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意外な盲点! 元警察官が教える、数々の犯行から導き出される犯罪心理と親の心得

意外な盲点! 元警察官が教える、数々の犯行から導き出される犯罪心理と親の心得

テレビやネットで、子どもを狙った事件を耳にすると「うちの子も犯罪に巻き込まれるかもしれない……」と不安になりますよね。子どもが成長するにつれて、親の目を離れる時間は増えていきます。小学校の登下校や習い事など、一緒にいられない時間、子どもの身を守るには、どのような安全教育を行えばいいのでしょうか?

子どもの安全研究活動を行う「ステップ総合研究所」の所長清永賢二さんに、子どもが巻き込まれやすい犯罪の実態と、その対処法について教えていただきました。

目次

プロフィール

ステップ総合研究所 清永 賢二(きよなが・けんじ)さん

ステップ総合研究所 清永 賢二(きよなが・けんじ)さん

教育学・犯罪学者。専門は、犯罪行動生態学、青少年非行問題、子ども安全学。警察庁犯罪予防研究室長を経て、1995年に日本女子大学人間社会学部教育学科教授に就任。2000年に民間シンクタンク「ステップ総合研究所」を設立し、安全教育を行っている。著書に『防犯先生の子ども安全マニュアル』『大泥棒「忍びの弥三郎日記」に賊たちの技と人生を読む』(ともに東洋経済新報社)、娘である奈穂氏との共著に『犯罪者はどこに目をつけているか』(新潮新書)など。

ステップ総合研究所

「ステップ総合研究所」は、2000年に設立。「市民が日々遭遇する可能性の高い危機の実態把握と、その最適な問題解決策」を確かなものとするための調査・研究、それに基づく様々な提案を行う研究所。安全なまちづくり人づくりのための環境設計・プログラム作成・研修などを行っている。

270人の犯罪のプロに聞いた、危ないホットスポット(犯罪多発地点)や狙われやすい子どもの特徴

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近年、子どもが犯罪に巻き込まれる事件が後を絶ちません。子どもが被害者となる事件には、どういったものがありますか?

前犯罪と呼ばれる「声がけ」や「連れ回し」などが頻繁に発生していますね。前犯罪は、現状では裁く法律がないため、発覚したとしても犯人を逮捕できないんです。誘拐などの犯罪と前犯罪の割合は、1:4くらい。地域を選ばずに全国各地で起きています。

子どもを狙った犯罪の発生数

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警察庁ホームページより)

子どもを狙った犯罪の発生数は、2005〜2006年あたりがピークで、そこから2019年まで、右肩下がりに減ってきている。ただし、全被害件数に占める子どもの被害件数の割合は、近年上昇傾向。

どのくらいの年齢の子どもが、被害に遭いやすいのでしょうか?

小学2年生〜4年生くらいの子どもが多いですね。「おじちゃんとお菓子を買いに行こうよ」「困っている人がいるから、ちょっと行ってみようか」と声をかけられて、断れないまま連れ回されてしまう。そのうち、誘拐事件やわいせつ事件などの犯罪に発展するのは、1%程度。少し年齢を空けて、小学6年生から高校1年生も犯罪に巻き込まれやすい年齢です。これは、SNSで知り合った大人に会い事件に巻き込まれる、いわゆるJKビジネスですね。

社会問題化されているJKビジネス

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内閣府ホームページより)

簡易マッサージや添い寝(JKリフレ)、制服姿の女子高生とのデートサービス(JK散歩)など、女子高生(JK)によるサービスを売りにした商売のこと。その事犯の原因が、2009年を境に出会い系サイトからSNSを中心として発生率が上昇している。

JKビジネスなどは、スマホの普及によって多様化していますか?

そうですね。スマホの普及によって、知らない者同士が簡単に接触できるようになり、それを利用したJKビジネスも増えています。こういう犯罪をステルス型犯罪と呼びますが、犯罪の構造自体は昔から変わっていません。

  • インターネットなどを利用して犯罪を進行させ、あるとき被害者に突然接近する犯罪

ターゲットの情報をたくさん持っているほど、犯罪は成功しやすくなるんです。だから、犯罪者は必ず下見をします。突然声をかけられて、その場から連れ去られたように見えても、犯罪者は「そこならやれる」と確信して声をかけている。私たちは「6:3:2の原則」といっていますが、近所で変な人がいたという噂を聞く頻度が増えてきたら注意しましょう。

6:3:2の原則

  • 半年に6回:怪しい
  • 1カ月に3回:警戒する
  • 1週間に2回:かなり危ない

「自分の姿を人目にさらして下見をする犯罪者もいますが、最近は下見もステルス型に変わってきています。つまり、ネットの地図情報や道路情報を見て、下見を済ませるんです」

犯罪はどこでも起きる。 注意すべきは時間・場所・人の動き

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そうなると、対策のしようがないですね。街中では、どういったところが「ホットスポット」(犯罪多発地点)になりやすいのでしょうか?

実は、犯罪にホットスポットはありません。1992年に、270人の犯罪者を対象に調査を行いました。その調査でわかったのは「ここならやりやすい」と判断した場合、犯罪者はどこでも犯罪を実行に移すということです。犯罪者はターゲットに接近したとき、おもに2つのことを意識しています。1つは「ターゲットに近づきやすいかどうか」、もう1つは「逃げやすいかどうか」です。つまり、近づきやすく、逃げやすいという条件がそろえば、犯罪はどこでも起きるのです。

この4つの写真、実際にどこで犯罪が起きたか分かりますか?

この4つの写真、実際にどこで犯罪が起きたか分かりますか?

答えは④。一見、犯罪が起きやすそうに見えるのは、路地裏の狭い階段(③)や、片側に塀があり視界が開けていない場所(②)ですが、実際に犯罪が起きた場所は、実は見通しの良い④なんです。この通りには交番も病院も美容室もありますが、事件が起きた木曜日の午後は病院も美容室も定休日で、警官は巡回に出ていて交番には人がいませんでした。事件の当日、犯人はターゲットの後を2時間半つけ回し、周囲の状況を把握した上で、誰にも怪しまれずに通りから300m先のマンションまでターゲットを連れ去ったんです。

犯罪に遭いやすい子どもの特徴や行動があればお教えください。

犯罪に遭いやすい子どもの特徴は、次の7つに整理できます。

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「キョロキョロしている子ども」とありますが、子どもの視界は狭いため、左右を見ようとすると、キョロキョロせざるを得ません。大切なのは、キョロキョロしてもいいけれど、前をしっかり意識しようと、子どもに教えること。

このとき、たいていの大人は「ちゃんと前を見て歩きなさい」と教えますが、どこまで見なきゃいけないという指導をしないんです。0歳〜3歳、4歳〜6歳、6歳〜8歳というふうに、発達段階に合わせて具体的な指導をしていかなければ、犯罪は予防できません。

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子どもの視界を再現するスコープをかけてみました。子どもは、大人に比べて水平視野が60°、垂直視野が50°も狭くなり、危険察知や回避反応も遅くなります。

子どもを犯罪から守る、3つの合言葉。& 犯罪者との安全な距離は、山手線一両分の“20メートル”

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子どもを犯罪から守るために、どのようなことを教えればいいですか?

私たちは、子どもを犯罪から守る基礎知識として「ひまわり」「はちみつじまん」「ハサミとカミはお友だち」という3つの合言葉を教えましょうと伝えています。

① 近づいてはいけない怪しい場所「ひまわり」

犯罪者が、実際に子どもに襲いかかった場所を分類し、4つに整理しました。

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② 怪しい人の行動「はちみつじまん」

実際の犯罪者のデータを基に、子どもに近づいたときの行動を7つに整理しています。

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③ 安全確保の仕方「ハサミとカミはお友だち」

犯罪に遭ったときに対処する、基本的な7つの動作を整理。覚えて実行できるように、ステップ総合研究所では、就学前の幼児の年齢の子どもから安全教室を行っています。

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子どもが声がけを断ち切れずに、犯罪に巻き込まれてしまうといったケースもよく聞きます。

声がけを断ち切るには、「嫌です」「ダメです」「行きません」という3つの言葉を言えるよう、子どもに徹底して教えなければいけません。また、困ったときは大人に助けを求めていいと教えることも大切ですね。

今年発生した大阪女児誘拐事件では、周囲にたくさん民家があったにもかかわらず、被害者は助けを求めることができませんでした。緊急時に助けを求めた経験がない場合、見知らぬ人に「助けて」と言うのは、心理的なハードルが高いんです。犯罪に巻き込まれないためには、「断っても大丈夫」「助けを求めても大丈夫」という意識づくりが必要です。

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犯罪者はどうやってターゲットとの距離を詰めてくるのでしょうか

500mほど離れたところから「見とがめられないか」「この辺りならやりやすいんじゃないか」と考えながら距離を詰めてきます。20mまでジリジリ距離を詰め「近づきやすい」「逃げやすい」という2つの条件、さらに「直感的によいぞ」という条件がそろうと、一気に近づいてくるんです。

6mまで近づくと、もう自分のテリトリーの中。「絶対に逃がさないぞ」と思いながら、さらに5m、4mと距離を詰めてきます。実はこのとき、犯罪者はすごく怯えているんです。だから、子どもが「嫌です、行きません」「お母さんに確かめてからじゃないと」と断ることで、犯人には隙ができる。その一瞬の隙をついて、逃げられた子もたくさんいます。

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逃げるとき、犯罪者から何m離れれば安全ですか?

最低20mですね。山手線一両分がぴったり20mですが、そのくらいの距離を追いかけても捕まらないと、犯罪者は「これ以上あの子を追いかけると、誰かに見られて捕まってしまう」という焦りを感じます。変な人に声をかけられたり、体に触られたりしたら、最低20m走って逃げよう、荷物が重たかったら捨ててでも逃げようと、お子さんに伝えてください。

「親の瞬間ボランティア」で犯罪を防止し、「防犯ブザーシミュレーション」で犯罪に備える

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子どもを犯罪から守るために、日常生活の中でできることはありますか?

私たちは「瞬間ボランティア」を推奨しています。共働き家庭が多くなり、持ち回りでパトロールや見守り活動をするのは、非常に難しい時代です。無理にパトロールを行うよりも、通勤するときや、買い物に出たときに「1人で歩いていると危ないよ」と声をかけてあげたり、子どもをじっと見ている人がいたら110番をしたりする。「何か変だな」と感じたときに、アクションに移すことを心掛けてほしいですね。

必ず持たせたい防犯グッズがあれば教えて下さい

防犯ブザーは、持たせておくに越したことはありません。ただし大切なのは、いざというときすぐ使えるように、子どもに使い方を教えて、実際に使う体験をさせておくこと。怪しい人が近づいてきたとき、防犯ブザーをいつ鳴らせばいいかというのは、練習しなければわかりません。

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2020年1月17日に発売したソフトバンク「キッズフォン2」には、GPS機能や緊急ブザーストラップを引くと連動するカメラのほか、子どもの居場所を把握できる「みまもりマップ」など、さまざまな機能が搭載されています。これらの機能について、率直な意見をいただけますか。

アプリをタップすることで、すぐに子どもの居場所を把握できるのはいいですね。防犯グッズの進化に、正直、驚きました。機能の優れた防犯グッズを持っていても、ランドセルの中に入れていると、取り出すのに時間がかかってしまいます。首から提げたり、腰に着けたりするなど、すぐに使える場所に装着しておくよう、お子さんと約束しましょう。

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防犯ブザーは腰あたりにくるように

子どもを狙った犯罪の実態や、どうすれば子どもの身を守れるかについて、清永さんに教えていただきました。安全であるはずの通学路や、習い事の行き帰りの道で、ある日突然、犯罪者が子どもに近づく可能性は十分にあります。

声をかけられたときにはっきり断れるか、緊急ブザーをすぐに鳴らせるかなど、親子でシミュレーションして、いざというときに備えましょう。

(掲載日:2020年1月16日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
撮影:有本真大
監修:ステップ総合研究所

通知機能付きの緊急ブザーと圧倒的な頑丈さを誇る「キッズフォン2」

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登録した連絡先以外からの着信やメールの受信をブロックすることが可能です。ウェブサイトの閲覧はできないため、有害なコンテンツにアクセスする心配がありません。緊急ブザーのストラップを引くと、搭載したカメラで撮影した写真と位置情報が保護者に自動で送信され、子どもの居場所と周辺の様子をすばやく把握することができます。

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GPS機能に特化した、居場所がわかるあんしん。「どこかなGPS」

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約34gの端末をランドセルに入れておくだけで、手元のスマホでいつでも居場所を確認可能。たった今の居場所がわかる「いまどこ検索」、あらかじめ設定しておいた場所(学校など)への到着と出発を知らせる「ついたよ通知」など、わが子を見守る機能が充実しています。

「どこかなGPS」を調べる