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創造するエンタメの未来。5Gを通じて誰も体験したことがないバスケ観戦を提案したソフトバンク5G戦略課 担当者インタビュー

創造するエンタメの未来。5Gを通じて誰も体験したことがないバスケ観戦を提案したソフトバンク5G戦略課 担当者インタビュー

ソフトバンクは、8月にさいたまスーパーアリーナで開催された「バスケットボール日本代表国際試合International Basketball Games 2019」(以下「バスケ日本代表戦」)で、5Gプレサービスを提供しました。
会場では、国内で行われるバスケ日本代表戦として初めて、5Gを活用したVRヘッドセットやARグラスによる試合観戦や、タブレットによる自由視点映像観戦など、臨場感ある映像で未来のスポーツ観戦体験が提供されました。

高速・大容量、低遅延、多接続といった特長を持つ5Gは、私たちの身近な楽しみの一つである音楽やスポーツなどのエンターテインメントと親和性が高く、楽しみ方をより進化させる技術として期待されています。

5G時代のエンタメやビジネスの可能性について、5Gの新規事業やプロモーション戦略などを担当するモバイルネットワーク本部 5G戦略課課長の堀川学に話を聞きました。

目次

お客さまに楽しんでいただける最良のコンテンツとは何か。難題でも諦めない心で見事実験成功

バスケ日本代表戦における5Gプレサービスの詳細を教えてください。

今回のプロジェクトの目標は、5Gを活用した世界をお客さまに体感していただける場を提供することでした。具体的には、ゴール下や審判席など普段見られない視点に設置したカメラの映像を、VRゴーグルを通してリアルに体験したり、観客席から見ている実際の試合の光景に別視点からの映像が重ねて表示されるARグラスで観戦したり、コートの半分を囲むように設置したカメラの映像をあわせることでシュートシーンなどを好きな角度から見ることができる自由視点観戦などを用意しました。

ゴール下に設置されたVRカメラ

自由視点カメラ

ゴール下に設置されたVRカメラ/自由視点カメラ

また、試合映像を高精細な8K映像でマルチアングルライブ配信する実験も行いました。会場の映像をソフトバンクの光回線と5Gネットワークを通して「5G×IoT Studio」のお台場ラボ(東京都江東区)へリアルタイムに伝送し、会場外でも高画質・高音質の映像が楽しめる空間を提案しました。

5Gプレサービスを提供する場として、なぜバスケ日本代表戦を選んだのでしょうか

バスケットボールは動きが激しく、迫力があるスポーツなので、VRやARを活用して至近距離でプレーが見られるのは面白いはずだと思いました。また、ソフトバンクが日本バスケットボール協会に協賛させていただいていることもあって、協力いただける環境があるというのも大きな要因でした。

これまで実施したプロ野球のVR観戦実験や、フジロックでの5Gプレサービスなどを経て、今回はどのような改善・進化があったのでしょうか。

お客さまがどんなコンテンツを求めているのかを知るために、プロ野球ではVR観戦のみ、フジロックではVR視聴と各会場における混雑状況の映像配信を行いました。そして今回はVR観戦に加え、AR観戦、自由視点映像による観戦、8Kのマルチアングルライブ配信による視聴実験(報道関係者のみ)と、どんどんコンテンツを増やしてきたのですが、新しいことを行うたびに改良の余地が見つかります(笑)。

ただ、難題であっても諦めることなく、過去に実施した5Gプレサービスの経験や知見を生かした結果、これまで以上に通信を安定させることに成功しました!

これによって動画がスムーズに再生され、お客さまが快適にコンテンツを楽しむことができます。来年の5G商用ローンチに向けてある程度のロードマップはできているのですが、今お客さまに楽しんでいただける最良のコンテンツは何かということを常に模索しているわけで、これまで以上にアップデートされた現時点での最適解が見せられたと自負しています。

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複数コンテンツの同時提供を実現するネットワーク構築を進める上で、これまでの会場との違いはありましたか?

コンテンツごとの要求仕様が異なるのは最初から分かっていたことなので覚悟していましたが、ネットワーク構成を固めるのは非常に大変でした。

そもそも、まだ実用化されていないコンテンツを取り入れるので、設営後の調整が重要になってきます。ただ、イベント会場のスケジュールの都合上、大抵の場合は設営が直前にしか行えず、今回もヒヤヒヤする場面はたくさんありました。

5G

また、フジロック会場での5Gプレサービスとの大きな違いは、インドアで行うイベントだということ。屋内では外からの電波を回避できるので一度作ってしまえば安定した環境が作れるのですが、電波に影響を及ぼす障害は多いため、最初の環境作りは屋外イベントよりも非常に苦労します。だから、はじめての会場で、しかもインドアで設営を行うというのはハードルが高かったですね。ただ、幸いなことに、さいたまスーパーアリーナやコンテンツを担当したスポーツ事業部門の協力があって、コンテンツが複数あった割にはスムーズに構築できたと思います。

5Gネットワーク構築に関して、今回特に苦労したことや工夫した点を教えてください。

さいたまスーパーアリーナの構造で一番特殊なのは、イベントの規模や形態に合わせて建物の構造が変化することです。基地局から送信される電波は、狙った直線上にあるデバイスにもっとも強く届くので、基地局自体が動いてしまうとシステム全体に大きな影響が出ます。短い時間の中で、動かない半分の空間だけを活用して基地局の設計・構築するのには苦労しました。この実験のために、3カ月前から何度もシミュレーションを重ねました。

会場での評判や参加者の声はいかがでしたか。

評判はすごく良かったです。スポーツのVR映像自体をはじめて見るという方も多く、コート横の選手のベンチから応援するような距離感で試合を眺めたり、ゴール下からシュートの臨場感を味わえたりと、みなさんとても驚かれていましたね。体験していただければ、5Gならではの情報量を活用したVRなどのコンテンツがいかにすごいか、満足していただけるはずです。

今回のプレサービスを通じて、どのような知見が得られましたか。

今回は会場の特性上、既に4Gで利用している周波数帯を5G化する必要がありました。制限の多い中で複数のコンテンツを処理できたことは、大きな手応えにつながりました。また、会場で参加者の声が聞けたことで、来年以降の5G商用ローンチに向けて、今やるべきことは何なのかということが見えてきたように感じます。

今後、5G時代のスポーツ観戦はどうなっていくのでしょうか。

いくら5Gのすごさを伝えようとしても、お客さまには実際に5Gを使ったサービスやコンテンツを体感してもらわなければ伝わりません。海外は規制も厳しくないので、アメフト選手のヘルメットからの映像をVRで見られるなど、すでにたくさんの5Gコンテンツが実験されているのですが、こうした先行事例を踏まえつつ、日本ではどんなことができるのかを見極める段階に来ていると思います。

そもそも、座席が決まっているスポーツ観戦においては、見たかったプレーが死角によって見えなくて悔しい思いをしたことがある人は多いと思います。好きな視点で自由に臨場感あるプレーを見られるのは自由視点ならでの体験で、これは5Gあってこその技術です。自分が好きな角度から好きな映像を自由に楽しめる。これはスポーツの新しい楽しみ方ではないでしょうか。また、エンタメコンテンツ全般に言えることですが、現地で見られる人の数には限界があるわけです。だから、空間を超えて、誰もがどこにいても現地での観戦に近い体験ができる世界を5Gを活用して作っていきたいと思います。

既存の考え方を取り払い、今までにないビジネスモデルを構築したい

今回のプレサービス提供における5G戦略課の任務はなんだったのでしょうか。

5Gネットワークの構築を担当しました。その上に乗ってくるコンテンツを作るのは別事業部。今回に関していえば、スポーツ事業部門と共同でコンテンツを企画・実行したという流れです。

5G戦略課では、テクノロジーを軸に5Gや新ビジネスに対するサービスの企画・戦略の立案、実証実験、導入検証、プレサービス、サービスローンチに向けた事業推進など、5Gに関係することならなんでもやっています。

簡潔にいうと、今回のイベントのようなプロモーション事業と、ビジネスモデルの企画・立案が中心です。5Gは実現されれば、想像し得ない働き方やデバイスの使い方が出てくるわけで、そのニーズを先回りして検討し、ビジネスモデルを組み立てることも、5G戦略課の重要な任務です。

働き方やビジネスにおける5Gへのニーズには、どういったものがあると考えていますか?

たとえば、生産人口の減少にともなって、ロボット産業が発達したり、AIを駆使する場面が出てくると思いますが、送受信するデータ容量が大きくなると、5Gを活用して精度の高いデータを送る必要があります。工場で撮影したデータを5Gで送信し、AIが画像解析をしてIoTロボットが処理をする、というような流れも一般化するはず。AIと5Gは実はすごく相性がいいんです。5G戦略課にいるメンバーは工事やデバイス、免許関連など、それぞれ得意分野が異なります。それぞれの知見を生かして、多ジャンルにおける5G活用の方法を模索しているところです。

多才なメンバーがそろう5G戦略課の課長として、どのような役割を担っていますか?

突拍子もないアイデアを出して、部内をかき回すのが私の役割だと考えています。何かアイデアを出すと「できないでしょう」と言われることも多いのですが「本当にできないんだろうか」ということを投げかけるんですね。既存の考え方を取っ払い、日本の未来を変えるためにはどうすればいいかということを問題提起することが役割です。

最後に、今後の夢・目標を教えてください。

これまで縁の下の力持ちのポジションとして、ネットワーク構築をメインにやってきましたが、世の中をあっと言わせるような今までにないビジネスモデルを構築したいですね。今担当している5G事業はもちろんのこと、それ以外のあらゆるテクノロジーを使ってお客さまが見たこともない新規事業を実現していきたいと思います。

(掲載日:2019年9月17日)
文:角田貴広(フリーライター)
写真:栗原大輔(Roaster)
編集:ソフトバンクニュース編集部、大崎安芸路(Roaster)、尾畑舞(Roaster)

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