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デマを見抜くファクトチェックのポイント解説。 今日からできるフェイクニュース対策【実践編】

デマを見抜くファクトチェックのポイント解説。 今日からできるフェイクニュース対策【実践編】

最近話題になっているフェイクニュース。「自分に限ってはだまされない」と、根拠のない自身を抱いてしまっている方も案外多いそうです。

「今日からできるフェイクニュース対策」の勉強編では、ジャーナリストの立岩陽一郎さんに、フェイクニュースにだまされてしまう理由と、正しい情報を見極めるための6つのポイントを教えてもらいました。実践編では、取材を基に架空のSNS投稿&ニュースを使ったテストを作成。隠れたフェイクをいくつ見破れるか、ぜひチャレンジしてみてください!

立岩 陽一郎(たていわ・よういちろう)さん

立岩 陽一郎(たていわ・よういちろう)さん

NPOメディアInFact編集長。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。InFactを立ち上げてファクトチェックなどに取り組む。著書に『コロナの時代を生きるためのファクトチェック』(講談社)、『ファクトチェックとは何か』(岩波ブックレット)など多数。

目次

この文章に隠れたフェイクを見破れ! ファクトチェックに挑戦してみよう

ではここからは、実際にフェイクニュースを見抜けるか挑戦してみましょう。以下、難易度の異なる架空のSNS投稿・ニュースを2つ用意しました。隠れているフェイクは初級編と上級編合わせて9カ所。あなたはいくつ見抜けますか?

まずは、初級編から。ファクトチェックテスト:SNS投稿

フェイクニュースSNS投稿編

レベルアップ!? 上級編。ファクトチェックテスト:ニュース

フェイクニュース(ニュース編)

いくつ見抜けましたか? ファクトチェックのポイント&解説

さて、ここからは立岩さんと一緒にファクトチェックのポイントを確認してみましょう。

ファクトチェックの6つの心得
  • その1:情報源を確かめよう
  • その2:一次情報を確認しよう
  • その3:「事実」と「意見」の違いを見極めよう
  • その4:ほかのメディアの情報と見比べよう
  • その5:情報が発信された時期を確認しよう
  • その6:情報発信者の目的や認知バイアスを考えよう

引用:ネットのデマにもうだまされない。今日からできるフェイクニュース対策【勉強編】


初級編:SNS投稿のポイント&解説

フェイクニュースSNS投稿編 解説

立岩さん

「これはよく目にするケースですね。こうした情報を『面白い』と感じて拡散させてしまったことのある人も多いのではないでしょうか? 特に、この『知り合いの国語教師に聞いた 』といった、一見信ぴょう性のありそうな書き出しには要注意です。これは根拠になるでしょうか? まずはそこを考える必要があります」


ファクトチェックのポイント解説

  1. 「知り合いの国語教師に聞いたんだけど」
    • ポイント:情報ソースが曖昧
    • 解説:「知り合いの〇〇に聞いた」という言い回しには要注意です。
  2. 「漱石が留学してたイギリスから持ち帰った猫」
    • ポイント:史実には残っていない
    • 解説:漱石が「イギリスから猫を持ち帰った」のはそもそも史実ではありません。簡易的な形でも、検索して確認しましょう。
  3. 「外来種を勝手に持ち込んだ人がいたからなんだろうね」
    • ポイント:「事実」ではなく「意見」/投稿者の認知バイアスがかかっている
    • 解説:「雑種の猫が増えているのは外来種が持ち込まれたせいだ」といった、投稿者の先入観が強く表れている意見です。

上級編:ニュースのポイント&解説

フェイクニュース(ニュース編)

立岩さん

「外国の文献を引用したとするケースにも要注意です。本当にその文献は存在するのでしょうか? 仮に存在するとして、その根拠となっている記述がなされているでしょうか? その点を確認しましょう。
実は、現代は過去に比べそうした作業が困難ではなくなっています。専門家の知識も必要ありませんので、まずはWeb検索や自動翻訳サービスを使ってください。そこに根拠が存在するかを確認するだけです」


ファクトチェックのポイント解説

  1. 関係者によると
    • ポイント:情報ソースが曖昧
    • 解説:初級編の「知り合いの〇〇に聞いた」と同様、疑ってかかった方がいい表現です。
  2. イギリスの学術雑誌『Journal of Zoological Literature』
    • ポイント:存在しないメディア
    • 解説:一見それらしい海外メディアも、検索して実在するか確認しましょう。
  3. イギリスの著名な動物学者トーマス・カーライル博士(エディンバラ大学)
    • ポイント:肩書が誤り
    • 解説:トーマス・カーライル博士は、19世紀イギリスの歴史家・評論家。そのため肩書の誤りだけでなく、2021年にトーマス博士の共同研究が発表されたこと自体が誤りです。
  4. 彼にとっても身近だったに違いない
    • ポイント:「事実」ではなく「意見」
    • 解説:漱石がアビシニアンに親しんでいたかどうかは根拠がなく不明。あくまで博士の推測であり、事実ではないことに注意しましょう。
  5. 上述した関係者は「この調子でいくと、来年には今の倍くらいの値段になってしまうかもしれない」と危惧している
    • ポイント:このニュースによって価格を高騰させたいという意図
    • 解説:猫関連業者による、金銭目的のフェイクニュースと読み取れるでしょう。
  6. 文・複澤喩吉(ソフトニャンコニュース)
    • ポイント:存在しないメディア
    • 解説:記事自体を掲載しているメディア名も見落としなく。
  • 今回の例には含まれていませんが、実際のニュースではほかのメディアの情報と見比べる、情報が発信された時期を確認するといったことにも注意しましょう。

立岩さん

「このように、フェイクニュースにはだまされやすい要素が巧妙に仕込まれています。また、すべてのフェイクニュースが”悪意”で拡散されるわけではありません。ゴシップやネタ記事などは“面白さ”から、健康や政治関連ニュースは“善意”や“正義感”から拡散されるケースが多々あります」


一人ひとりが「事実をもとに判断する」こと

立岩さん

「事実を基にするファクトチェックの価値は、情報をうのみにせず、自分自身の力で信じるか・信じないかを判断するところにあります。情報が簡単に拡散される社会になった一方で、政府のデータにアクセスしやすくなるなど、事実を確認することも容易になってきています。ファクトチェックの大切さが広まっていけば、現在のデマやフェイクにまみれた情報社会も徐々に改善されていくのではないかでしょうか」


前編では、ジャーナリストの立岩陽一郎さんに、フェイクニュースにだまされてしまう理由と、具体的な対処法を教えてもらっています。

(掲載日:2021年11月18日)
文:山田宗太朗
編集:エクスライト

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