竹芝に本社が移転して約1年。コロナ下での緊急事態宣言などもあり、この間ソフトバンクの社員の働き方は大きく変わりました。現時点での竹芝本社を取り巻く社員の働き方の実態や、その課題はどのようなものなのでしょうか?
メリハリを生み出す空間。竹芝本社はこんなふうに使われている
竹芝本社は社員にどのように使われているのでしょうか。いくつかのポイント別に、オフィスの本社移転プロジェクトに携わると共に、グループ全体のオフィス戦略を担当する総務本部の佐藤部長と見てみましょう。
今回、話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 総務本部
総務サービス統括部 地域総務部 兼
同本部 グループ総務統括室 グループオフィス戦略部
佐藤 信秀(さとう・のぶひで)部長
偶然の出会いを呼び起こすラウンジでは、くだけた会話でリラックス
佐藤:各フロアにあるラウンジには、無料のドリンクバー(コーヒーや紅茶・緑茶など)が設置されており大変好評で、皆さん休憩がてら1日に何度も立ち寄る場所になっています。コロナ下で出社しなくなった中、たまに出社してラウンジに立ち寄ったときに、社員同士が偶然再会してそのまま情報交換している場面はよく見かけます。
また内階段で3フロアがつながっているのですが、人が集まるよう、あえて中層フロアにのみ人気のエスプレッソマシンを設置しています。私は普段、中層フロアの1つ上のフロアにいるので、朝やランチ後、コーヒーを取りに行ったついでに、よく他部門にふらりと立ち寄るんです。雑談から何かが始まることって、結構あるんですよね。
集中して業務が行える執務エリア
佐藤:フリーアドレス制の執務エリアは、集中して業務を行いたいときに使っています。臨時で軽いミーティングが必要になった際には、周辺にあるソファ席やハイカウンターでフリーディスカッションすることもありますね。
1フロア900坪のオフィスに、複合機は3台しか置いていません。でもみんな困っていないんですよね。そもそも、使っている人をあまり見かけません(笑)。当社は元々ペーパーレスが進んでいましたが、この移転を機にオフィス内のモノを7割削減し、1人当たりのキャビネット容量も減りました。モノに縛られない働き方が本当に定着したんだと実感しています。
完全ペーパーレス化を阻む最後のとりでとも言われる「書類への押印」をデジタル化した取り組みについては、こちらで詳しく紹介しています。
場所に縛られない働き方へのさらなる前進。ソフトバンクの押印電子化プロジェクト - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース
電話や1人でリモート会議に参加するときにはフォンブースを活用
佐藤:電話や1人で参加するリモート会議など、個室が必要なときにはフォンブースを使っています。会話の内容がオープンスペースでははばかられる際に便利であるのに加えて、オフィス以外の場所にいる社員とのリモート会議が増えてニーズが高まったことから、移転後に数を見直して増設しました。
竹芝本社ビル内のさまざまな特長的な場所が、どのような狙いでデザインされているかについては、こちらで詳しく紹介しています。
ソフトバンク竹芝新本社ビル探訪。人とのつながりを深め、イノベーションの創出を目指して - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース
目的に合わせて効果的なワークプレイスを選ぶ
このような仕掛けづくりをしているのは、そもそもなぜなのでしょうか?
佐藤:本社とは、いわば私たちの成長戦略「Beyond Carrier」を加速させていくための基地。そのために、社員全員が最高のパフォーマンスを発揮して「Smart & Fun! 」を体現できるコミュニティー型ワークスペースの形をとりました。部門をまたいだオープンイノベーションの創出を目指すほか、時間・場所・モノに縛られない、よりイノベーティブでクリエーティブな働き方を目指すための仕掛けを体現したのが、この竹芝本社です。
また、以前は主に執務デスクと会議室を往復するような働き方だったかと思いますが、竹芝では社員それぞれが、その時その時の仕事内容に合わせて、都度働く場所を選択できるレイアウトになっています。
場所を選択するという意味では、選択肢は竹芝本社以外にもありますよね。
佐藤:在宅勤務やサテライトオフィスですね。「今日の仕事は集中したいから家でやろう」とか、「商談でお客さまのところへ直行して、帰りは最寄りのサテライトオフィスに寄って仕事を済ませよう」、あるいは「今日は新しいアイデアを生み出したいから、人と交流しに本社に行こう」など、その日の業務に合わせて働く場所を主体的に選んでもらっています。
竹芝本社をはじめとした新しい働き方は、社員にどのような影響を与えていると思いますか?
佐藤:ソフトバンクは、これまでも新しい働き方を取り入れてきました。最初はフリーアドレスになじめない社員もいたかと思います。そして、コロナ下では、業務上出社が必要な一部の社員を除き、基本的には全員が原則在宅勤務を長い期間続けてきました。この間、私たちの意識も変わり、世の中も大きく変わったのではないでしょうか。多様な働き方や考え方をどんどん取り入れていこうという機運にも恵まれ、働き方の進化はさらに加速しました。
実は先日行ったESサーベイ(社員満足度調査)では、「働く環境」のスコアが大きく上昇。いろいろな知恵と工夫を盛り込んで働く環境を変えたことで、社員の大きな意識変革につながっています。
今後重要なカギは「出社」と「在宅」の使い分けの見極め
緊急事態宣言も解除され、今後ますます本格的に竹芝本社の活用などが進んでいきます。現状での課題感をお聞かせください。
佐藤:「出社」と「在宅」の使い分けの見極めです。メンバーが一堂に会していなくても、Zoomなどのさまざまなデジタルツールを活用してオンラインでコミュニケーションする、いわばバーチャルな働き方がすっかり浸透しました。浸透した今だからこそ、今後はリアルなコミュニケーションの大切さが、より高まってくると思うのです。
リアルのコミュニケーションの大切さ、ですか?
佐藤:はい。リモート会議は、移動時間の無駄や場所確保の手間もなく、本当に便利で頻繁に行われていますが、やはりコミュニケーションの密度が違うなと。どうしても、その多くの情報を耳に頼っているんですよね。対面だと、ボディーランゲージや表情、よりリアルな声の質感など、得られる情報量が違う。また、会話に割り込むタイミングが、リモート会議だと微妙に難しいんですよね(笑)。
それは確かに経験があります(笑)。
佐藤:ですから、「出社」と「在宅」の使い分けがすごく大事だと思うのです。皆でいろいろなアイデアを出してそれぞれの多様な価値観をぶつけて、何か新しい価値を生み出したい。このようなときはリアル、つまり出社が向いていると考えています。
オフィスとは、イノベーションを創出する場所。この意味合いがますます高まっているのかもしれませんね。
佐藤:まさしくその通り。そしてもう一つ、オフィスとは、チームビルディングを創出する場所。すでに関係性が構築されているメンバー同士であれば、リモートでもコミュニケーションに支障はないと感じますが、新入社員や中途入社で新しく仲間になった人たちと信頼関係を築き上げていくには、やはりリアルなコミュニケーションに勝るものはないのではないかと。
オフィスの存在意義というものが変わってきていると感じています。何のために出社するのか。そこを意識しながら「出社」と「在宅」を使い分けるハイブリッドな働き方を見極めて、仲間同士の信頼関係を構築しながら新しい価値を生み出していく。これがわれわれが次のステップとして目指す姿であり、私のチームとしてはそのために、さらなる仕掛けづくりに取り組んでいく必要があると感じています。
竹芝モデルを全国各地域拠点にも展開
ここまで竹芝本社を中心としたワークプレイスについて聞いてきましたが、このスタイルは他の地域にも展開していくのでしょうか?
佐藤:はい。東京地区ではソフトバンク株式会社をはじめとしたグループ会社は竹芝へ、そしてZホールディングス株式会社をはじめとしたグループ会社は紀尾井町へと、2拠点を中心にオフィスの集約と最適化を2020年度に開始しました。本年度は地域拠点でも同様に、グループ会社と連携してオフィスの集約と最適化を進めています。
竹芝本社をモデルに、人が集まることでイノベーティブな会話が生まれることを期待したデザインで、座席数も約50%とスリム化。現在までに仙台、水戸、金沢、静岡、長野、高松、福岡、沖縄の8都市において完了しており、社員からも大好評です。下期も引き続きこの取り組みを進め、2022年度末にほぼ完成形に近づけていく予定です。
今後の展望を聞かせてください。
佐藤:コロナがなかなか収束しない状況ではありますが、竹芝本社ビルの中には社内外のコラボレーションを促進するWeWork 東京ポートシティ竹芝が2021年5月にオープン。多数のグループ会社などが入居しており、今後そこから共創が生まれていくのではないかと期待しています。グループ会社の社員同士がコラボレーションするような場も、さらに作っていきたいです。
ソフトバンクの働き方改革は、この1年で大きく前進したと思います。私たちがやってきたこの取り組みを、今度はいろいろな新しいサービスと掛け合わせた形で進化させ、情報革命で人々の幸せに貢献できるよう、さらに追求していきたいです。
(掲載日:2021年11月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部
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竹芝の新本社ビルは、従業員全員が最高のパフォーマンスを発揮でき「Smart & Fun! 」を体現できるコミュニティー型ワークスペース。オフィスで部門をまたいだオープンイノベーションの創出を目指すほか、働く時間や場所に縛られない、よりイノベーティブでクリエーティブな働き方を目指しています。