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人類史上最大のパラダイムシフトへ ~ソフトバンク平成史④~

人類史上最大のパラダイムシフトへ ~ソフトバンク平成史④~

ソフトバンクは創業以来、「情報革命で人々を幸せに」の経営理念のもと、パソコン、インターネット、ブロードバンド、スマートフォンと、常にパラダイムシフトと共に進化し、世界の最先端テクノロジーへ積極的な投資を行ってきました。そして今、ソフトバンクは通信事業者から戦略的持株会社へ転換しようとしています。

目次

シンギュラリティーへの挑戦とArm社の買収

平成27年7月、連休最後の海の日に、ソフトバンクグループ株式会社は英国ロンドンで記者会見を開き、マイクロプロセッサー(チップ)の設計・開発の世界的な企業である英国Arm Holdings plc(以下「Arm」)の買収を発表しました。

Armは、IoTを支えるプロセッサー技術やソフトウエア技術などを有している企業で、Armの技術は、スマートフォンに搭載されているプロセッサーや、マルチメディアIP、ソフトウエアに至るまで幅広く活用されており、ほぼ全てのスマートフォンのメインチップには、Armのプロセッサー・デザインが組み込まれています。

本格的なIoTの時代を迎え、あらゆるデバイスに半導体チップが入り、インターネットを経由して集積された膨大なデータは、AIによって解析・推論される時代が加速すると考えられています。半導体チップは今後30年間で能力が100万倍になり、さらに次の30年間で100万倍になることが想定され、チップが人間の知能を超えることになる「シンギュラリティー」(技術的特異点)が到来する近い将来には、AIによってすべての産業が再定義され、ありとあらゆる分野で人類史上最大のパラダイムシフトが起きることが示唆されています。

Armの買収はソフトバンクとどのようなシナジーを生むのかという疑問に対し、孫は、囲碁の“飛び手”に例えて次のように説明しました。
「プロは碁石の隣ではなく遠く離れたところに打ち、それが50手目、100手目になって力を発揮します。なぜ、今この手を打つのか。3年、5年、10年を経過すれば、ソフトバンクグループにArmがいる意味が分かります」

ソフトバンクは、長期的な潮流への投資戦略の下、本格的なIoTへのパラダイムシフトに向けて再び布石を打ったのでした。

留学時代、ロサンゼルスでの出会い

アメリカに留学中だった孫は、雑誌に掲載されたマイクロプロセッサの拡大写真に出会い「人類は、ついに自らを超える知的な“生物”を発見した」ことに気づき、感動を覚えたと言います。

時流を読むことに長け「パラダイムシフトの方向性と、その時期を読むことに関心が強い」と自らを分析する孫は、米国留学から帰国後、事業家を目指してソフトバンクを起業します。企業のトップとしてあまたの情報から時流を読み、次のパラダイムシフトの方向性を見極め、新しい事業に挑戦するための布石を次々に打ってきました。

ソフトウエアを扱っていた当時、個々のパソコン同士はいずれネットワークでつながるようになると予想してインターネット事業に参入し、

電話ではなくモバイル・インターネットの時代を見据えて携帯事業に参入し、

ありとあらゆるモノにチップが搭載され、インターネットを経由して膨大なデータがやり取りされる時代を迎えるにあたり、Armの買収は満を持しての決断でした。

学生時代にロサンゼルスで巡り合った1枚のチップの写真をきっかけに始まった旅路は、40年の時を越え、この大型M&Aでようやく原点に辿りつき、また新たなソフトバンクの挑戦が始まったのです。

300年成長構想 –ソフトバンクの「群戦略」– 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の設立

事業スピードが速いIT業界には、テクノロジーのブレークスルーやビジネスモデルの陳腐化などで、ひとつの企業がIT業界のトップに居続けるのがむずかしい「30年サイクルの限界説」という考え方があります。これに対しソフトバンクは、300年成長し続ける企業であるための組織モデルとして「群戦略」を考案し、多数の戦略的提携グループをグローバルに構築・拡大することで、情報革命の中心的企業群として成長していくことを目指しています。

「群戦略」は、特定の分野において優れたテクノロジーやビジネスモデルを持つ多様な企業群が、それぞれ自律的に意思決定を行いつつも、資本関係と同志的結合を通じてシナジーを創出しながら共に進化・成長を続けていくことを志向するものです。

平成が終わろうとしている今、まさに情報革命で最も大きな「AI革命」というパラダイムシフトが到来しています。これまではインターネットが広告産業や小売産業を再定義してきましたが、AIはそれにとどまらずに、ありとあらゆる産業をこれから再定義していくと考えられています。

AIによって各産業を変革する可能性がある筆頭の会社、No.1の会社に投資をしているのが、平成29年から投資活動を開始した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」です。このファンドは革新的な経営者をサポートしていく包括的な取組みとして設立されたもので、累計49社(平成30年12月末現在)に出資しており、最先端テクノロジーと優れたビジネスモデルをもつ企業に投資することで、「AI群戦略」を実現する重要な一手を担っています。

ソフトバンクは、「群戦略」という独自の組織戦略に取り組み、300年成長し続けるための「戦略的持株会社」として、そのユニークな企業集団をまとめ、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念を実現していきます。

通信事業者の枠を超えた「Beyond Carrier」ヘ。ソフトバンク株式会社 東証一部へ上場

平成30年12月、ソフトバンク株式会社は東京証券取引所市場第一部に上場しました。「情報革命」という大きなビジョンの実現に、「群戦略」によって300年成長し続ける企業集団で挑んでいく中で、ソフトバンクグループ株式会社は戦略的持株会社へ転換し、ソフトバンク株式会社は上場することによって、これまで以上に自律的かつ機動的に事業を行っていくことになります。

  • 平成27年7月、ソフトバンクモバイル株式会社から社名を変更

今後ソフトバンク株式会社は通信事業の顧客基盤を拡大させるとともに、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先との連携などによって新規事業を創出し、その広範な基盤を生かして世界中の先進的なビジネスモデルをさまざまな業界で展開していく「Beyond Carrier」戦略によって、中長期的に持続的な成長の実現を目指していきます。

平成31年4月、ソフトバンクは総務省から第5世代移動通信システム(以下「5G」)の導入のための周波数の割り当てを受けました。

ソフトウエア、ブロードバンド、モバイル・インターネット、そしてIoT・AIと、ソフトバンクは常に時代を先取りし、時代とともに変化するパラダイムシフトに柔軟に対応しながら、時として身の丈以上と思えることに挑戦し、成長してきました。

あらゆるものがIoTと5Gでつながる時代、すべての産業で起こりうる破壊的な変革“パラダイムシフト”に向けて、通信事業者の枠を超えてさまざまな企業と連携し、世界の最先端テクノロジーを活用した世の中を変えていくプロダクト・サービス通じて、令和の時代もみなさまの暮らしに役立つ、新たな価値を提供していきます。

通信事業を越えた新たなステージへ
「Beyond Carrier」

(掲載日:2019年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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