北アルプス南部に位置する日本で5番目に高い山、槍ヶ岳。その標高は3,000メートルを超え、日本百名山の1つとしても有名で多くの登山客が訪れ、まさに今が登山シーズン!
高山ならではの魅力
槍ヶ岳といえば、やりの穂先のようにとがった形状がとても魅力的。この穂先のような山頂までの登山ルートは、とても険しいながらも高山植物を楽しめますし、運が良ければライチョウに遭遇できるかもしれませんよ♪
また、これからの季節は何と言っても秋の紅葉! ここ槍ヶ岳では、高山ならではの絶景が見られるようなので、紅葉の時期に登山するのもおすすめです。
高山の景色を楽しみながら山頂を目指すにつれ、どんどん登山道は険しくなっていき、そして・・・険しい山頂直下に、なんとも立派な山小屋が!!
しかもこの山小屋で、ネットワークがつながるんです!
主要登山道と山小屋でのエリア化が完了
ここ槍ヶ岳では、これまで携帯電話が利用できず、登山客や山小屋オーナーから電波対策を求める声が多数上がっていました。そこでこの声に応えたいという思いから、2017年春にエリア化のプロジェクトを立ち上げ、今年2018年に複数の主要登山道と山小屋のエリア化が完了しました。
立ちはだかる高い壁「公園法」
しかし、このエリアでネットワークをつなげるのは簡単ではありませんでした。山小屋への無線基地局設置に当たり最初の壁となったのが公園法※の存在でした。
北アルプスには、通常の公園法に加え、中部山岳国立公園の南部地域限定ルールがあります。それは「移動通信施設は、民間事業者が整備するものは認められず、市町村が整備する公益上必要性のあるもののみ認められる」という内容で、携帯事業者にとって障壁となるものでした。
「ソフトバンクの移動通信施設は安全・安心であり、登山に必要なインフラ」ということを、関係各所に理解していただくため、岐阜県高山市、長野県安曇野市、岐阜県、環境省など、自治体から行政機関までを横断する形で説明し、山小屋オーナーの皆さまにもご協力いただき交渉を重ねた結果、2018年3月にようやく「行政が整備するもの」という形で公園法の申請を行い、各市から設置の許可を受けることができました。
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- ※公園法には「都市公園法」と「自然公園法」があり、特に「自然公園法」は国立公園・国定公園・都道府県立自然公園などの風景地を保護とその利用の増進を図ることにより、国民の保健・休養・教化に貢献し、また生物の多様性の確保に寄与することを目的とした法律。
立ちはだかる高い壁「技術的課題」
エリア化には前述の法規制の壁と、もう1つ技術的な壁がありました。 北アルプス南部地域は独特の地形であり、主要な登山道および山小屋をエリア化するには多方向に無線基地局を設置する必要があります。しかし、設置可能な場所の確保や、電気の供給がないなどの物理的な課題がありました。今回のエリア化で、無線基地局設置場所の候補となった山小屋のほとんどは、高所のため草木が生えない森林限界を超える場所にあり、しかも登山道の途中には山頂から山頂にかけての尾根の縦走路もあったため、設置場所の調査は2泊3日におよびました。機材を背負っての調査活動は、体力面で選抜されたスタッフであっても厳しいものになりましたが、貴重な経験になったようです。
ソフトバンク 東海ネットワーク技術部担当者のコメント
- 「幸い天候の良い時期に恵まれました。稜線から眺める岩肌の絶景や、水分補給で利用した沢や雪解けの水、山小屋から望む雲海や天の川など、標高3,000mの場所で大自然に触れることができました」
- 「通信インフラへのストレスなく、お客さまに安心してこの美しい景色を楽しんでいただくため、改めて早期エリア化が急務だと思いました」
また、調査ルートの途中にあった鏡平小屋・槍ヶ岳山荘・槍平小屋には、わずかに電波が届いている地点もあり、一時的な対策と試用も兼ねて、ソフトバンクのWi-Fiを設置。Wi-Fiを設置した山小屋からは後日、好評と感謝の声が届きました。
ソフトバンク 東海ネットワーク技術部 エリア化プロジェクト担当者のコメント
「現在までに、西穂山荘・槍平小屋・わさび平小屋・槍ヶ岳山荘に設置した基地局でサービスを開始しており、登山客や山小屋の方々へ安定した通信ネットワークを提供できるようになりました。万事休すという場面もありましたが、山小屋のオーナーや行政担当の方々のサポートのおかげで、わずか1年でここまで実現することができました。お客さまには、北アルプスの雄大な景色を安心して楽しんでいただきたいです。今シーズン中には笠ヶ岳山荘などでも、順次ネットワークを提供できるよう、引き続き気を引き締めて取り組みたいと思います」
(掲載日:2018年9月7日)
文:ソフトバンクニュース編集部