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こんなオフィスで働きたい!日本に上陸する話題のコワーキングスペースWeWorkとは? Vol.2

米国在住のWeWorkユーザー、ジャーナリストの松村 太郎さんによるレポート第2弾! 月曜日の朝、目覚めるとオフィスに行きたくなる。そんなWeWorkの魅力をご紹介いただきます。

第2回 WeWorkでの日常と、仕事が好きになるカルチャー

前回は、バークレーで仕事をする私が、WeWorkを選んだ分かりやすい理由についてご紹介してきました。経済性と安心して仕事ができる環境を手に入れ、グローバルなネットワークに参加する、そんな「持たない時代」のはたらき方を象徴するのが、WeWorkです。

今回は、そんなWeWork Berkeleyで仕事をする私の日常と、WeWorkが持つ「仕事が好きになる」カルチャーについてご紹介します。

筆者・松村太郎(まつむらたろう)
1980年東京生まれ。米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了後、テクノロジーとライフスタイルをテーマに執筆活動を続ける。テクノロジーと教育で問題解決に取り組むキャスタリア株式会社取締役。プログラミング必修の通信制高校コードアカデミー高等学校の創立副校長を務め、現在スーパーバイザーを務める。
Web https://tarosite.net/ Twitter @taromatsumura

WeWorkでの日常

サンフランシスコ郊外の街、バークレーは、冬場は強い雨に見舞われますが、3月から11月までは、最高気温23℃前後の安定した気候です。朝夕は霧が出ていることと、東側に丘が構えていることで、日の出や空が明るくなってくるのは比較的遅め。

それに合わせて朝7時頃起きて家事を済ませると、9時に家を出て15分かけてバークレー駅まで早歩きで向かいます。体が温まった状態でジムに行き、30分ほど汗を流してシャワーを浴びると、いよいよWeWork Berkeleyに向かいます。 お気に入りは2Fのキッチンカウンターの座席。いつもそこにいるので顔見知りも増えました。席を確保してMacBook Proをカバンから取り出し、仕事の準備を済ませます。

運動した後なのでメイソンジャーに氷をいっぱい入れ、毎朝用意してある新鮮なフルーツを浮かべたインフューズドウォーターで喉を潤し、一息。そしてキッチンからコーヒーを持ってきて、朝のルーティンは終わります。

椅子に座って落ち着く頃には10時を回っており、ここから仕事を開始します。基本的には原稿を書いたり、企画を考えたり、日本とのコミュニケーションを取ったり、ノートパソコンに向かって作業をすることになります。

バークレーにミーティングで訪れる人も少なくありません。そうした場合は、WeWorkアプリから会議室を予約して、落ち着いて話すことができます。もっとフランクな打ち合わせの場合は、5Fのラウンジのソファで、というパターンも気に入っています。

WeWork Berkeleyの壁には時計がなく、ついつい仕事に集中して時間を忘れてしまうこともあります。打ち合わせの時間にゲストがロビーに到着すると、自動的に顔写真付きのメールが届き、ゲストの到着を知らせてくれるので安心です。

会議室にもいろいろなシーンがあります。ホワイトボードと大型テレビ、テーブルを囲んで話せるスタンダードなスペースの他に、温かな色合いの絨毯とソファが用意されているおしゃれな空間や、65インチの大型テレビがある部屋も。用途に合わせて選べる点が便利です。

またWeWork Berkeleyの各階には2つずつ、フォンブースが用意されています。1人だけが座れる小さな電話用のスペースで、外の音を遮断して会話ができる場所で、気に入っています。私はiPadにマイクをつないでPodcast収録を行うのにぴったりです。

ロサンゼルスのWeWorkには、レコーディングスタジオがあるそうです。土地柄に合わせて、必要な設備のバリエーションがあるのも、面白いですね。

こうして夕方まで仕事に打ち込み、再び15分のウォーキングで家路につきます。サンフランシスコやシリコンバレーに取材に行く日も、帰りにWeWorkに立ち寄ります。自宅よりも格段に早いWi-Fiネットワークを生かして、写真やビデオを瞬時にアップロードすることができますので。

WeWork飲み物事情

WeWork Berkeleyは1階のロビーから上の6フロア、7階までを占有しています。各階にはキッチンが用意されており、キッチンの周りにはカウンターやデスクなど、作業スペースがあります。

このキッチンは、WeWorkで仕事をする中で重要な場所です。

日本で思い浮かべるよりもずっと広々としたスペースが割かれていて、キッチンの中ではメンバー同士で自然に会話が生まれたり、誰かが連れてきた犬に出会ったり。訪れるだけで仕事中のちょっとした息抜きにもなります。

そんなキッチンには、何種類かの飲み物が用意されており、メンバーは無料で楽しむ事ができます。

まず、仕事場と言えばコーヒー。ハンドミルとドリッパーも用意されているので自分で豆を持ち込んでハンドドリップをしても良いのですが、WeWorkではLa Colombe(ラ・コロンブ)というフィラデルフィア発の焙煎所のコーヒー豆を使ったドリップコーヒーが用意されています。

仕事向けのコーヒーらしく、ダーク寄りのロースト。個人的には、キッチンの製氷機から氷をカップにたくさん入れて、アイスコーヒーを作ったり、やはり冷蔵庫に用意されている牛乳を電子レンジで温めてカフェオレにして楽しんでいます。

その冷蔵庫にはミルクの他に、アーモンドミルクも用意されています。ちょっと前まではソイミルク(豆乳)が代替ミルクとして採用されていましたが、環境負荷の問題やホルモンの問題から、代替ミルクとして不適格、との議論が持ち上がり、アーモンドミルクに切り替わりました。WeWorkのキッチンを見ていると、そうした米国国内での食のトレンドにも敏感に反応していることが分かります。

また、インフューズドウォーターは、キッチンの雰囲気を華やかにしてくれます。大きなウォーターサーバーに、季節の果物や野菜を浮かべた氷水で、この原稿を書いている日は輪切りのメロンとキュウリが浮かんでいました。春先にはイチゴ、冬場はオレンジと、気候の変化が少ないバークレーに季節感を与えてくれています。

そして、お待ちかねのビールです。
キッチンにはビールサーバーが備え付けてあり、メンバーは自分でグラスに注いで、生ビールをいつでも楽しむ事ができます。しかも、各階ごとに違う銘柄の樽がセットされていて、ローカルのクラフトビールをセレクトしているこだわりよう。

2階から7階のキッチンをはしごして、いろいろな味を楽しむことができます。まだやったことはありませんが。

仕事が好きになるカルチャーとTGIM

WeWorkで仕事をするようになって、やはり足が仕事場に向くようになったという感想を持ちました。

会社勤めの人にとっては「気が向かないなら仕事に行かないのか?」と言われるかもしれませんが、フリーランスの場合、気が向かなければ自宅で仕事ができてしまいますし、具合が悪ければベッドの中でも原稿が書けます。

私も東京にいる頃、住まいとは別に仕事場としてアパートを借りたことがありましたが、行くのが面倒な日はありました。その経験があった私にとって、毎日でも通いたいと思える場所となったWeWorkは、興味深い存在となったのです。

WeWorkは、簡単に言えば「インスタ映えする仕事場」。デスク、キッチン、ラウンジ、ミーティングルームなど、どこをどう切り取っても、素敵な写真を撮ることができます。そうした環境に通って仕事をするのは、なかなか気持ちが良いものです。

仕事への集中や息抜きを、オフィススペースの中で上手く使い分けることができる空間作りにも感心させられます。

また、WeWorkには、仕事が好きになるキャッチフレーズがいくつかあります。

メンバー全員が持つ黒いカードキーには、「Do what you love(好きなことをしよう)」と書いてあります。また、固定デスクのドアには「Work hard stay humble(努力せよ、謙虚であれ)」、キッチンには「Good work takes hard work(良い仕事を得るには努力が必要だ)」や「Stay young(若々しくあれ)」といったフレーズが並んでいます。

そして極めつけは「TGIM」です。

英語圏では一般的に、「TGIF」が用いられています。「Thank god, it's Friday(金曜日だ、神よ、感謝します)」の略で、その週の仕事や学校を終える金曜日を無事に迎えられたこと、週末を祝う意味合いがあります。

しかしWeWorkではTGIM、つまり「Thank god, it's Monday(月曜日だ、神よ、感謝します)」とアレンジされています。今週も仕事ができる月曜日を迎えられたことに感謝、という意味合いでしょう。

仕事が嫌なものではなく、自分らしく生きるためのもの。そんな意識が随所にちりばめられており、そうした環境を提供する場所、それがWeWorkなのです。

次回に続きます。

(掲載日:2017年10月20日)
文・写真:松村太郎