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成層圏から通信ネットワークを。ソフトバンクがHAPS事業の実用化に向けた取り組みを発表

2019年4月25日、ソフトバンク株式会社は「新規事業に関する記者発表会」を開催。

子会社のHAPSモバイル株式会社(以下「HAPSモバイル」)を通じて、成層圏という未知の領域から通信ネットワークを提供するプラットフォーム「HAPS(ハップス)」を構築し、グローバルでの事業展開に取り組むことを発表しました。

災害時にも途絶えない通信、超広域のエリアカバー、高い運用性を実現

「HAPS(High Altitude Platform Station)」とは、成層圏に飛行させた航空機などの無人機体を通信基地局のように運用し、広域のエリアに通信サービスを提供できるシステムのこと。天候の影響を受けない上空に基地局を設置することで、地上の基地局よりさらに広範囲(直径約200キロメートル)に通信エリアを拡大できるため、これまで通信ネットワークが整っていなかった場所でも、インターネット接続が可能になります。また、災害時にも安定した通信ネットワークが提供できるので、救助や復旧活動への貢献も期待できます。

ソフトバンク株式会社の代表取締役 副社長執行役員 兼 CTOで、HAPSモバイル株式会社の代表取締役社長 兼 CEOの宮川潤一は、HAPS事業への取り組みについて「東日本大震災で実施した基地局復旧をきっかけに、災害時でも途絶えない通信の新たな仕組み作りの必要性を感じました。これまでも係留気球を活用した無線中継システムを開発し運用してきましたが、天候に左右されず、より通信エリアのカバレッジが広がる方法ということで、成層圏での通信について検討を開始しました。『HAPS』は衛星を使った通信とは異なり、既存の電波と同じ周波数のため、ダイレクトモバイルが可能であるということも、大きなポイントです」と述べました。

「HAPS」の仕組み

続けて、今後の商用化に向けた取り組みについてこのように語りました。

「ソフトバンクは、ソーラーパネルを搭載した無人航空機システムの開発で実績がある、米国のAeroVironment, Inc.と2017年に合弁会社(HAPSモバイル)を設立し、HAPS向け専用航空機『HAWK30』の開発に取り組んできました。今後は、運航に向けてフライトテストを重ね量産の準備を整えたうえで、2023年には本格的な商用サービスの展開を開始する予定です」

「HAWK30」無人航空機システムや機体の開発に関わったAeroVironment, Inc. のCEO Wahid Nawabi氏

当日会場で展示された約40分の1スケールの「HAWK30」

グローバルでの高高度通信ネットワークの展開に向けた協業を検討

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Loon LLCのCEO Alastair Westgarth(アラステア・ウェストガース)氏と宮川

加えて、成層圏気球などを提供するAlphabet子会社の「Loon」との協業を発表。「HAPS」事業のグローバル展開に向けて、両社のノウハウを融合して、モバイルインターネットの普及拡大やIoTアプリケーションの実現、5Gの導入促進を主軸とする高高度通信ネットワークの展開加速などの商用化を検討していることが説明されました。

「Loon」は、Google の親会社である米Alphabetの子会社で、世界中で通信ネットワークインフラなどのITソリューションを提供しています。また、「Loon」の保有する成層圏気球は、世界で3,000万キロメートル以上の飛行実績と数十万ユーザーへの接続実績があります。

関連リリース

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Alphabetの子会社「Loon」とソフトバンクの子会社「HAPSモバイル」、高高度通信ネットワークの展開に向けた戦略的関係の構築について合意~HAPSモバイルがLoonに1億2,500万米ドルを出資~

(掲載日:2019年4月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部