いよいよプロ野球2019シーズン開幕! 感動と興奮の毎日が今年もやって来ました。
去年日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスが今シーズン掲げるスローガンは「奪Sh!(ダッシュ)」。
パ・リーグ優勝の奪回、そして球団史上初 3年連続日本一を目標にペナントレースに挑みます。
そんなホークスの試合をより深く楽しむために押さえておきたい選りすぐりの見どころ5選を、ホークス球団公式サイトにも寄稿するなど、長年にわたりホークス取材に携わるスポーツライターの田尻耕太郎さんに教えてもらいました。
今年も頼むぞギータ! 選手会長が目指す壮大な夢、本塁打50発
豪快なフルスイングから放たれる規格外の放物線。
昨シーズンのホークスは12球団最多のチーム202本塁打という破壊力を見せつけた。そのうち36発を放ったのが柳田悠岐選手。背番号9の主砲はそれに加えて102打点を挙げた。
「初めて100打点を超えた。それが一番うれしかった」と振り返る。迎えるプロ9年目となる今シーズン。「野球は相手のあるスポーツなので思い通りにいかないもの。だけど数字を挙げるならば、今季はホームラン50発を打ちたい」と壮大な目標を掲げている。
誰もが認める日本球界を代表する“飛ばし屋”だが、かつては「僕はホームラン打者タイプじゃない」と謙遜していた。転機は入団5年目だ。その年は自身初の144試合フル出場を果たし、打率3割も初めてクリアしたが、本塁打は15発に終わった。
「僕はそれなりに打てたと思っていましたが、聞こえてくるのは『アイツ全然打たんな』という言葉でした。周りの期待に自分が追いついていなかった」
期待に応えたいという一心で、自分をさらに追い込み、弱気な発言も控えるようになり、打球を1ミリでも遠くに飛ばすことにこだわった。その翌年34本塁打。「超人ギータ」誕生のきっかけを作った。
「その反省が成績につながった。ただ、打てばまたハードルがどんどん上がる。何か損しとるなと思います(笑)。だけど期待してくれる人が居なくなったらおしまい。だから、僕は幸せです」
今季のホークス打線も、やっぱり柳田悠岐選手がキーマンとなる。
おかえりサファテ! でも、昨季のセーブ王は森唯斗。どうなる守護神? そして勝利の方程式は?
今年のホークスには2人の「セーブ王」がいる。一体、どちらが守護神の座を射止めるのか。
1人目は、一昨年のMVP、プロ野球新記録の54セーブを打ち立てたデニス・サファテ投手だ。昨年は開幕直後の4月に股関節を故障してチームを離脱。アメリカに帰国して手術を行い、そのまま現地でリハビリを行った。
その間のチームの危機を救ったのがもう1人の男、森唯斗投手だった。
「7回や8回と、9回の抑えのマウンドでは全然違う」と重圧を感じた時期もあったが、どんどん安定感を増していった。
「夏のオールスターできっかけをつかみ、投げ方を変えました。ボールを離す瞬間に一気に力を入れる。0から100へ。それがうまくいきました」
昨季37セーブでタイトルを獲得。日本一の瞬間、胴上げ投手にもなった。
2人はライバルなのか。いや、兄弟のような関係にしか映らない。
今年2月、サファテ投手が10カ月ぶりにチームに合流。一人ひとりとハグをして再会を分かち合ったが、サファテ投手は森投手を見つけるや甲高い声を上げて誰よりも激しく抱きついた。昨年までも、遠征先でサファテ投手は午前中にジムに通うのだが、森投手を毎回のように同行させた。森投手はプロの一流たる姿勢を学んだ。サファテ投手の影響でチャリティー活動にも興味を持つようになった。
今季9回のマウンドにはどちらが立つのか。サファテ投手は昨年の股関節手術の影響もあり、開幕は2軍スタート。とはいえ必ずマウンドに帰ってくるはずで、高め合う2人の存在が今季のホークスをまた強くしていくはずだ>また、「勝利の方程式」には昨季72試合登板の加治屋蓮投手や左腕のモイネロ投手らに加え、ルーキーの甲斐野央投手や奥村政稔投手、新・育成の星川原弘之投手らが座る見込みだ。
今年は即戦力ルーキーが勢ぞろい! チーム内で新人王争いは!
最速159キロ。このインパクトだけで期待感が込み上げてくる。ドラフト1位入団の甲斐野央投手は「球速にこだわりはあります。160キロを出したいし、いつか166キロも」と夢に思いをはせる。大リーガーの大谷翔平選手が北海道日本ハム時代に記録した日本人最速を塗り替えるのが目標だ。
3月3日のオープン戦、初めて上がったヤフオクドームのマウンドで158キロを記録した。シーズンに入り気持ちも高ぶっていけば大台突破は十分あり得る。
「魅力ある選手、愛される選手になりたい」と話す背番号20から目を離せない。
その甲斐野投手にも引けを取らない「ストレートの威力」を誇るのが2位入団の杉山一樹投手だ。あの千賀滉大投手が「あいつの真っすぐはすごい」と大絶賛する。球速は150キロを超え、捕手の向こうまで突き抜けそうなほどの伸びがある。潜在能力がオバケ級。また、「きつい練習を乗り越えようと頑張る自分が好き」など、時折珍発言を見せるキャラにも注目したい新人だ。キャンプ終盤の故障で開幕1軍を逃したが、必ず戦力になるはずだ。
また、昨年までホークスには攝津正投手というエースと呼ばれた男がいた。真摯に野球に向き合う姿勢はまさに若手の手本で、人望も厚かった。その攝津投手と縁を感じる2人のルーキーがいる。
1人目は4位入団の板東湧梧投手。完成度が高く、そのピッチングを見た和田毅投手が「フォームが攝津に似ている」と連想していた。同じ背番号50、同じJR出身というのも面白い。
もう1人はドラフト7位の奥村政稔投手。今年27歳と遅めのプロ入りだ。くしくも攝津投手も同じ年齢で入団してきた。そして攝津投手は新人王になったのだ。
その攝津投手が受賞して以来、ホークスから新人王は現れていない。今年は大チャンスだ。ホークスから10年ぶりにその栄光をつかむルーキーが誕生すれば、すなわちリーグ優勝&日本一にも大きく近づくことになるだろう。
『奪Sh!』今年は走塁改革で走るホークスへ
今年のスローガン「奪Sh!(ダッシュ)」に込められた意味。昨年逃したリーグ優勝を奪い返し、その上でホークス初の3年連続日本一へとの思いを表しているのだが、もう一つそこには今季にかけるホークスの姿勢が込められている。工藤公康監督がこのように熱弁する。
「昨シーズンはホームラン12球団トップ(202本塁打)でしたが、走塁や盗塁の分が足りていなかったと感じています。全力疾走、塁を盗む、次の塁へ積極的に走るという強い気持ちも込めた『奪Sh!』でもあるのです」
さらに新コーチの存在が頼もしい。かつて2年連続で盗塁王に輝くなど、昨季までバリバリの現役プレーヤーだった本多雄一内野守備走塁コーチだ。また、外野守備走塁を担当する村松有人コーチもタイトル経験者で、2人を合わせると通算612盗塁を数える。
キャンプの練習では特打や特守ならぬ「特走」メニューも今年加わった。選手の盗塁スタートを動画撮影して各自のスマートフォンに配信。映像で確認することで自身の感覚との誤差を埋めるためだ。さらに他球団の俊足選手の動画もチェックして比較できるようにもなっている。
「僕も現役時代に映像を確認することはあった」と本多コーチは話す。
ところで、大人気イベント『鷹の祭典』の今年のテーマカラーは「チャンピオン奪Sh!ブルー2019」。そのベースとなったのが2011年の「チャンピオンブルー」だ。この年のホークスはセパ全11球団に勝ち越しての完全優勝を、プロ野球史上初めて成し遂げた。とにかく圧倒的な強さを誇ったこのシーズンでは年間180盗塁を記録したのだ。
昨季は80盗塁でリーグ5位だった。果たして、どこまで上積みできるか楽しみだ。
日本シリーズMVP男・甲斐キャノンが見る「その先」の進化は?
「甲斐キャノン」――昨年の日本シリーズで、新記録となる6連続盗塁刺を決めて見事MVPに輝いたのが甲斐拓也捕手だった。かつて背番号130の育成選手だった男は一躍スター選手の仲間入りを果たした。
今年、甲斐選手の顔つきは一層たくましさを増した。
「今まではガムシャラに、そして先輩たちの後ろからついていこうという感じでした。でも、去年は試合にたくさん出て日本一こそ達成しましたが、シーズンでは2位でした。悔しかったし、このままの自分ではダメだと気づいたので意識を変えました」
球界一の強肩「甲斐キャノン」。しかし、「まだまだ」と語る表情は険しい。
「去年の盗塁阻止率.447はたしかに1位でしたが、過去には古田(敦也=元ヤクルト)さんが.644、城島(健司=元ダイエー、大リーグのマリナーズなど)さんも5割超を記録しました。今の僕には考えられない。もっと上を目指さないと。今は『甲斐キャノン』という名前だけが独り歩きしている」
先日、イチロー選手が引退会見で「(210安打を放って)番付が一気に上がってしんどかった」と語っていたが、甲斐選手もまた同じ重圧と戦っている。
「でも、注目してもらえるのはうれしい。そのプレッシャーに勝ちます」
いかがでしたでしょうか。
選手層の厚いホークスには他にもまだまだ注目すべき選手がたくさんいます!
ぜひ球場に足を運んで、間近でそのすごさを体感してみてくださいね。
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(掲載日:2019年3月28日)
文:田尻耕太郎(スポーツライター)
写真提供:福岡ソフトバンクホークス
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