2021年10月27日、国立大学法人広島大学がイノベーションを創出する国際的な活動拠点として、フェニックス国際センター「MIRAI CREA(ミライ クリエ)」を開館。この記念行事としてシンポジウムが開催され、ソフトバンク株式会社からデジタルトランスフォーメーション本部 本部長の河西慎太郎らが参加し公開講演が行われました。
急速なデジタル産業へのシフト。日本の未来に必要なデジタル人材
このシンポジウムは、MIRAI CREAの会場とオンラインの両方から参加できるハイブリッド型で実施され、総参加者は約220人。「未来社会のデザイン」をメインテーマに、アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営大学院学長のSanjeev Khagram氏による基調講演、広島県副知事 山田仁氏の講演に続いて、河西が未来社会の課題解決に欠かせないDXの重要性について講演しました。
地域循環イノベーションのエコシステムをつくりあげる
「産官学で創る未来のソーシャルデザイン」をテーマに講演した河西は、日本のデジタル競争力向上のために「デジタル人材の育成が必須」であると強調。「地域で育成した人材が活躍できる場の提供が、国のデジタル化を底上げする」として、2021年7月に広島大学、東広島市と締結した包括連携協定をベースに、「地域でイノベーションを起こすための仕組みづくりに貢献したい」と述べました。
そして、データ連携基盤を活用した新たなサービスを創出し、「産・官・学」連携による地域循環型イノベーションシステムの「次世代標準モデル」を広島大学と東広島市と共創し、全国展開していきたいとしました。
「共創」が、日本の社会課題の解決と未来のイノベーションを創出
イベントの最後に、広島大学理事・副学長の金子慎治氏をモデレーターとして、山田副知事、河西の3者によるパネルディスカッションが行われ、DXを地域の課題にどう結び付けて社会実装につなげていくかについて、「産・官・学」それぞれの立場から議論されました。
山田副知事は「行政サービスは、“使う人が本当に役に立ったと思ってくれるか” を念頭に事業を組み立てるべき」とし、利用者目線でのプロジェクトメイキングの重要性を強調。河西は「自治体ごとにシステムを作るといった従来の縦割りの発想ではなく、これからは “標準化” や “型化” を意識するのが重要。それを横展開することで次世代のシステムの分断を防ぎ、生産性の向上や技術者不足の解消につながる」と、日本のデジタル化の遅れを解決する策について述べました。
最後に金子氏は、「デジタルの社会実装には『産・官・学』が共創のプロセスを経て取り組むとともに、社会変革の中で使う側も新しいシステムを学び、望ましい社会に向けて技術が適切に使われるかを意識する必要がある」と、「産・官・学」に加えて「民」でのコミュニケーションの重要性について言及。いずれもデジタル化社会に変化する中で重要なのは、「人が中心のDX」であるという共通の認識を明らかにして議論を締めくくりました。
広島大学フェニックス国際センター「MIRAI CREA」での、ソフトバンクの講演「産官学で創る未来のソーシャルデザイン」の内容は、こちらでお読みいただけます。
(掲載日:2021年11月17日)
文:ソフトバンクニュース編集部