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ヤフーとソフトバンクのシナジーとは? シェアパーキングサービス「BLUU Smart Parking」のこだわりUX裏話

ヤフーとソフトバンクのシナジーとは? シェアパーキングサービス「BLUU Smart Parking」のこだわりUX裏話

欧米を中心に車や駐車場、会議室など、グローバルで加速しているシェアリングビジネス。

2018年7月にソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)が提供する駐車場のシェアリングサービス「BLUU Smart Parking(ブルースマートパーキング)」の開始を発表しました。

発表会の様子やデモ体験映像、サービス概要はこちら

シェアパーキングサービス「BLUU Smart Parking」

ソフトバンクのIoTプラットフォームと、車両の入出庫を感知できるカメラセンサーシステムを組み合わせ、個人や企業が保有する駐車場や遊休地を有効活用できるシェアリングサービス。ドライバーは、スマホ用アプリを使って空いている駐車場を検索し、利用したい日時を選択するだけで簡単に駐車場を予約できます。

「BLUU Smart Parking」のウェブサイト

本サービスはヤフーとソフトバンクが連携して開発。2社のシナジーはどう生まれたのか、UX(ユーザー体験)や機能のこだわりや苦労話など、ここでしか読めない現場の裏話を死に物狂いでサービスを作った開発者たちに聞いてきました。

今回、話を聞いた開発者たち

ヤフー株式会社 ローカル検索本部事業開発部/ソフトバンク株式会社 シェアリングビジネス課 岡田義一さん

ヤフーで、広告、飲食店予約サイト「Yahoo!ダイニング」、「Yahoo!トラベル」サービスの企画を担当。新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」で検討中の事業をソフトバンク本体で行うことになり、2018年4月にヤフーからソフトバンクへ出向。

ソフトバンク株式会社 シェアリングビジネス課 永井学さん

ソフトバンクの通信事業の技術統括で、予算管理や投資計画を担当。2017年4月からソフトバンクの収入の柱だった通信事業以外の新規ビジネスを作っていくグローバル事業戦略室へ異動し、「BLUU Smart Parking」ではプロジェクトマネージャーを担当。

新規事業の企画内容が3つかぶっていた

立ち上げの経緯は?

岡田 ソフトバンクの新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー(以下、イノベンチャー)」で駐車場のシェアリングサービスを企画していたので、Yahoo!カーナビの担当者に相談に行ったんです。そうしたら「同じような企画をいくつも受けているから、ちゃんと整理してから相談に来てよ」と言われました(笑)

それをイノベンチャー役員の牧園さんに相談したら、似たような事業を企画しているテクノロジーユニット(通信事業の技術分野を担当する部署)チームと法人営業チームがいたため、一緒にやることになりました。

各チームの駐車場のシェアリングサービスにはどのような違いが?

永井 個人が駐車場を利用することは共通していて、テクノロジーユニットは「駐車場を貸す側は個人」、法人営業は「駐車場を貸す側は法人で、コインパーキング事業者のソリューションとして IoT機器を開発」、イノベンチャーは「駐車場を貸す側は法人と個人両方」というような違いでした。

岡田 皆それぞれの思いがあって、見ているお客さまも違うので、毎日何時間も缶詰で「ああだこうだ」とディスカッションをしながら3チームの落とし所を見つけるのが大変でしたね(笑)

ユーザーファースト×営業力×通信技術力

ソフトバンクとヤフーの文化の違いやシナジーは?

永井 ヤフーはどのサービスも「ユーザーファースト」という言葉を使っていて、どうやったら「ユーザーが使ってくれるか」「ユーザーのベネフィットはなにか?」から考える文化があるんですけど、そこがサービスのUXをよくするのにとても参考になりました。

岡田 ソフトバンクは「ビジネスファースト」で、どうやったら「お客さま(駐車場のオーナー側)が契約をしてくれるか」から考える文化が強いと感じました。

永井 「鶏が先か? 卵が先か?」のような話で、「駐車場が先か? ユーザーが先か?」という難しさがありました。シェアリングビジネスは、貸し手がいないとサービスの提供ができませんが、実際に使ってくれるユーザー(ドライバー)がいないと事業として成り立ちません。よくアメリカなどでUBERを使った人は分かると思うんですけど、どこに行ってもすぐにタクシーが来るんです。それって、あらゆる場所に駐車場があるからで。

岡田 法人営業がいてくれたおかげで、一気に用地を獲得できました。また、デバイスやアプリケーション、IoTプラットフォームなどを作って、それらを全て連携させないといけないので、テクノロジーユニットに助けられました。技術的にも、通信エリア的にも通信会社ならではのノウハウが生きたと思います。

地獄の駐車100本ノックとより良いUX(ユーザー体験)のためのこだわり機能

サービスのUXを高めていくためにやっていることは?

岡田 企画職はもちろんデザイナーやエンジニア、運用担当、プロジェクトの責任者まで、あらゆる役割のメンバーで自社含む他社サービスを使い倒して、課題を見つけています。使い倒した数は、プロジェクト内トライアルの2週間で100回ぐらいになると思います。実際に使ってみると、どこで困るということがよく分かり、リーンスタートアップという考え方の元に、サービスの分析と改善を行っています。

  • コストをかけずに最低限のものを短期間で作り、ユーザーに使ってもらって改善するというサイクルを繰り返すことで、新規事業の成功率を高めようとする米国シリコンバレー発の手法

800項目以上のサービス改善リスト

こだわり機能① 使った分だけ! 支払いは1分単位で

ユーザーファーストで生まれた機能はありますか?

永井 駐車場を1分単位で課金される機能ですね。コインパーキングなどの駐車場は基本的に10分や15分単位で課金されるのですが、ユーザーのことを考えて「BLUU Smart Parking」は1分単位にしています。駐車場のオーナー対応をしている法人営業からは「既存の駐車場の商習慣と違うから理解してもらうのが大変だ」と最初は衝突したのですが、サービスの提供する側と提供される側でフェアな関係を作りたい、ということでそこに着地しました。

こだわり機能② 渋滞で遅れても大丈夫! 1分前まで予約時間を変更できる

岡田 あとは、1分前まで予約時間の変更やキャンセルができる機能ですね。ユーザーにヒアリングをしたときに、渋滞や急な予定変更などの意図しないトラブルでどうしても予約時間と到着時間がずれるということが分かりました。ユーザーに悪意がなくても起きてしまうことなので、少しでもユーザーに寄りそう形にしたいと思い、この機能を入れました。

ユーザー(ドライバー)の駐車体験を変え「どこに行っても駐車で困らない」世界を作りたい

今後の目標は?

岡田 「ユーザーの駐車体験を変えたい」です。今のような現地に到着してから「駐車場はどこにあるんだろう」「どっちの駐車場が安いんだろう」みたいな余計なストレスを減らしたいんですよね。

永井 ビジネスのスケールを考えると、やはり個人宅の駐車場の拡大です。「どこに行っても駐車で困らない」という世界を作るためには、法人の駐車場だけだと限界があるので、個人宅のオーナーをいかに増やせるかですね。

「BLUU Smart Parking」は、10月3日から一部限定エリアで商用トライアル開始!

「BLUU Smart Parking」は、10月3日から一部限定エリアで商用トライアルを開始しました。東京都内各所で利用可能なので、イベントやドライブ、買い物、ちょっとしたお出掛けの際にぜひ試してみてください。

BLUU Smart Parkingのウェブサイトをチェック

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(掲載日:2018年10月3日)
文:ソフトバンクニュース編集部