2019年6月3日、ソフトバンク株式会社は誤差わずか数センチメートルでの測位が可能な測位サービスに関する説明会を開催しました。
モノがインターネットにつながるIoTの時代を迎え、機器の自動化などに必要な位置を特定する “高精度位置情報“ の取得が、非常に重要となっています。
本サービスを担当するソフトバンクのテクノロジーユニット モバイル技術統括 モバイルネットワーク本部 本部長の野田 真は、「今後、労働人口が不足していく中で、多くの産業分野においては自動化への取り組みが不可欠な時代になります。スマートフォンが普及する以前、位置情報機能を活用する機会は多くありませんでしたが、今は地図情報など利便性の高いサービスが日常的に利用されています。われわれはモバイル事業者のアドバンテージを活用して、誤差の少ない位置情報を取得するための高精度測位が可能なインフラを提供するサービスプロバイダーになりたいと考えています」と測位サービス開始の意義について説明しました。
全国3,300カ所以上の独自基準点と、独自開発の「GNSS受信機」で、わずか数センチメートル誤差での測位を実現
ソフトバンクは、既存の携帯電話基地局を活用して国内3,300カ所以上に独自基準点と呼ばれる高精度な受信機を設置し、さらに農機やドローンなどに搭載する「GNSS受信機」を開発します。
独自基準点や「GNSS受信機」が準天頂衛星「みちびき」などのGNSS※1(Global Navigation Satellite System)から受信した信号を基に、補正情報を生成し、RTK測位※2を行うことで、センチメートル級の誤差で高精度な測位を実現します。
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- ※1GNSSとは、準天頂衛星やGPSなどの衛星測位システムの総称
- ※2RTK(Real Time Kinematic)測位とは、固定局と移動局の2つの受信機を利用し、リアルタイムに2点間で情報をやり取りすることで、高精度での測位を可能にする手法のこと
ソフトバンクが独自に開発した「GNSS受信機」は、GNSSアンテナを内蔵しており、準天頂衛星「みちびき」だけでなく、国内外のさまざまな衛星からの信号の受信に対応しています。
高精度位置情報によって、さまざまな産業が自動化へ
次に、高精度位置情報が実現するサービスについて、次のように説明しました。
「高精度な測位情報は、農業では農機の自動走行による作業の省力化をもたらし、農機の自動走行に不可欠な圃場の地図自体の高度化を実現します。また、建設現場では建機の自動化やドローンの自律飛行を使った効率的な施工管理により、国土交通省が推進する『i-Construction(アイ・コンストラクション)』への取り組みにも活用できます。さらにBRT(バス高速輸送システム)での利用では、車両がどこにいるかをリアルタイムに把握できるため、運行システムの管理効率化が図れます」とし、さまざまな産業での活用が期待できるとしました。
最後に、この測位サービスの開始にあたり、補正情報の配信などはALES(アレス)株式会社※によって行われることを説明し、2019年7月からは自動運転技術を活用したモビリティー事業を展開するSBドライブ株式会社ほか協力各社との共同実証に取り組み、2019年11月から全国でのサービスを開始するとしました。
そして、「超低遅延、高信頼通信を実現する5Gの時代を迎え、今後は5Gのテクノロジーと正確で高精度な位置情報を組み合わせ、さらなる自動化への取り組み推進について、ソフトバンクグループとして貢献していきたいと思っています」と今後の抱負を語りました。
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- ※ソフトバンク株式会社と、位置情報、衛星測位技術、自動運行技術などを用いたIoT・ICTに関する技術開発を行うイネーブラー株式会社との共同出資会社
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(掲載日:2019年6月4日)
文:ソフトバンクニュース編集部