キャッシュレス化の波を受けて、スマホ決済アプリ導入を推進している、とある商店街。商店街を舞台に男女が繰り広げる4つのストーリーを、オムニバス形式でご紹介します。
-
- ※ストーリーはフィクションですが、サービス内容は事実に基づいています。
第1話 和菓子屋の後継ぎ男子の場合 ~お団子ヘアのあの子との出会い~
登場人物
加藤 健人(19)
大学生。商店街にある老舗和菓子屋の後継ぎ。和菓子づくりは好きだけど、店番続きの毎日にちょっと食傷気味。
大石 和華子(18)
和菓子大好き女子。商店街の近くで一人暮らしを始めたばかり。
オレの家は創業100年近い老舗の和菓子屋だ。
大学生になってもうすぐ1年たつというのに、来る日も来る日も店の手伝いに追われている。大学生ってもっとこう、キラキラした感じをイメージしてたんだけど……華のキャンパスライフは一体どこ?
なんてブツブツ言いながら、レジの小銭を数える。はたから見ると完全に怪しいヤツだ。
さっきまで常連さんがひっきりなしに訪れていたけど、今は午後の忙しい時間帯を抜けて、店の中もガランとしている。
常連といっても、近所のじいちゃんばあちゃんばかり。オレのことを小さい頃から知っているから孫のようにかわいがってくれる。正直、和菓子づくりは嫌いじゃないし、「こんな日常も悪くないな」とたまに思うけど、もうちょっとこう、刺激が欲しいよなあ……!
そのとき、1人の女の子が店に入ってきた。
長い黒髪を頭のてっぺんでまとめた、お団子ヘアが特徴的な女の子。年はオレと同じくらいだろうか。若い女性客は珍しい。「いらっしゃいませー」の声が思わず裏返ってしまった。
真剣な目でガラスケースの和菓子を見つめていた彼女だったが、顔を上げるとオレに声をかけてきた。
「あの……“つめこみ大福”って置いてますか?」
つめこみ大福。それはオレが以前考案したオリジナル商品だ。
大きなつぶあん大福に、クリームチーズとイチゴと栗をつめこんだもので、その絶妙な組み合わせが新感覚の自信作……
のはずだったが、正直常連さんからの評判はあまりよろしくなく、今ではガラスケースの隅に追いやられている。
だから彼女も見つけづらかったのだろう。指を差して教えてあげると、彼女はパッと笑顔になった。
「あっ、これこれ~! このあいだ食べてからハマッてるんです!」
自分が考えた商品を気に入ってくれた人がいる。正直めちゃくちゃうれしい。いつもより丁寧に包んであげた。
「お会計はこれで……」と彼女が取り出したのはスマホ。
うちの店で導入したばかりのスマホ決済アプリ「PayPay」での会計だ。「これからはうちみたいな店でも、電子決済を取りいれるべきだ!」と両親に強く勧めたかいがあった……!
「ペイペイ!」という決済音が、オレには運命の音に聞こえた。いつもなら女子に声をかけるのは苦手だけど、自分から話しかけてしまう。
「あの……学生さんですか?」
「あっ、そうです、来月から、そこの……」
この近くに大学は一つしかない。そしてそこはまさに、オレが通っている大学だ。
「オレも! 来月から2年生!」
「えっ、学生さん!? というか、先輩!? こ、これからよろしくお願いします!」
慌てた様子で彼女がぺこりと頭を下げる。
……オレの青春、今日からスタートかも?
第2話 新婚カップルの場合 ~夫の怪しい行動、そのとき妻は?~
登場人物
佐伯 あかり(29)
結婚1年目。大手企業の広報。気が強くて仕事もできるけど、メンタルが繊細なところも。
佐伯 諒(31)
あかりの夫。文具メーカーの営業マン。普段は気が弱いけど包容力はある。
結婚して1年が過ぎた。夫は最近、大きなプロジェクト立ち上げに関わることになり、仕事の帰りが遅い。
大変そうだけど、真面目な夫は「やっと俺も大きい仕事を任されるようになった」と満足そうだ。そんな彼を見て、私は幸せを感じていた。
そう、あの瞬間までは……。
その日、彼はいつもより早く帰宅した。2人で食卓を囲むことができて、食後にワインを飲むこともできた。久々のゆったりした時間を楽しんでいると、夫が操作していたスマホの画面が偶然目に入った。
「PayPay」の決済履歴を見ているようだったが、画面をずっとスクロールしている。
……なんで、そんなにたくさん決済履歴があるの?
何かが引っかかった私は「何を見てるの? そんなに真剣な顔して」と軽い口調で聞いてみた。夫は眉間にしわを寄せたまま、
「うん、仕事のメール」
さっき見えた画面は絶対メールの画面じゃない。嘘をついている……だけど、なぜそんな嘘を?
「ちょっと貸して」とわたしは強引に夫のスマホを奪って画面を見た。履歴には、飲食店への支払いがいくつも表示されていた。
「なにこれ?」
かなりひんぱんに飲み歩いているらしい。この1週間だけで、5回も!
「どういうこと? 帰りが遅いのは仕事のせいじゃなかったの?」
夫は気まずそうな顔で黙っている。わたしは、夫が飲み歩いたお店を自分のスマホで調べてみた。どれも近くの商店街にある店ばかり。オシャレで、店内が薄暗い「いい感じ」な雰囲気の店ばかりだった。
ふつふつと、怒りが込み上げてくる。
「まいったな……」と夫がため息をついた。
「こっちのセリフでしょ!」
自分でも驚くほど大きな声が出てしまったけれど、もう後には引けない。
「一体、誰と飲み歩いてんの!? あんたもしかして……」
疑いの言葉が今にも口から出そうだったそのとき、「違うんだよ!」と夫が珍しく大きい声を出した。
「やましいことはなくて、実はこれ全部自分で飲んだ分で……。というかまずはごめん! これにはちゃんと理由があって、ほら、もうすぐ俺たち、記念日でしょ?」
「ハア? 結婚記念日は2カ月も前でしょ!」
「あ、やっぱり忘れてる? 来月、俺たちが付き合った記念日」
……どういうこと??
「笑われるかもしれないけど、俺、結婚してもずっと恋人みたいな関係でいたいんだ。だから付き合った記念日を忘れないために、サプライズしたくて、その下見に……。普段あんまりオシャレな店行かないからさ、前もってチェックしとかないと、当日カッコ悪いなと思って……」
……予想外の答えに、怒りが行き先を失ってしまった。あきれると同時に、恥ずかしそうな夫の様子に笑いがこみ上げてきた。
冷静になって夫の「PayPay」決済履歴を見ると、どの店でもごく少額の支払い。もし誰かと飲み歩いていたのなら、こんな金額じゃ収まらないだろう。
それにしても「付き合った記念日」って、学生じゃないんだから、もう!
……疑ったりしてごめんね。
第3話 オトナ女子とイケメンバーテンダーの場合 ~オトナの余裕を見せたいのに…?~
登場人物
吉田 ゆみ子(33)
インテリアデザイナー。仕事は楽しく充実しているが、プライベートにはちょっと物足りなさを感じている。
星野 誠也(25)
バーテンダー。自分のお店を出すために学生時代から資金をためて、最近、商店街にバーを開業した。
女子会終わりの帰り道。
話題は今日も結婚の報告だった。友だちが幸せになるのはうれしいけど、「わたしの幸せってなんだろう?」なんて考えちゃう。
仕事は楽しいし充実しているけど、プライベートではこれといった趣味も彼氏もなし。別に大きな不満があるわけじゃない。でも、本当にこのままでいいのかな?
こんなとき、ただ話を聞いて、うなづいてくれる人がいたらなあ……。
そんなことを考えながら帰り道の商店街を歩いていたら、最近できたオシャレなバーが目に付いた。1人でバーに入ったことはないけど、何かを変えたくて、勇気を出して入ってみる。
「いらっしゃいませ。初めてですか?」
緊張して足を踏み入れたら、若い男性バーテンダーが笑顔で迎えてくれた。多分、私より結構年下? イケメンはちょっと苦手だけど、人懐っこそうな笑顔に緊張がほどける。
オーク材造りのカウンターに趣味の良いチェア。店主のこだわりを感じる……。こぢんまりしているけど、なんだかあたたかいお店だった。
わたしはビールを注文して一気に飲む。バーテンダーが目を丸くしている。
「なんか、嫌なことでもあったんですか?」
「あー、聞いてくれる? 実はね……」
普段あまりグチは言わないけど、客という立場に甘えて話せることもある。わたしは追加で白ワインを注文して、とりとめもないグチをグダグダとしゃべり続けた。
彼は嫌な顔ひとつせず、適度な相づちをうち、ときに笑い、ときに驚きながら、真剣に聞いてくれた。
心地よかった。話しているあいだ、彼はわたしの言うことを一度も否定しなかったし、年上の女性として敬意みたいなものを示してくれた。
それはバーテンダーと客という関係上、当たり前なのかもしれないけど、それでもうれしかった。久しぶりに自分のことを肯定できた気がする。
じゃあ、最後も大人っぽくふるまおう。わたしはスマホを取り出し、最近ダウンロードした「PayPay」を開いた。まだ一度も使ったことないけど、いい機会。今日はいろんな初めてに挑戦する日だ!
コレでスマートに会計して、さっと去る。今日だけカッコ良い女を演じよう……って、これ、どうやって使うの?
「あ、これはですね、このQRコードを、こうやって……」
彼の手がわたしのスマホに伸びて、操作方法を教えてくれる。首もとからかすかに甘い香りがして……。
ってあれ、なんかいま、距離がすごく近い……?
「ね? 一瞬で終わり」
大人の余裕を見せようと思ったのに、こっちがドキドキしてしまった! だけどこういうのも、悪くない、かも……?
「ゆみ子さん、また来てくださいね!」
異性に下の名前で呼ばれたのって、いつぶりだろう。
笑顔で見送ってくれた彼の無邪気な声を背中で聞きながら、足取りが軽くなっていることを感じていた。
きっとまた、すぐ来ちゃうんだろうなぁ。
第4話 引っ越してきたばかりのカップルの場合 ~「PayPay」でつながる、みんなの日常~
登場人物
佐藤 翔太(26)
ITエンジニア。仕事はマジメにこなすが、プライベートはちょっとズボラ。趣味は映画鑑賞で、ミニシアター系が好き。
高橋 美咲(26)
PR会社勤務。外見はオシャレで華やかだが、実は筋金入りの漫画オタク。最近は映画鑑賞にもハマっている。
翔太と美咲の出会いのストーリーはこちらから
美咲ちゃんと付き合い始めて1年。先週から僕たちは一緒に住み始めた。
引っ越し先に選んだのは、歴史の古い商店街がある下町。最近では再開発でオシャレなカフェや飲食店も増えていて、ここ数年、ひそかに人気の街らしい。
引っ越して最初の休日。今日は2人で、商店街にある家電量販店へ。引っ越し祝いに、ちょっとふんぱつして、ホームシアタースピーカーを買うことにした。
僕たち共通の趣味でもある映画鑑賞を充実させるためだ。思えば、美咲ちゃんと最初に出会ったのも映画館だったっけ。
支払いは「PayPay」で。
この商店街には「PayPay」を利用できる店が多い。どうやら街をあげて、キャッシュレス化を推進しているらしい。
「家で映画を観るのが楽しみになるね!」
とテンションが高い美咲ちゃん。
帰り道、気になっていた和菓子屋に寄ってみる。店に入ると、若い男性店員と常連客らしいお団子ヘアーの女の子が親しげに話していた。2人とも大学生くらいだろうか? 男性店員は僕たちに気付くと、「いらっしゃいませ!」と接客モードに切り替わる。
「このつめこみ大福って、美味しそうじゃない?」
甘いもの好きの美咲ちゃんが目を輝かせている。
「お客さん、お目が高いです!」
男性店員が声をかけてきた。「私もこれハマっちゃって、最近毎日通ってるんですよ」と今度はお団子ヘアーの女の子。リピーターがつくくらい美味しい大福なら、味も期待できそうだ。
イチオシ商品ということで2つ、「PayPay」で購入。創業100年近い老舗らしいのに、電子決済対応とはさすがだ。僕も美咲ちゃんも甘党だし、これから行きつけのお店になるかもな。
店を出て商店街をぶらぶら散歩していると、隠れ家的な雰囲気のバーを見つけた。飲むにはちょっと早い時間だけど、休日だし、思い切って入ってみることに。
店内に入ると、若いバーテンダーが爽やかな笑顔で迎えてくれた。カウンターにはカップルらしい男女と、落ち着いた雰囲気のOL風の女性客。
カウンター席に座ってビールを2つ注文すると、カップルの男性が話しかけてきた。
「このお店、よく来るんですか?」
「初めてなんです。最近、この近くに引っ越してきて」
「おっ、どのへんですか? 僕たちもこの近くに住んでるんですよ。な?」
と、男性が連れの女性に笑顔を向ける。
「お2人は新婚さんなんですよ」と若いバーテンダーが教えてくれた。奇遇にも、僕たちの家から歩いて5分ほどのマンションに住んでいるらしい。
引っ越し早々、ご近所さんの知り合いができてうれしかった。奥さんと美咲ちゃんは相性がいいのか、女性同士いきなり意気投合している。趣味も合うらしく2人は少女漫画の話で大いに盛り上がっていた。
僕は旦那さんに「結婚生活、うまくやる秘訣ってなんですか?」と聞いてみた。
「まあ、とにかく隠しごとはしないことかな。あとカッコつけて慣れないサプライズとかはしないこと!」
「その通り!」と、奥さんがビール片手に合いの手を入れる。そのタイミングが絶妙で、店内にいた全員が笑ってしまった。
この店でも「PayPay」で会計を済ませ、ほろ酔い気分で店を出た。帰り道、うす暗くなってきた夕暮れの空に、東京スカイツリーが浮かび上がっているのが見える。
その景色を見ながら、美咲ちゃんが僕の手を握る。
「私、この街、好きかも」
「……うん、僕も」
新しい街での新しい生活。なんだか、うまくやっていける気がした。
(掲載日:2019年2月15日)
文:山田宗太朗、エクスライト
イラスト: 石井あかね
全国規模のチェーン店から個人経営のお店まで、さまざまなお店で使える「PayPay」。日常のちょっとしたシーンで使ってみませんか?
「PayPay」はQRコードやバーコードだけで、お店でカンタンに支払いができるスマホ決済アプリ。最短1分から始めることができて、新規登録で500円相当、また毎回の利用時にはお支払い金額の0.5%相当のPayPayボーナスがもらえます。利用可能なお店も続々拡大中! 日常のちょっとしたシーンで使ってみませんか?