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「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

「ロボット」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。階段を上り下りできる二足歩行のロボット、犬や猫を模したペット用ロボット、工場の生産ラインで動くものもロボットのひとつです。

今はまだ、ロボットを個人で購入する機会も多くないため、多くの人々にとってはまだ少し遠い存在かもしれません。しかし、誰もが自分のロボットを持ち、自分の生活に取り入れていく、そんな世界を実現しようとしている技術者がいます。

どんなロボットを実現しようとしているのか?今回は、ソフトバンク Chief Scientist室でロボットの研究開発をする沼井隆晃に話を聞きました。

入社2年、最年少でテクニカルマイスターに

早速ですが、沼井さんの簡単な経歴を教えて下さい

ソフトバンクには、インターンを経験したのち2017年に新卒で入社しました。
当時、ソフトバンク社内ではロボットを作る部署が立ち上がり、1からロボットを作った経験がある人材を探していました。私は、大学ではロボット制御を専攻し、ロボット制作の経験もあったので、声をかけてもらいました。それ以降、ロボットの研究開発を担当しています。

入社前からロボットに携わっていたんですね。興味を持ったきっかけはどんなものだったのでしょうか?

入社2年、最年少でテクニカルマイスターに | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

私が小学生だった当時に、二足歩行型のロボットや映画に登場していたロボットを見たのが始まりです。

ロボットは全体的に見るととても広く、エンターテイメント向けのロボットや工場などの産業向けなどさまざまです。例えば、手術用ロボットというものがありますが、人間のような手の震えなどを起こさないため手術の成功率が高いんです。こうしたことに感銘を受けました。

人間にできないこと、面倒なことをやってくれる役に立つロボットを作りたいと思っています。

ロボット制御のエキスパートとして、最年少で社内認定を受けているそうですね。どのような経緯で取得されたのでしょうか?

はい、2018年に「Technical Meister(テクニカルマイスター)制度」のロボット制御領域の認定を受けました。上司から勧められたこともあり、入社2年目ではありましたが、自分で手を挙げて選考に臨みました。ソフトバンク社内でロボットを専門にする人は、そう多くはありません。だからこそ、テクニカルマイスターとして何か新しいものを作って成果を出せれば、ソフトバンクの技術力向上にも貢献できると考えました。

私の専門は「ロボット制御」です。例えば、素早い動作に対応すると高精度な動作は難しくなります。こうしたトレードオフはさまざまなケースがあり、このような課題を踏まえて制御するのがロボット研究開発の要です。

  • 「Technical Meister制度」について

専門分野において、突出した知識・スキルを持ったエンジニアに与えられるソフトバンクの社内認定制度。さらなる能力の飛躍と活躍の機会を提供するために、本業と並行して自身の専門分野を自由に研究・開発することが認められる。2018年度に制度がスタートし、2019年12月時点で認定者は21人。

「プラットフォームとしてのロボット」を広げるためのCuboidくん

「プラットフォームとしてのロボット」を広げるためのCuboidくん | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

「Cuboidくん」はどのような経緯で作られたのですか?

Pepperのようなロボットを世に出せたのはソフトバンクのひとつの強みです。しかし、ロボットはまだ車やパソコン、スマートフォンのように誰にとっても便利なものにはなっていないと思います。例えば、スマートフォンの場合は、エンドユーザーの前にアプリを開発できる人が現れたことで、便利になっていったのだと思います。

新しいことをやろうと思っても、エンドユーザーは何もできないというのが、ロボットの現状ではないでしょうか。ロボットを便利なものにするためには、まずは、誰もが開発できる環境が必要です。われわれの製品だけではなく、プラットフォームとしてのロボット産業を広めていくために、「Cuboidくん」を作りました。

個人的に、ロボットはなんでも好きですが、モチベーションを感じるのは、使っていて便利で自分が欲しいと思えるロボットです。Pepperのような先進性のあるものを欲しいと感じる人は多いですが、それがより広く定着していくには「便利さ」という要素が必要だと思います。

この難しいことや、面倒なことを解決してくれるロボットを世に送り出したいという思いは、ソフトバンクが目指す「情報革命で人々幸せに」という経営理念と共通しています。

Cuboidくんは具体的に何ができるのでしょうか?

Cuboidくんは具体的に何ができるのでしょうか? | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

Cuboidくんは、最初に人間がラジコン操作で使用する範囲を走行させます。こうすることでCuboidくんの内部に地図を作成し、地図を作成した後にロボットが行きたい場所への経路を自動計算して自律走行するものです。

お掃除ロボットなどとの共通点を感じるかもしれませんが、設計のコンセプトは異なります。例えば、1度充電すると頭上に10kg程度の荷物を載せたまま4時間走行できますが、これは掃除ロボット等と比べて長いです。また、お掃除ロボットは床上のケーブルや本などの障害物で詰まってしまいうことがありますが、Cuboidくんはセンサーを多く搭載し周りの状況を正確に判断して障害物を迂回できることが特長です。

Cuboidくんは最初から現在の形を目指して設計されたのですか?

いいえ、当初はまさにお掃除ロボットと同じような考え方で取り掛かりました。しかし開発を進めるなかで、例えば革靴などは光を反射しづらく避けられないなど細かな課題がたくさん出てきて、現状の形に変化していきました。

Cuboidくんの目指す役割は何ですか?

ロボットを作るにあたって、とりあえず「移動する」という機能は必須だろうという話がありました。現状のCuboidくんの目標としては「ピザを運ぶ」というところです。

え、ピザ配達ですか!?

つくばチャレンジの様子 | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

つくばチャレンジの様子

はい(笑)。ピザの宅配は、自動運転を実現する最初の段階としてはちょうどいいところではないかと思うんです。技術的にはまだなかなか大変な部分もありまして、そこはテクニカルマイスターの活動として、「どこまでできそうか」という部分を研究していきます。

今年は、茨城県つくば市内の市街地でロボットを自律走行させる「つくばチャレンジ」に初参加しました。一時停止線よりも大きく手前で止まってしまい、リタイアという形になってしまったのですが、来年へ向けての改善点も見つかったので、取り組んでいければと思います。

また、5G回線を利用して、ロボットのカメラから送られてくる映像を伝送し、パソコンで確認するという実験を行っています。

現状では、5Gは必須ではありませんが、5Gを使うことができればもっといろいろなことができるのではと考えています。

屋内用Cuboidくんの自律走行の様子

銀孤(ぎんこ) | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

自律移動可能な2足歩行のロボット 銀狐(ぎんこ)
沼井が学生の頃より出場を考えていたロボットバトルの大会のために制作した、自律移動可能な2足歩行のロボット。技術的興味を突き詰める手段として、実務的役割も果たす。「銀狐」という名前は、銀色のボディと狐に見える頭部から。

銀狐は、ROS (Robot Operating System)を利用した「自由に部品組み換え」「ソフト開発」が可能な自律移動ロボットを目指しています。

ソフトバンクの研究開発
https://www.softbank.jp/corp/business/advanced/#develop

ソフトバンクで働く魅力、今後取り組みたいことは?

ソフトバンクで働く魅力、今後取り組みたいことは? | 「誰もがロボットを使える社会を」若きロボット技術者が抱く夢

テクニカルマイスターとしてソフトバンクで働く魅力はなんですか?

Cuboidくんの研究・開発は、既存の業務に加え、テクニカルマイスターとしても自分がやりたいことをやっています。例えば、本業では使わないかもしれないけどほかの業務には応用できるかもしれないといったことができています。会社でやっていることを応用し、自分が作りたかったものを競技会に出すといったことができるのが働く上での魅力ですね。

技術力のある人は、趣味でものづくりをする人は少なくないと思います。しかし実際の業務では、自分の作りたいものがすべて応用できるとは限りません。企業がテクニカルマイスターのような制度を積極的に用いれば人材獲得にもつながるのではと思います。

今後はどういったことに取り組んでいきますか?

やりたいことは、たくさんあります。クラウドでほかのロボットとの情報共有などはしていきたいですね。あとは、AIを使った顔認識も現在開発中です。Cuboidくんは、現状ちょっと使いにくいなと思うところもあるので、所々の改良は日々取り組んでいきたいところです。今はまだ機能を使うのに少々煩雑な操作が必要なので、エンドユーザーが触れる部分についても完成させたいですね。 今はまだ行き先を決めるにしても人間が介入する必要がありますが、例えばスマートフォンのGPSと連携して行き先を自動的に設定してくれるなどの機能は将来的に追加したいなとは思っています。

このような改善点を一つ一つクリアしながら、誰もがロボットを使える社会を実現していくことが目標です。

関連リンク

Cuboidくん

(掲載日:2019年12月10日)
文・写真:北川研斗(インプレス)
編集:関口聖(インプレス)、ソフトバンクニュース編集部

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