先日行われたソフトバンクの新サービス発表会で出てきたキーワード『パケ止まり』。
ん?『パケ詰まり』なら聞いたことあるけど……と思った方も多いのではないでしょうか。『パケ止まり』とはどんな現象のことを指すのか、『パケ止まり』と『パケ詰まり』は何がどう違うのか、調べてみました。
『パケ止まり』と『パケ詰まり』の違い
「アンテナバーが表示されているのにネットにつながらない……」
皆さんも普段スマホを使っていて、一度はこのような経験をしたことがあるのではないでしょうか。実はこのような現象が起きるのには、さまざまな要因があります。
『パケ詰まり』は、電波の強度だけでなく品質が原因
『パケ詰まり』とは、アンテナバーが立っている(圏外ではない)のに通信速度が極端に遅くなる現象を指します。
その要因は、通信中の「パケットロス」によるものです。データの送受信を行う際、データを送信すると、必ず無事にデータが届いたことを知らせる確認応答のやり取りが行われます。この往復のどこかでパケットロスが発生すると、送受信が正常に完了できず、まるで通信が止まっているかのような体感になります。
このような現象が起こりやすいのは、主に電波の品質が悪い状況においてです。 多くの方が想像するのは、電波の強度が弱い場所でしょう。電車など乗り物での移動中に、ハンドオーバー(基地局の切り替え)に失敗した場合にも電波の品質が不安定になります。他にも、災害が発生したときや、花火大会、野外フェスのように、同じエリアにいる大勢の人が同時にスマホで通信を行うような場合には、一斉に大勢のユーザーが同じ基地局に接続しようとします。他ユーザーが発した電波に自分のスマホが発した電波が埋もれて、パケットロスが発生しまうこともあります。
『パケ詰まり』は、電波の強度だけではなく、目に見えない電波の品質によっても発生するので、なかなか厄介な現象なのです。
『パケ止まり』は、電波の弱い場所で発生するエリア拡張期特有の現象
一方、『パケ止まり』とはどのような現象なのでしょう?
発表会で紹介されたTwitterでのコメントによると、「5Gマークが出ている(5Gの電波につながっている)のに通信ができない」ということのようです。5Gのアンテナバーが立っていても通信できない……『パケ詰まり』に似ていますね。しかもこの現象は、通信事業者を特定しない形で発生している状況とのこと。
その原因には、5Gの電波は高い周波数帯を使用しているため、建物などさまざまなものに遮られて電波が届きにくいという特性が影響しています。5G電波が弱いエリアで5Gでの通信を優先させると、通信がうまくいかないケースが多く、これがいわゆる『パケ止まり』になってしまうのだそうです。そしてこれは、5G基地局の設置密度が不足していて、5G電波に連続的につながらないことが多い現在だから発生している課題なのです。
これに対し、ソフトバンク株式会社 常務執行役員 兼 CNOの関和智弘は、発表会で以下のように説明しています。
「『パケ止まり』は、5G転換過渡期における深刻な問題と認識しています。5Gを展開している最中では5Gの連続性が不十分となるエリアがどうしても発生してしまい、5Gの連続性が不十分なエリアで無理に5G通信を優先させることで『パケ止まり』が発生することになります。
ソフトバンクは、この電波の弱いエリア(セルエッジ)の通信品質にこだわって最適化を進めています。具体的には、5Gの電波状態が悪いエリアでは基地局から端末までの『下り通信』に5Gを使用、端末から基地局までの『上り通信』には、5Gよりも電波が届きやすい4G(LTE)を活用することで、目下の『パケ止まり』を防いでいます。このような電波品質改善への取り組みの結果、5G通信データログの分析結果でも、ソフトバンクの5Gでは快適な通信環境が実現できていると言えます」
ソフトバンクが提供する3つのブランドにおける5Gプランの契約数は、2021年7月末までに1,000万を突破。
5G体感を徹底的に追求することはもちろん、5Gの基地局整備にも継続して取り組み、2021年10月末までには2万局の基地局を整備し人口カバー率80%を、さらに2022年春には90%を目指しています。
- 5Gのサービスエリアの拡大と品質向上に向けた取り組みについて(ソフトバンク株式会社、2021年9月14日)
ソフトバンク「新サービス発表会(9月14日開催)」レポート
(掲載日:2021年9月21日)
文:ソフトバンクニュース編集部