たった3分で「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」の基礎知識が学べる【3分で分かるSDGs】シリーズ。この記事では、SDGsを構成する「17の目標」のうち目標12「つくる責任 つかう責任」について、現状の課題や企業の活動例、私たちにできることを見ていきます。
これだけは知っておきたい! SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」3つのポイント
- 世界では毎年、約1.3億トンもの食料が捨てられている
- 企業がしていること。資源を有効に使う新たなサービスの形
- 私たちにできること。商品の「外側」にも目を向けよう
世界の資源の現状は? 世界では毎年、約1.3億トンもの食料が捨てられている(SDGsの目標12)
私たちは、自然界にあるさまざまな資源を使って、多くのものを生産・消費しながら暮らしています。その規模は増えており、このままでは「2030年には地球が2つ必要になる」とまで言われています。そこで今、ものを作る側(生産者)と使う側(消費者)、それぞれの責任について考えてみましょう。
とりわけ深刻なのが食品ロスの問題。今、世界で生産されている食べ物の3分の1(約13億トン)が捨てられています。日本の場合、食べられるのに廃棄される食品は1年でなんと約643万トン。世界が途上国に援助している食料が年間390万トンなので、その約1.7倍にあたります。
また、あらゆる産業において、有害なゴミの排出や化学物質の使用が、水質や土壌を汚染し、温室効果ガスによる気候変動を招いています。そうした中で、人間の環境への依存度を示す“エコロジカル・フットプリント”をすぐにでも減らしていくことが重要です。
ゴールは「持続可能な消費と生産の方法を確保する」こと
こうした状況を変えるためには、生産者が限られた資源を効率よく使い、地球に優しい方法でものづくりをしていくこと。そして、消費者もゴミを減らす(Reduce)、繰り返し使う(Reuse)、資源を循環する(Recycle)という“3R”を実践することが求められています。
覚えておきたいSDGs関連用語
- エコロジカル・フットプリント…人間の活動が環境に及ぼす負荷の大きさを測る指標で、1人あたりの生産・消費に必要な地球の面積のこと。化石燃料の消費で排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積や、食糧の生産に必要な土地面積などから算出される。
- 3R…Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの総称。Reduce:ものを作ったり使ったりするときのゴミの量を減らすこと、Reuse:ひとつのものを何度も使うこと、Recycle:使い終わったものを資源に戻して再度ものを作ること。
- エコロジカル・フットプリント…人間の活動が環境に及ぼす負荷の大きさを測る指標で、1人あたりの生産・消費に必要な地球の面積のこと。化石燃料の消費で排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積や、食糧の生産に必要な土地面積などから算出される。
- 3R…Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つの総称。Reduce:ものを作ったり使ったりするときのゴミの量を減らすこと、Reuse:ひとつのものを何度も使うこと、Recycle:使い終わったものを資源に戻して再度ものを作ること。
企業がしていること。資源を有効に使う新たなサービスの形(SDGsの目標12)
① 消費者と店舗をつないで食品ロスを削減
食べ残しや売れ残り、見た目が悪い農産物など、食べられるのに捨てられてしまう食品を少しでも減らすために、消費者と飲食店や生産者をつなぐサービスが展開されています。「作った料理が売れ残りそう」「この野菜は味に問題はないけど売り場には並べられない」など、余っている食べ物の情報をアプリに登録しておくと、「食べたい」という消費者が購入できるシステムです。
② シェアする仕組みで資源を有効に活用
サステナブルな取り組みとして広がりを見せているのが、「シェアリングサービス」です。「モノ」や「場所」を個人で所有するのではなく、必要としている人どうしで共有して使う仕組みのことで、効率よく資源を使うことで無駄遣いやゴミを減らせます。空き家や空き部屋を貸し出す民泊は、その代表例。ほかにも、車や衣類、傘などさまざまなものがシェアされ始めています。
覚えておきたいSDGs関連用語
- サステナブル…「持続可能な(Sustainable)」という意味。“サステナブルな社会”は、自然環境に配慮しつつ社会的、経済的にも、将来にわたって安定して暮らし続けられる社会を指す。
- サステナブル…「持続可能な(Sustainable)」という意味。“サステナブルな社会”は、自然環境に配慮しつつ社会的、経済的にも、将来にわたって安定して暮らし続けられる社会を指す。
私たちにできること。商品の「外側」にも目を向けよう(SDGsの目標12)
① マイバックや容器を持参する
レジ袋が有料化されたのを機に、マイバックを使い始めた人は多いのではないでしょうか。スーパーでは、魚や肉などを2重にビニール袋に入れてくれるところもありますが、必要なければ断ることでさらにゴミを減らせます。最近は、食材や洗剤などを量り売りする「バルクショップ」も少しずつ増えてきました。こうしたお店を選び、容器を持参して買い物するのも地球に優しい行動と言えます。
② オーガニックコスメやヴィーガンコスメを選ぶ
原料に農薬や化学肥料が使われていない「オーガニックコスメ」や、動物由来の成分を使わない「ヴィーガンコスメ」を選ぶことも、環境や生態系を傷つけない消費につながります。最近では、使い終わった容器を回収してリサイクルしたり、商品を外箱に入れないコスメブランドも登場。「買い物は投票」という考え方があるように、こうしたブランドを支持することでサステナブルな取り組みを後押しできます。
資源が循環するサステナブルな世界へ
地球上の限りある資源を未来に残していくためにも、生産・消費それぞれの立場でゴミを減らし資源を循環させることで、資源の枯渇や環境破壊を食い止める必要があります。まずは、日常の買い物を見直して、目の前の「モノ」が作り出される過程から使い終わったあとの行き先にまで、考えを巡らせてみることも大切です。
監修者:蟹江 憲史(かにえ・のりちか)先生
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。専門は国際関係論、地球システム・ガバナンス。SDGs策定過程から国連におけるSDGs設定に参画、「目標ベースのガバナンス」という概念を打ち立て、国際的に高く評価されている。国連事務総長より、2023年に国連が発行する『グローバル持続可能な開発報告書(GSDR)』を執筆する15人の科学者の一人に選ばれているSDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。『SDGs(持続可能な開発目標)』(2020年、中公新書)『未来を変える目標SDGsアイデアブック』(Think the Earth、2018、監修)、『SDGs白書2019』(インプレスR&D)など。
(掲載日:2021年3月22日)
文:白石沙桐
編集:エクスライト
イラスト:小鈴キリカ
監修者プロフィール写真:市村円香
SDGsの達成に向けたマテリアリティ「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」
ソフトバンクは「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」をコンセプトに、SDGsの達成に向けて6つのマテリアリティ(重要課題)を設定。そのうち、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」を踏まえた「テクノロジーのチカラで地球環境へ貢献」では、携帯電話のリサイクルや、スマートデバイスの活用によるペーパーレス化の推進によって、循環型社会の推進に取り組んでいます。