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目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して ー3分で分かるSDGs

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

たった3分で「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」の基礎知識が学べる【3分で分かるSDGs】シリーズ。この記事では、SDGsを構成する「17の目標」のうち目標3「すべての人に健康と福祉を」について、現状の課題や企業の活動例、私たちにできることを見ていきます。

これだけは知っておきたい! SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」3つのポイント

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

  1. 医療が行き届かず、救えるはずの命が奪われ続けている
  2. 企業がしていること。新たな技術で健康を支援
  3. 私たちにできること。日常の行動に小さな変化を

世界の福祉の現状とは? 医療が行き届かず、救えるはずの命が奪われ続けている(SDGsの目標3)

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

すべての人には健康に生きるため、医療や介護といった福祉サービスを受ける権利があります。しかし、世界では5歳になる前に亡くなる子どもが、毎年約530万人に及んでいます。犠牲になるのは、治療を受けるお金のない貧しい子どもたち。病院や医師が不足し、医療体制そのものが整っていない国・地域がたくさんあります。

こうした場所では、妊娠や出産で亡くなる女性も後を絶ちません。さらに、結核やエイズなどの予防できる感染症に対して、ワクチン接種や予防教育が不足している現実も。肺炎や下痢といった病気も命の危機につながります。救えるはずの命が奪われ続ける現状を、一刻も早く変えなければなりません。

日本では、少子高齢化が進み、高齢者の医療費や介護費が増えました。それを支える若い世代への負担も増しています。新型コロナウイルスによって、医療従事者や病床数が足らず、必要な人が公平に医療へアクセスできない状況になったことは、“ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ”を維持するにあたって、大きな課題となるでしょう。

覚えておきたいSDGs関連用語
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)…すべての人が必要なときに、支払いできる費用で、治療や予防などの基礎的な医療サービスが受けられる状態のこと。目標3のターゲットとしても掲げられている。
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)…すべての人が必要なときに、支払いできる費用で、治療や予防などの基礎的な医療サービスが受けられる状態のこと。目標3のターゲットとしても掲げられている。

ゴールは「あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」こと

開発途上国でも先進国でも、喫煙、飲酒、薬物の乱用などで身体を壊したり、交通事故や環境汚染によって自分では避けられない健康被害にあっている人がいます。すべての人が健康に暮らすためには、貧しくても適切な医療にアクセスできるようにする仕組みづくりが必要です。

企業がしていること。新たな技術で健康を支援(SDGsの目標3)

① 新興国で活用される遠隔診療

国民の多くが医療施設のない農村部に暮らす新興国で、導入が進んでいるのが「遠隔診療」。ポータブル医療デバイスを使い、地方の診療所でエックス線撮影した画像を、都市部の医師が遠隔で診断するシステムです。医療の地域格差をなくすだけでなく、定期的な健康診断を行い、病気の早期発見や予防につなげることを目指しています。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

② 健康プログラムで社員の健康をサポート

企業にとって、従業員の健康を守ることも重要な課題です。日本のある企業では、社員を対象に独自の健康プログラムを実施しました。日々の活動量や体重を測定してデータとして可視化し、そこから生まれた気付きを元に、食事や運動習慣を変えていく。このサイクルを回していくことで、一人当たりの年間の医療費を減らすことに成功しました。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

私たちにできること。日常の行動に小さな変化を(SDGsの目標3)

① 正しい知識を身に付けて感染症を防ぐ

例えば、日本のHIV感染者・エイズ患者は2018年に累計3万人を超え、先進国で唯一、感染拡大に歯止がかかっていない状況です。性教育後進国の日本では、性について学ぶことに恥ずかしさや忌避感を感じやすい傾向があります。正しい知識がないと、性行為によって感染症や思いがけない妊娠を招くことも。自分だけでなく、相手を守るためにも、信頼できる情報を当たり、正しい性知識を自ら学んでいくことが必要です。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

② 近所のお年寄りの健康状態を見守る

日本では、一人暮らしの高齢者が社会的に孤立してしまうケースが問題になっています。個人でできることには限界があり、公的な支援が必要なことは言うまでもありません。しかしもし、近所でよく見かけるお年寄りがいたら? 黙ってすれ違うのではなく、あいさつをしてつながりを生むことは、私たちにできる地域のセーフティーネットづくりへの小さな一歩です。

SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」。命が等しく守られる世界を目指して(3分で分かるSDGs)

すべての人が「健康」に暮らせる世界を目指して

SDGsが目指す健康とは、「肉体的」に病気やけががないことだけでなく、「精神的」にも「社会的」にも健やかな状態のことを指します。生まれた場所や環境に左右されず、すべての人が健康な生涯を送れる世界をつくるためには、一人一人が自分の健康を大切にしながら、身の回りや世界の現実にも目を向けていくことが重要と言えるでしょう。

監修者:蟹江 憲史(かにえ・のりちか)先生

蟹江憲史先生

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。専門は国際関係論、地球システム・ガバナンス。SDGs策定過程から国連におけるSDGs設定に参画、「目標ベースのガバナンス」という概念を打ち立て、国際的に高く評価されている。国連事務総長より、2023年に国連が発行する『グローバル持続可能な開発報告書(GSDR)』を執筆する15人の科学者の一人に選ばれているSDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。『SDGs(持続可能な開発目標)』(2020年、中公新書)『未来を変える目標SDGsアイデアブック』(Think the Earth、2018、監修)、『SDGs白書2019』(インプレスR&D)など。

(掲載日:2021年3月12日)
文:白石沙桐
編集:エクスライト
イラスト:小鈴キリカ
監修者プロフィール写真:市村円香

SDGsの達成に向けた、マテリアリティ「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」

マテリアリティ(重要課題)

ソフトバンクは「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」をコンセプトに、SDGsの達成に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を設定。そのうち、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」を踏まえた「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」では、ICT(情報通信技術)を活用した教育や医療への貢献を目指しています。