQのCEOであるJack・D・Hidaryは次のように述べています。
「量子にまつわる脅威から世界の通信インフラを守ることは、世界のビジネス、プライバシー、生活様式を守るために最も重要なことです。世界有数の通信会社であるソフトバンクは、こうした脅威が完全に出現する前に、自社のネットワークやオンラインプロパティーにPQCアルゴリズムを導入することで、競合他社よりも一歩先を行くことになると信じています」

Sandbox AQについて

Sandbox AQは、量子テクノロジーとAI(人工知能)を活用したSaaSソリューションを提供するソフトウエアカンパニーです。カリフォルニア州パロアルトに拠点を置き、そのアイデアやチームの一部はGoogleの親会社であるAlphabet Inc.(NASDAQ:GOOGL)の中で2016年に発足しました。2022年に、さまざまな事業を成功させてきた起業家・CEO・作家であるジャック・ヒダリー(Jack・D・Hidary)が、Googleの元CEOであるエリック・シュミット(Eric Schmidt)を会長として独立しました。詳細については、こちらをご覧ください。

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