ランニングは、気軽に始められて体づくりにもつながる、魅力的なスポーツです。しかし、初心者の方にとっては、体力やケガなどの理由で、継続的に走り続けること自体がなかなか難しいのではないでしょうか?
そこで、快適かつ楽しく、ランニングを続ける手助けをしてくれる鍵になるのが「データ」です。
今回は、“走る”フリーライター・三河賢文さんが、アシックススポーツ工学研究所を訪ね、データを生かしたランニング研究を体験してきました!
目次
データを知れば、ランニングはもっと楽しくなる!
ランニングは年齢や性別を問わず、ウエアとシューズさえあれば誰でも始められるうえ、体力や心肺機能の向上、基礎代謝のアップなどの効果も期待できます。
私・三河は、主にランニングの分野での取材や執筆を専門とし、地元ではランニングクラブを運営したり、全国各地を走り回ったりしています。
そんな私も、ランニングを始めたキッカケはダイエットでした。
就職、結婚を経て運動から離れ、30歳を迎える頃にはみるみる体重が増加。走り始めたのはいいものの、若い頃とは違って脂肪は落ちにくく、体力・脚力も驚くほど低下していました……。しかし走り続けた結果、35歳になる現在は当時から20kgほど体重が減り、フルマラソンはもちろん約100kmのウルトラマラソンも完走できるまでに! ランニングを通して健康的な体を手に入れました。
最近は、ランニング初心者でも楽しみながら走り続けられる、IoTツールやアプリも増えてきています。例えば、アシックスが提供するランニングアプリ「ASICS Runkeeper」。ソフトバンクが提供するヘルスケアアプリ「パーソナルカラダサポート」とデータ連携させることで、日々の健康管理とランニングの進捗状況が併せて確認できるんですよ。
パーソナルカラダサポートとは
まさに、蓄積されるデータは努力の結晶。走るモチベーションを高めてくれることでしょう。さらにデータを上手く活用することは、ランニングのレベルアップにも繋がります。
データを使ったランニングを学ぶため、向かったのは……
そこで今回、神戸市にあるアシックススポーツ工学研究所に伺い、ランニングフォームや全身持久力の測定、足形の分析などを体験してきました!
アシックススポーツ工学研究所
兵庫県神戸市にある、アシックスの研究開発の中枢を担う施設。施設内では人の身体やその動きに関する分析が行われ、データをもとに素材や製品、サービスなど、新たな技術の研究開発が行われています。
それでは、早速行ってきます!!
アシックススポーツ工学研究所に潜入! これが先進のランニング・テクノロジーだ
エントランスの空間は、まるで現代美術館のよう……。今回、こちらのアシックススポーツ工学研究所を案内してくださったのは、同研究所のサービス機能開発チーム マネジャーの品山亮太さん(左)と技術戦略チーム マネジャーの森洋人さん(右)のお2人。
今日はよろしくお願いします!
体験①:筋肉量のバランスも分かる、体格的測定(体組成)
まずは、体重や体脂肪率、筋肉量などの体組成を測定することに。
左右それぞれの筋肉量のバランスなども分かり、その状態について品山さんが詳しく説明してくれます。私は全体的に平均的な筋肉量で、上半身・下半身ともほぼ左右均等でした。
体験②:AIがフォームの特徴を教えてくれる、ランニングフォーム測定
続いて、トレッドミルを走り、ランニングフォームを分析。走っている姿をタブレットで撮影することで、これまで蓄積されたデータから、AI(人工知能)がランニングフォームを数値化・評価してくれるのだとか(測定用のアプリ、アシックスランニングアナライザーを独自開発)。
普段自分のフォームを見る機会は少ないので、どんな結果が出るかドキドキします……。
ランニングフォーム測定でわかること
- ピッチ(1分間あたりの歩数)
- ストライド幅(1歩あたりの歩幅)
- 上下動(1回のステップでの上下に動いた量)
- 体幹の前傾具合
- 腕と脚の振り幅
自分に合ったトレーニング方法も提案してくれるので、何を改善すべきなのか一目で分かります! 今回走ったのは6:00/km(1kmを6分で走るペース)のスピードで、いつものジョギングより遅め。そのためか上体が起き上がり気味でしたが、ペースに関わらず前傾を維持できるよう改善したいと思いました。
体験③:自分のレベルに合ったペース配分が見つかる、全身持久力測定
同じトレッドミルを使い、今度は全身持久力を測定。呼吸の状態を分析するため、特殊なマスクを装着して走ります。心拍計測なども加えると、さらに詳細な測定が可能になるそうです。
計測の仕方は、マラソンの自己ベストタイムなどから測定時のランニング条件をあらかじめ設定し、自動で段階的にペースが上がっていくというもの。最後は3:35/kmほどまでペースが上がり、かなり汗だくで必死でした……。
全身持久力測定でわかること
- 現時点でのフルマラソンの予測タイム
- ATペース(有酸素運動から無酸素運動にシフトしていく「しきい値」。この数値を超えるペースでは長く走り続けることが困難に)
吸い込む酸素量(白色のグラフ)と吐き出す二酸化炭素量(黄色のグラフ)の値を見ていくと、最初はほぼ同じペースで増えていたのが、あるタイミングで二酸化炭素の増え方が大きくなるところがあります。これ以上のペースでは、十分な酸素が取り込めていないため呼吸が荒くなり、この状態で長く走り続けることは困難に。
ちなみに、私の場合は予測タイムが2時間54分、ATペースが4:04~4:08/km。フルマラソンの自己ベストが2時間46分だったので、感覚値と大差はなく、データの正確性は高いのではないかと感じました。
体験④:シューズ選びに役立つ、体格的測定(足形)
次の部屋で行ったのが、シューズの製造・提案にも用いられる足型の計測。専門機材を使って足のサイズや足底分布、かかとの傾斜角度などが分かります。
自分ではあまり左右で大きさに変わりはなく、バランスも良い方だと思っていました。
しかし……
データを見てビックリ!
なんと左足に比べて、右足がかなり大きい(足幅:左足 238.6mm、右足 244.0mm)ことが分かったんです。これは、もはや左右で違うサイズのシューズを履いた方が良いのでは? と考えてしまうほどです。身体のことって、自分では分かっていないものですね。
体験①・③・④は、「アシックスランニングラボ」で体験できます!
以前は、これまでトップアスリートを対象に行われていた「ランニング能力測定」のサービスを、一般のランナーにも提供。現在は、東京、原宿、大阪にあるアシックスストアの3店舗に常設されています。
今回三河さんが体験した測定のほか、「脚筋力」なども計測することが可能。専門スタッフがランナーそれぞれの特徴を科学的に捉え、パフォーマンス向上の指針を提案し、ランニングのスキルアップをサポートしてくれます。
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- ※ランニングラボでの測定方法は、今回の取材内容と一部異なります。現在、アシックススポーツ工学研究所では「ランニング能力測定」「ランニングラボ」のサービスは実施していません。
・ランニングフォーム測定:常設された4方向カメラによる撮影映像+目視での確認によるチェック項目からアドバイス内容を導き出し、映像はDVDでお渡しします。 - ※タブレットを使った測定のランニングアナライザーは「アシックスラン東京丸の内」で体験できます(2019年2月現在)。
- ※ランニングラボでの測定方法は、今回の取材内容と一部異なります。現在、アシックススポーツ工学研究所では「ランニング能力測定」「ランニングラボ」のサービスは実施していません。
研究所内には、他にも気になるエリアが!
モーションキャプチャーによってランナーの動きを分析するエリアでは、複数の専用カメラを用いた詳細な3次元動作分析に加え、走路にセンサーが埋まっており、着地した瞬間の衝撃力や、蹴り出しの力の強さや向きまでも測定され、スクリーンに映し出されます。これらのデータはアスリートのフォーム改善はもちろん、シューズやウエア開発にも役立てられているそうです。
研究所内では、ソール材料の開発や、耐久性や屈曲性のチェックなども行われています。何度もシューズを屈曲させたり、素材を摩耗させたりと、高い品質と機能を維持するために、アシックスの持つ技術と知識がここには詰まっています。
担当者に聞く、自分に合ったランニングのペースとシューズの選び方
データを知ることはとても勉強になりましたが、多くの人は今回体験したような計測はなかなかできませんよね。自分のATペースを知るために、何か目安になるものはありませんか?
「ギリギリ、笑顔で喋りながら走れる」程度のペースを目安にしてみてください。心肺機能を向上させたいなら、週2回はそのペースよりもやや速いペースで40分~1時間ほど走ることをオススメします。逆に30kmなど長い距離を走る場合は、そのペースよりやや遅めが良いですよ。
そもそも、走ったデータを残しておくことのメリットはどこにあるのでしょう?
自分の日々の状態や成長を定点観測できることですね。「ASICS Runkeeper」では走った距離や時間、ペースなどに加えて、顔マークでその時の気分(主観でのコンディション)を記録できます。
このペースで、このくらいの距離を走ったとき、苦しさの度合いはどうだったのか。これは自分のATペースの目安を見つけるのにも役立ちますよ。
ランニングシューズ選びのポイントを教えてください。
自分に合ったシューズであることが前提ですが、用途に合わせて使い分けることをおすすめします。例えば、シーズン初めでまだ足が慣れていない時期や、レースが近づいてきてロング走を行うときには、クッション性や安定性に優れたサポート系のシューズをお選びいただくとよいかと思います。
また、インターバルやスピード練習を行うときには足運びを意識しやすい軽量性に優れたシューズを選ぶなど、シーズンや練習内容、シーンなどに合わせて適切なシューズを使い分けることをご提案しています。
最後に、研究所のコンセプトを教えてください。
私たちアシックススポーツ工学研究所のポリシーである「Human Centric Science」です。ランナーの皆さまを第一に考えたサイエンスを通して、質の高いライフスタイルを提供する。その実現にむけて、日々の研究開発へ取り組んでいます。
ありがとうございました!
アシックススポーツ工学研究所でのデータランニング体験、いかがでしたでしょうか?
自分のランニングフォームや足の状態をデータで客観的に見る機会は、なかなか得られるものではありません。しかし、今回の体験を通してパフォーマンスの向上、あるいは自分に合ったシューズ選びに、データ活用は大きな可能性を持つのだと感じました。
データを使いこなすことで、いつものランニングがもっと楽しくなりそうです!
アプリを使えば自分に合った走り方が見つかる!
アシックスのランニングアプリ「ASICS Runkeeper」は、レベルやランニングの頻度に合わせたトレーニングの仕方、スケジュールなどを教えてくれる「ASICS Runkeeper Go」にアップグレードすることができます(月額1,200円[税込]~)。
ソフトバンクユーザーの方なら「パーソナルカラダサポート」のプレミアムプラン(月額使用料:400円[税込])に加入することで、この「ASICS Runkeeper Go」が使い放題に! 加えて、「ASICSランニンググッズセット」または「アシックスランニングラボ体験」が抽選で当たるキャンペーンも実施中です(2019年2月28日まで)。
本キャンペーンは終了しました。
……とはいえ、いきなり有料版に登録するのはハードルが高いと感じている方は、どちらのアプリも無料版から使い始めることができますよ。ぜひ次回のランニングから試してみてくださいね!
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(掲載日:2019年2月18日、更新日:2019年3月5日)
編集:エクスライト
文:三河賢文
撮影:小川康貴
場所:アシックススポーツ工学研究所
この記事で紹介したアプリ
パーソナルカラダサポート
体重や歩数などをグラフで表示してくれるヘルスケアアプリ。アプリがインストールされたスマートフォンを持ち歩くだけで、毎日の歩数を自動的に測定し記録してくれます。歩数に合わせてバーチャル旅行を体験できる「東海道五十三次」や「日本全国ご当地お父さん巡り」といったコンテンツも用意されているので、楽しみながら健康管理に取り組めるはずです。
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- ※本サービスの対象は、ソフトバンクの対応機種をご利用中のお客さま、ウェブ使用料にご加入中のお客さまとなります。
ASICS Runkeeper
ランニングやウォーキング、フィットネスなどさまざまなアクティビティの進捗状況が確認できます。カスタムトレーニングプランに沿って、目標達成しましょう!