いま、VRでのプロレス観戦が新しい! 生粋のプロレスファンの中には「いやいや……プロレスの迫力は、やっぱり会場じゃないと味わえないでしょう」と感じる方もいるかもしれませんが、VRプロレス観戦、かなり熱いんです!
今回は、元プロレスラーの山崎一夫さんに「5G LAB」の「VR SQUARE」でプロレス観戦していただき、その魅力を検証していただきました。専門家ということもあって、マニアックな視点も交えて解説してもらっていますよ!
目次
解説する人 : 山崎 一夫(やまざき・かずお)さん
1981年高校卒業後、新日本プロレスに入門。1982年デビュー戦後、タイガーマスクの付き人に抜擢される。1983年スーパータイガージム設立に参画。引退後はプロの解説者として活躍し、2021年春まで約21年間「ワールドプロレスリング」(テレビ朝日)の解説を務めていた。愛称は山ちゃん。現在は、整体師、鍼灸師、タレントとして活動している。
VR観戦するのは、新日本プロレス最高峰のトーナメント「G1 CLIMAX 31」決勝戦
今日はよろしくお願いします! 山崎さんは、プロレスラーとして活躍され、引退後はプロの解説者もされていました。プロレス解説で、山崎さん流のこだわりがあればぜひ教えてください。
解説者にもさまざまなタイプの人がいますが、僕の場合は、技の威力や会場の熱狂、試合が進む中での感情の高ぶりを、どれだけリアルに伝えられるかを大事にしています。プロレスファンがより試合を楽しめて、初心者にもわかりやすい解説を目指していますね。
今回は「G1 CLIMAX 31」の決勝戦をVR観戦いただきますが、どんな大会なのでしょうか?
新日本プロレスが主催する、ヘビー級選手によるリーグ戦です。日本では年間通じてさまざまなプロレスの大会が開催されますが、G1はその中でも特に大きな大会の一つ。プロレスファンじゃなくても名前を聞いたことがあるようなスター選手がたくさん登場します。
G1決勝戦の見どころや、注目の技を教えてください。
今年、決勝戦に進んだのは、飯伏幸太選手とオカダ・カズチカ選手の2人です。飯伏選手は、相手の両手首を持ったまま膝をぶち当てていく「カミゴェ」や、リング端からロープに飛び乗り、場外にいる相手に体当たりする「ラ・ケブラーダ」といった技を得意としていて、迫力ある試合展開が期待できますね。
対するオカダ選手も身体能力が非常に高く、特にドロップキックはプロレス界でも1、2を争う完成度を持っています。2選手とも、相手の得意技や仕掛けてくるパターンは対策済みのはず。それゆえに、普段はなかなか繰り出さない特別な技や動きが見られるのも、G1決勝戦の見どころといえます。
VRの実力は? 実際に観戦しながら見どころを解説!
ここからはVRゴーグルを装着いただき、解説していただきます。いま、ぐるっと360°カメラで自由視点映像をご覧いただいていますが、いかがですか?
こ、これは……すごいじゃないですか!
正直なところ、こんなにも臨場感があるとは思いませんでした。本当に武道館にいる気持ちになっちゃいますね!
ズーム機能で選手の表情にフォーカスすることもできます。
同じ技でも、俯瞰視点で見たり、アップで見たりできるのがいいですね。
うわぁ、空中技の迫力が伝わってくるなぁ!
飯伏選手の「ラ・ケブラーダ」のシーンが映っていますが、俯瞰視点で見ると飛距離までわかります。
シーンを切り取って360°から見ることができるのも、自由視点映像の特長ですね。
まさにいま、飯伏選手がムーンサルトを繰り出し、空中で相手に覆い被さる直前で映像が止まって360°回転しました。これは、会場やテレビでは実現できない視点ですね。
いやぁ、すごいなVR!
続いて、観客席にいる感覚を味わえるVRマルチアングルで、G1決勝戦を観戦いただきたいと思います!
“それだけでお金が取れる”ドロップキックの真髄をVRで堪能
いかがですか?
今ですね、オカダ選手のドロップキックを見ているんですよ。やっぱりキレイだなぁ。威力と華麗さを兼ね備えたオカダ選手のドロップキックは、プロレスファンの間では“それだけでお金が取れる”とよく表現されます。
先ほども「オカダ選手のドロップキックはすごい」と言われていましたが、他の選手とどう違うのでしょうか?
ドロップキックは、立っている相手目がけて飛んでいき、両足で蹴ってから、前腕で受け身をとりながら床に降りるのが基本です。ところがオカダ選手の場合は、両足を相手に当てた反動を利用して背筋を反らし、バク転するような形で床に降りるんですね。そのような動きをするにはジャンプの高さと蹴りの威力が両方必要。
また、受け身の仕方も、プロレスファンがうなってしまうほど鮮やかです。それだけでなく、バリエーション豊かなドロップキックを繰り出すのも、オカダ選手の魅力ですね。相手をコーナーに追いつめて下から突き上げるドロップキックや、走っていって全体重をかけて両足でぶち当たるドロップキックなど、僕が知る限りでも3種類を使い分けています。
なるほど、選手の間近に迫れるVRなら、ドロップキックの高さや威力も体感できますね。いまご覧いただいている通り、今回のG1決勝戦では、場外に落ちたオカダ選手に向かって、飯伏選手が「ラ・ケブラーダ」で体当たりしたシーンも衝撃でした。飯伏選手の技の魅力も教えてください!
飯伏選手は三次元の感覚に優れていて、空中にいるときの姿勢の安定感が、ほかの選手とは段違いです。彼の得意技である「ラ・ケブラーダ」は、リングロープの上に飛び乗り、後方回転しながら相手に体当たりをする技。リングロープは地上から5メートルくらいの高さにあるので、レスラーがそこに立つと7メートルくらいの高さになります。
非常に危険な技なので、めちゃめちゃ練習しているはずで、たぶん本人は“コマ送り”みたいなイメージで技を覚えているんじゃないかな。技を繰り出す動作の1つ1つが美しくて、VRだとそれがよく分かりますよね。
僕も現役時代、リングロープに上ったことは何度もありますが、もう「ヒィー」という感じ(笑)。皆さんが想像している以上にとんでもない高さです。何十回、何百回やっていても、空中で姿勢がズレてしまい、失敗することもありますね。
失敗したらダメージが大きそうですね。
飯伏選手も一度、大きな捻挫をしてしまったことがあります。そして、この決勝でもコーナーからの「フェニックス・スプラッシュ」をかわされ、それが原因でレフェリーストップという残念な結果となりました。
ただ、ひるむことなく、技をより洗練させたのが飯伏選手のすごいところ。空中で姿勢がズレたと感じたときは、瞬時に足を開いて、足だけでも相手に当てにいくんです。そうすることで、相手にダメージを与えられますし、落ちたときの衝撃も吸収されるからです。
その判断が瞬間的にできるなんて……! 山崎さんに教えていただいた点に注目してVRでG1決勝戦を見れば、より楽しめそうです。
観戦を終えて……「コアなプロレスファンもうなる映像」山崎さんの感想をお聞きしました
VRで試合を観戦するのは今回が初めてだったそうですね。試合の合間合間で、その迫力に驚かれていたのが印象的でした。会場での観戦とは違う楽しさはどこにあると感じましたか?
セコンドやレフェリーに近い目線なので、会場でリング下から観戦しているときより空中技がダイナミックに見えました。360°映像も見られるので、やっぱりVRで見ると空中技が面白いと思います。
また、関節技の攻防もよりはっきり見られて面白かったですね。技をじっくり観察したいプロレスファンには、VR観戦を強くおすすめします。
VRならではの面白さについて、体験してみた感想をいただけますか?
プロレスは、ファンになればなるほど、格闘技色の強い関節技の身のこなしや、腕を攻撃するフリをして首をとりにいくといった攻防に目がいくようになります。ただ、こういう動きって、リング下の席からは見えにくいんですよね。そのため、コアなプロレスファンは、あえて2階の一番前の席で観戦することもあります。
自由に視点を変えられるVRなら、そういった試合の“おいしいところ”を見逃さずに観戦できそうです!
今日は解説いただき、ありがとうございました!
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写真:新日本プロレス
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(掲載日:2021年12月3日)
写真:山野一真
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
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