ヤフー株式会社を傘下に持つZホールディングス株式会社(以下、ZHD)とLINE株式会社は2021年3月1日、経営統合をしました。同日、戦略方針説明会が開かれ、ZHD代表取締役社長Co-CEOの川邊健太郎およびLINE代表取締役社長でこの日ZHDの代表取締役Co-CEOとなった出澤剛の両名が、「インターネットのチカラでユーザーの課題を解決し、さらに便利な世の中を目指す」ことを誓いました。
切磋琢磨してきた好敵手と一緒に、新たな価値を創出する
ヤフーとLINE、それぞれのコーポレートカラーである赤と緑をデザインしたネクタイで登場した両名。冒頭、川邊が、「本日経営統合が完了した。これまで競合として切磋琢磨したLINEと、今日から新生ZHDグループとして、新たな価値の創出に挑む」とあいさつ。「これによりZHDグループは、国内のサービス利用者数述べ3億、クライアント数は約1,500万、自治体との総連携案件数は3,000を超える。サービスを展開する国と地域も230となり、アジアを中心に多くのユーザーがいる。グループ従業員は2.3万人に、エンジニアは6,500人になった」と紹介しました。
続けて出澤が、「新生ZHDが目指す世界、今後提供していく価値について、おもにヤフーとLINEの取り組みに焦点を当て今日は話す」とし、「ユーザーに最高の体験を届け、社会課題の解決にも取り組む。ユーザーにとって意味のある経営統合、これがすべて」と述べ、具体的な説明に移りました。
ここで、川邊は「買物に行ったら、欲しいものが店頭になかった。事前に在庫が分かれば、どんなにラクでしょうか?」「病院に行きたいけど忙しくて時間がない。自宅でスキマ時間に診療が受けられれば便利ですよね?」と語り掛けました。そして「社会や人々の生活にまだまだ残されているたくさんの課題。これらを解決し、より豊かで便利な暮らしの実現に貢献していく。結果として、多くの方から圧倒的な支持をいただく存在になりたい」と力を込めました。
出澤が「統合によって、日常生活に欠かせない『情報』『決済』『コミュニケーション』、この3つの起点を持つ企業グループになる。200を超えるサービスも持つ」と話し、川邊は「さまざまな社会課題の解決に取り組むことで新たな価値を創出し、その国や地域に住む一人ひとりの課題解決に寄り添い、より豊かで便利な暮らしの実現に貢献する。インターネットで『できるを、もっと』届けることを目指す」と約束。
注力領域については、「ヤフーとLINEを中心とした『検索・ポータル』『広告』『メッセンジャー』を『根幹領域』と定めてこれからも推進するとともに、特に社会課題が大きくインターネットでその課題解決が見込める領域である『コマース』『ローカル・バーティカル』『Fintech(フィンテック)』『社会』の4つを『集中領域』と定めて集中的に取り組んでいく。さらに、これらの領域にデータやAIを掛け合わせることで、シナジーを強固に創出するとともにユーザーの日常生活、企業活動、そして社会自体をアップデートしていく」と説明しました。
AIを活用して「課題解決先進国」になる。そのために皆さんの声も聞かせてください
「AIは、次世代のサービス開発に欠かせないテクノロジー」と明言した両名。投資計画について川邊は、「すべてのサービスにAIを実装し、新たな価値の創造を推進していく。AIをキーテクノロジーとして各事業を成長させるため、5年間で5,000億円の投資を計画するとともに、5,000人のAIの活用に携わる国内外のエンジニアの増員をする」と、AI重視の戦略を強調しました。また、出澤が海外展開について「既にLINEのサービス利用が多い台湾、タイ、インドネシアを起点とし、日本での成功事例を展開するとともに、海外での成功事例を日本市場へ展開していくことも視野に入れる。また、ソフトバンクやNAVERなどのノウハウ、ネットワークを存分に活かす」と強化していくとしました。
サービスを展開するにあたりデータの取り扱いに際しては、「サービスの利用を通じて生まれたデータはユーザーのものであり、安全安心が大前提」との考えを示し、「ポイントは4つ。『わかりやすい説明』『国内法に基づく運用』『有識者による助言・評価』『プライバシー&セキュリティファースト』。Yahoo! JAPANとLINEとのデータ連携に当たっては、同意取得を前提に、徹底的に分かりやすい説明を心掛けるほか、各種の国際基準に準拠して安全安心の確保に努める」とスタンスを述べました。
そして、新生ZHDの経営陣を紹介と合わせて「新体制のもと、ガバナンスの強化と企業価値の向上の両立を図る。シナジー効果の創出と事業やサービスの成長を推進し、2023年度の売上収益は2兆円、営業利益は過去最高益となる2,250億円を目指す」と言及。「われわれが作りたい未来は、けして簡単に成し得るものではない。けれども、皆さんにとって豊かで便利な生活の実現に貢献したい。課題先進国から課題解決先進国へ。その一つの起点と挑戦していく」と宣言しました。この挑戦に向けて、多くの方からも課題やサービス・機能を広く募るため、インターネット上に「課題解決ボックス」を設置したことも披露し、「情報テクノロジー技術でしたいこと、できるようになりたいことをぜひ聞かせてください」と呼び掛けました。
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(掲載日:2021年3月2日)
文:ソフトバンクニュース編集部