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目標8「働きがいも経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ ー3分で分かるSDGs

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

たった3分で「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」の基礎知識が学べる【3分で分かるSDGs】シリーズ。この記事では、SDGsを構成する「17の目標」のうち目標8「働きがいも経済成長も」について、現状の課題や企業の活動例、私たちにできることを見ていきます。

これだけは知っておきたい! SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」3つのポイント

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

  1. 世界人口の約半分は1日2ドル以下で働いている
  2. 企業がしていること。制度の充実と多様な働き方
  3. 私たちにできること。制度の利用と経済の活性化

世界の労働事情とは? 約半分の人が1日2ドル以下で働いている(SDGsの目標8)

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

私たちの社会は経済によって成り立っています。働いてお金を得ることではじめて、食事を買えたり住む場所を用意できるのです。

しかし、世界の人口の約半分は1日2ドルにもならない仕事をしています。2021年3月1日の時点で1ドルは106.48円。つまり、日本円にして200数円程度の給与しか得られないのです。満足な給与が得られないと、食事もままならず生活することができません。

児童労働もまた、大きな問題です。“後発開発途上国”と呼ばれる世界で最も貧しい国々では、5歳から17歳までの子どもの4人に1人が労働を強いられています。その中には兵役も含まれ、幼い子どもたちが兵士として働いています。彼らは本来、学校に行き学ぶはずの時期に労働をしているため、十分な教育を身に付けられず、大人になっても貧困から抜け出せないという負の連鎖が起きているのです。

ゴールは「すべての人が働きがいがあって人間らしい仕事に就ける」こと

こうした連鎖を止めるためには、すべての人が“ディーセント・ワーク”に就く必要があります。日本でも非正規の雇用や日雇いなど、不安定な労働環境で働いている人たちがいますが、これからはそれぞれの国の状況に合った、無理なく続けられる経済成長を目指すことが大切になってきます。

覚えておきたいSDGs関連用語
  • 後発開発途上国…国連が定めた開発途上国のうち、特に開発が遅れている国々のこと。2021年3月現在は、47カ国がリストアップされている。
  • ディーセント・ワーク…働きがいのある人間らしい仕事のこと。すべての人が収入を得るために、十分な仕事があることが前提となる。
  • 後発開発途上国…国連が定めた開発途上国のうち、特に開発が遅れている国々のこと。2021年3月現在は、47カ国がリストアップされている。
  • ディーセント・ワーク…働きがいのある人間らしい仕事のこと。すべての人が収入を得るために、十分な仕事があることが前提となる。

企業がしていること。制度の充実と多様な働き方(SDGsの目標8)

① 働き方や制度でワーク・ライフ・バランスを実現

「ワーク・ライフ・バランス」とは、仕事と生活のバランスのこと。最近では、子どもが中学校1年生になるまで時短勤務が可能であったり、性別に関わらず育児休暇や介護休暇が取得できるといった制度を取り入れる企業が増えています。こうした制度とテレワークのような新しい働き方を組み合わせることで、これまで家の事情で勤務が難しくなり退職するしかなかった人たちも、仕事を続けることができるのです。

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

② 誰でも活躍できる会社を目指して

今、ビジネスは世界規模になり、国際社会において「多様性の尊重」が大切にされています。人種や民族、国籍、性別などの違いを認め合い、能力・知識・経験を生かす「ダイバーシティ経営」は、新しいアイデアを与えてくれたり、社会のさまざまなニーズに対応できるなど、企業に多くのメリットを生み出しています。

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

私たちにできること。制度の利用と経済の活性化(SDGsの目標8)

① 地産地消で地元の経済を回す

経済を活性化していくためには、地方にも仕事をつくり出していくことが必要です。そこでキーワードとなるのが「地産地消」。本来は「地元で育てた野菜を地元の人が消費する」ことを指しますが、ここでは農作物に限らず、食品や商品も含めます。遠い国の商品さえも手軽に手に入る今だからこそ、まずは地元から全国や世界に発信していけるような魅力的なものがないか、探してみましょう。

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

② 残業をせず、休暇をきちんと取る

有給休暇などの制度は、有効に活用するだけでなく、使いやすい環境を整えることも大切です。日本では、使用者に対して、1日8時間、週40時間を超える労働を原則としてさせないよう、法定労働時間が定められています。さらに、月80時間以上の時間外労働は病気や死亡・自殺のリスクが高まります。1日に4時間以上の残業は避け、十分な休暇を取りましょう。

SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」。誰もが人間らしく働き続けられる世界へ(3分で分かるSDGs)

誰もが人間らしく働き続けられる世界へ

労働の問題は貧困だけでなく、飢餓や犯罪・自殺率の上昇などあらゆる問題につながります。日本でも「ブラック企業」という言葉があるように、権利が守られていない状態で仕事をしている人は少なくありません。世界中のすべての人が安定し、働きがいのある人間らしい仕事をするためにも、制度を活用してより良い労働環境をつくるようにしましょう。

監修者:蟹江 憲史(かにえ・のりちか)先生

蟹江憲史先生

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。専門は国際関係論、地球システム・ガバナンス。SDGs策定過程から国連におけるSDGs設定に参画、「目標ベースのガバナンス」という概念を打ち立て、国際的に高く評価されている。国連事務総長より、2023年に国連が発行する『グローバル持続可能な開発報告書(GSDR)』を執筆する15人の科学者の一人に選ばれているSDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。『SDGs(持続可能な開発目標)』(2020年、中公新書)『未来を変える目標SDGsアイデアブック』(Think the Earth、2018、監修)、『SDGs白書2019』(インプレスR&D)など。

(掲載日:2021年3月17日)
文:丹下真美
編集:エクスライト
イラスト:小鈴キリカ
監修者プロフィール写真:市村円香

SDGsの達成に向けた、マテリアリティ「レジリエントな経営基盤の発展」

マテリアリティ

ソフトバンクは「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」をコンセプトに、SDGsの達成に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を設定。そのうち、SDGsの目標8「働きがいも 経済成長も」を踏まえた「レジリエントな経営基盤の発展」では、最新テクノロジーを活用し、多様な人材が活躍できる職場環境を構築することで、イノベーションの創発と従業員の幸福度向上を目指します。