野球の普及・発展と世界の子どもたちの友情や親善の輪を広げることを目的に、日本とアメリカのホームラン・キング、王 貞治さんとハンク・アーロンさんの提唱で始まった「世界少年野球大会」。大会には毎年15カ国・地域の少年少女が参加し、これまで参加した国・地域は98にも上ります。
福岡ソフトバンクホークスならびにソフトバンクグループ株式会社では、この大会の主旨に賛同し、協賛企業の一員として大会を支援してきました。
コロナ禍により、残念ながら世界大会が2年続けて中止となりましたが、世界への野球普及活動をさらに進めていくため、多国籍の児童が通うインターナショナルスクールの生徒に野球を体験してもらう野球教室が2021年10月25日に東京都内のアオバ・ジャパン・インターナショナルスクールにて開催されたので、取材してきました。
元メジャーリーガーに女子野球元日本代表。トッププレーヤーと共に野球の魅力に触れる
野球教室に参加したのは、アオバ・ジャパン・インターナショナルスクールに通う3・4年生111人。
野球がメジャースポーツではない国など、さまざまな文化背景を持つ生徒たちに野球の魅力を伝える講師として参加したのは、元メジャーリーガーで現栃木ゴールデンブレーブスの川﨑宗則選手。王貞治会長が監督時代に福岡ソフトバンクホークスの主力選手としても活躍した川﨑選手は、王会長の野球の普及・発展への思いに共感し、この取り組みに協力してくれました。
さらに、女子野球ワールドカップ3大会連続MVPの里綾実選手(現女子野球日本代表選手)山崎まり選手(女子野球元日本代表 )をはじめ、日本屈指のトッププレーヤーたちも参加して野球教室がスタート。
野球経験のない初心者でも無理なく楽しんで参加できるプログラムが用意され、和気あいあいとした雰囲気。
子どもたちにとっても、コロナで学校行事の中止が続く中、一流選手と共に楽しく野球ができたことは、よい思い出になったようです。
子どもたちの声
子どもたちに野球教室に参加した感想や野球のイメージについて聞いてみました。
父がよく野球の練習をしているので、野球がもっと上手になるために、どうやってプレーするか、何をもっと練習できるか興味がありました。
今日一番楽しかったのはバッティング。打った時にとてもいい音が出るからです。また参加したいです。
以前通っていた学校では体育の時間に時々野球をしましたが、それ以外では野球をしたことはありませんでした。野球教室がまたあれば参加して、他の人を助けてあげたいと思います。
道具がいらない「ベースボール5」が野球を身近にする
さまざまなプログラムの中で子どもたちが最も盛り上がったのが、手打ち野球「ベースボール5」のミニゲーム体験。
バットやグローブを使わず、やわらかいゴムボールを手の平で打つなど遊び方がシンプルなので、野球の技術がなくても楽しめます。
ベースボール5とは
バットやグローブが不要な5人制の手打ち野球。2017年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)より発表され野球・ソフトボールに次ぐ第3の競技として認定されている。ゴムボールさえあればどこでもプレーできるのが特徴。
教室を終えた講師の皆さんに、今回の感想や野球の普及に向けた思いを聞いてみました。
川﨑選手
子どもたちはとてもかわいくて、僕たちがとても癒されました。野球をやったことのない子も、身体を目いっぱい動かしてもらえて嬉しかったです。
子どもの時に海外の文化に触れることは非常に重要だと思います。自分自身30代で初めて海外で野球の仕事をする中で、早いうちに海外の文化に触れていればよかったと思ったことがあります。
野球はルールも複雑で、バット等道具が必要になるなど気軽にできるスポーツではないかもしれないが、今回の野球教室で取り入れたようなボール遊びや、ベースボール5であれば気軽に楽しめるので、そういうところから野球に親しんでほしいです。
山崎選手
女子野球ワールドカップには12カ国しか出場できない。日本では野球人気が高いが、世界でも人気になることが、野球の普及には必要だという想いがあり、今回のイベントにも参加することを決めました。
コロナ前にオーストラリアのブリスベンで自主トレをやった際、現地の子どもたちに野球を教える機会があったのですが、とても楽しかったです。今日も野球未経験の子たちが一生懸命に、とても楽しそうにやっていて良かったです。
途上国での野球の普及には、バットやグローブ等の道具が必要であることがネックだと感じているが、ベースボール5はボールさえあればできるので、海外での普及に活用できると思います。
田中選手
みんなとても上手で、女の子も器用にプレーしていて、「野球やろうよ!」と誘いたくなりました。ベースボール5はすごく簡単にできるので、学校の休み時間に気軽に遊んでほしいですし、ベースボール5がきっかけとなって野球をする子が増えるといいなと思います。
日本代表として海外でプレーした際に、他国の選手との交流する機会があり、みんな試合以外では仲間だと感じた。野球というスポーツを通じで世界の人々と、国に関係なくつながれることは素晴らしいと思う。
世界少年野球推進財団 事務局長 久須美史子さんコメント
最後に、主催者である世界少年野球推進財団 事務局長 久須美史子さんにもコメントをいただきました。
「コロナで世界少年野球大会が開催できなくなり、何かできることはないかと検討した結果、団体の根幹として、野球を通じた国際交流というものがあるため、インターナショナルスクールでの野球教室を考えました。
インターナショナルスクールの子どもたちは野球をやったことがない子がほとんどですが、気軽にできるボール遊びや、ベースボール5を通じて、野球の楽しみを感じてもらえたらと思う。 コロナ対策を十分に行い、学校にも十分に説明を行ったうえで開催することができ大変うれしく思います。」
(掲載日:2021年11月16日)
文:ソフトバンクニュース編集部