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ネットのデマにもうだまされない。今日からできるフェイクニュース対策【勉強編】

ネットのデマにもうだまされない。今日からできるフェイクニュース対策【勉強編】

ネットやSNS上にあふれる無数の情報。中には私たちの生活を脅かすような悪質なデマやフェイクニュースもあり、一体何を信じればいいか分からなくなりますよね。誰でも実践できる、だまされないための対策はあるのでしょうか? そこでこの記事ではジャーナリストの立岩陽一郎さんに、フェイクニュースにだまされてしまう理由と、正しい情報を見極めるための6つのポイントを教えてもらいました。

立岩 陽一郎(たていわ・よういちろう)さん

立岩 陽一郎(たていわ・よういちろう)さん

NPOメディアInFact編集長。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。InFactを立ち上げてファクトチェックなどに取り組む。著書に『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』(講談社)、『ファクトチェックとは何か』(岩波ブックレット)など多数。

フェイクニュース対策の目次

「根拠らしいもの」の見極め方とは? フェイクニュースの裏にある意図やその巧妙な手口

まずは、こちらの画像を見てください。

2016年4月に発生した熊本地震の際に「動物園からライオンが逃げて市中に現れた」というデマツイートが、道路を歩くライオンの画像とともに拡散されました。警察が動くなど大事になり、経済的なトラブルも発生。投稿主は業務妨害の容疑で逮捕されています。

今、こうした「フェイクニュース」が、世界中で大きな問題となっています。


そもそも、フェイクニュースとは何なのでしょうか?

立岩さん

「正確な定義はありませんが、『誤った情報をある目的のために意図的に流すこと』がフェイクニュースと呼ばれます。『ある目的』とは大きく分けて2種類あり、ひとつは『金銭的な目的』、記事へのアクセスを稼いでお金にするわけですね。単なるいたずらであっても、それが往々にして金銭的価値を持つことがあります。
もうひとつは『政治的な目的』。政治的に対立する相手をおとしめるため、誤った情報を流すわけです」

こうしたフェイクニュースに共通するパターンや決まり文句などはあるのでしょうか?

立岩さん

「新聞記事や画像、動画など、『根拠らしいものを示している』ことがひとつのパターンです。というのも、よく見てみると実は根拠にあたることは書かれていなかったり、必ずしも『根拠』と呼ぶに値する内容ではないことが多い。
極めて巧妙化されたフェイクニュースだと、画像や動画を加工して使用するケースもあります」

立岩さん

「CNN(アメリカのニュースチャンネル)をまねた画像です。一見本物のようですが、画像解析ソフトを使用すると複数の画像をコラージュしたものだと分かります。一部のフォントは、CNNでは通常使用されてないものです。こういう画像を『おもしろい』と感じて、拡散する人がいるため、情報発信者は意外とお金もうけができてしまうんです」

これは、巧妙……。信じてしまいそうですね……。

立岩さん

「私たち自身も勘違いで誤情報を拡散してしまうことはあります。そういう意味では、誰もがフェイクニュースの担い手なんですね。『自分は絶対にフェイクニュースを流していない』という人に限って、誤った情報を拡散してしまうこともあるんです」

知っておきたい、フェイクニュース関連用語
  • フェイクニュース…誤った情報を、ある目的のために意図的に流すこと
  • ファクトチェック…社会に広がっている情報やニュース、言説が事実に基づいているのかどうかを調べること
  • 一次情報…情報の発信者が直接体験して得た情報や、自ら行った調査・実験で得た情報、公的な機関が出す情報のこと
  • フェイクニュース…誤った情報を、ある目的のために意図的に流すこと
  • ファクトチェック…社会に広がっている情報やニュース、言説が事実に基づいているのかどうかを調べること
  • 一次情報…情報の発信者が直接体験して得た情報や、自ら行った調査・実験で得た情報、公的な機関が出す情報のこと

フェイクニュースにだまされやすい人の特徴は? 正しい情報を見極めるための6つのポイント

フェイクニュースにだまされやすい人の特徴は? 正しい情報を見極めるための6つのポイント

フェイクニュースにだまされやすい人の特徴はあるのでしょうか?

立岩さん

「『認知バイアス(直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって、ものごとを非合理的に判断してしまうこと)』が強くかかっている人ですね。例えば、ある特定の政策に対して反対派の意見を持つ人は、自分にとって都合の良い事実しか見つけてきません。強い “意見” があるとフィルターがかかり、事実検証をせずにフェイクニュースを信じてしまいやすいんです。
もちろん、完全に客観的になるのは難しいので、自分の中のバイアスを自覚した上で、事実を探すことがファクトチェックでは大切です。特に、『根拠が提示されているか』『その根拠はどんなものか』を確認することです」

ファクトチェックの6つの心得

  • その1:情報源を確かめよう…どこから・誰が発信している?/情報源は信用できる?
  • その2:一次情報を確認しよう…引用や伝聞による誤った情報でない?
  • その3:「事実」と「意見」の違いを見極めよう…意見を事実のように語っていない?
  • その4:ほかのメディアの情報と見比べよう…別のメディアでも報道されている?/内容は同じ?
  • その5:情報が発信された時期を確認しよう…最初に発信されたのはいつ頃?
  • その6:情報発信者の目的や認知バイアスを考えよう…発信者によって故意に誇張されたりねじ曲げられていない?/直感や先入観で判断されていない?

誰でも簡単にできる、ファクトチェックのコツはあるんでしょうか?

立岩さん

「ファクトチェックのコツとしては、『文章を因数分解する』ことが有効です。文章中のさまざまな要素を分解し、”事実として言っている” と思われるものを抽出して確認します。例えば、『①日本の犯罪検挙率は〇〇%です、②だから日本は安全/危険なんです』という文章があるとします。ファクトチェックする場合、②『だから日本は安全/危険』という意見の部分ではなく、意見の前提となる①『犯罪検挙率は〇〇%』という事実を検証するんです」

しかし一方で、毎回すべての情報が事実かどうか検証するのは、難しいようにも感じます。

立岩さん

「100%やる必要はなく、これらの対策のうちひとつを意識するだけでも大きな変化です。今のネット時代では、いろんな媒体のニュースを簡単に確認できますね。あやふやな情報は拡散しないことも大事。事実を確認することの大変さが分かれば、事実ではないことの拡散がどれだけ大変な問題を引き起こすか、理解できるはずです」

専門家だけでなく、高校生や大学生など一般の人たちも当たり前にファクトチェックするべきなんですね。

立岩さん

「ファクトチェックで重視するのは、発せられている情報に根拠があるかどうか。専門家の話を元に『これは正しい/間違っている』と断定することや、物事の良しあしを図ることではないんです。『学生にファクトチェックなんかできるのか?』とよく言われるんですが、むしろ逆で、固定観念を持たず客観的に事実かどうかを確認するためには、学生は主力になると考えています」


後編では、取材を基に架空のSNS投稿&ニュースを使ったテストを作成。隠れたフェイクをいくつ見破れるか、ぜひチャレンジしてみてください!

(掲載日:2021年11月18日)
文:山田宗太朗
編集:エクスライト

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