SNSボタン
記事分割(js記載用)

地域発のデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」。福山市に開設した狙いを聞いてきました!

地域発のデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」。福山市に開設した狙いを聞いてきました!

2021年12月1日、広島県福山市にソフトバンク株式会社の「せとうち Tech LAB」がオープンしました。テクノロジーを地方都市に社会実装することを目的とした、地域発のデジタル化推進拠点です。なぜ中核都市の福山市に開設したのか、これからどのようなことをしていくのか、「せとうち Tech LAB」の運営メンバーに聞いてきました。

「せとうち Tech LAB」の場所

広島県福山市紅葉町2-27 日本生命福山ビル1階

素朴なギモン。なぜ福山市にデジタル化推進拠点を?

施設内

内装は、瀬戸内由来の素材や地元企業が提供する素材が使用されているそうです

今日は「せとうち Tech LAB」について、いろいろ教えてください。

「せとうち Tech LAB」の土井です、どうもよろしくお願いします。

さっそくですが、なぜ福山に作られたのでしょうか?

いくつか理由があるのですが、一番の理由はリアルな地域課題が存在していて、その解決に向けた取り組みを実践していく場所として適しているからです。

福山市は人口約46万人の中核都市で、都市部、中山間地域、湾岸工業地帯、離島など、多様なエリアで構成されています。本当に“縮図”という感じなんですよね。

土井さん1

ソフトバンク株式会社 5G & IoTエンジニアリング本部 西日本IoT技術統括部 中国IoT技術部の土井浩史さん

ものづくり企業が多くて、ナンバーワン・オンリーワン企業もたくさんあります。鞆の浦や福山城といった観光名所もありますし、バランス良くさまざまな産業が存在していて、新しいテクノロジーの実証フィールドとして最適なエリア。福山市も「まるごと実験都市ふくやま」というスローガンを掲げて、新しい技術を使った実証実験を積極的に推進しているんですよ。

なるほど。実験に適したバランスがある都市なんですね。

少しユニークな点としては、県をまたいで岡山県の一部と「備後圏域」を形成しているところ。瀬戸内海を挟んだ愛媛県の一部ともつながりが深くて、福山市だけでなく備後圏域さらには瀬戸内のリアルな地域課題を感じることができます。

地域課題、たとえばどんなことですか?

たくさんあるんですけど、まず分かりやすい例を挙げますね。福山駅からここまで歩いてきたと思うんですけど、目の前にある国道2号線、けっこう混んでませんでしたか?

福山市も他の地方都市と同様に車社会なので、けっこう渋滞も発生するんですよ。一方で車を持っていない人は、公共交通機関を使うことになりますが、東京や大阪などと比較すると数が少ないので、不便に感じる方もいるかもしれません。車社会なので、駅前の活性化なども一筋縄ではいかないですよね。

次々と課題が……

先ほど話したように、福山には優れた技術を持つものづくり企業がたくさん存在しますが、デジタル活用について課題を感じられている企業も非常に多いです。

われわれのミッションは、福山で実際にリアルな課題に向き合い、地域に寄り添ったデジタルでそれらを解決していくお手伝いをすること。将来的には、福山で成功したユースケースを全国に発信して、地域のデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進につなげていきたいと考えています。

デジタルで地域課題を解決するための種まきを

現在は、どのような取り組みをされているんですか。

実は「せとうち Tech LAB」開設前、2020年7月にソフトバンクは福山拠点を開設していて、すでに複数のプロジェクトが動き出しています。特に連携協定を締結している福山市とは、さまざまな実証実験を一緒に取り組ませていただいています。

ただ、まだまだ福山には「せとうち Tech LAB」をご存じでない方も多いですから、まずは存在を知っていただくための活動に力を入れています。具体的には、IT活用に関するセミナーを開催したり、地元の商工会などをお招きして最新テクノロジーを体験していただいたり、気軽にご相談いただけるような場づくりですね。

土井さん2

「デジタル化」「DX」というと身構えてしまう方も多いのですが、実はちょっとしたことから始めることも可能。ハードルを下げて「うちの課題もデジタルで解決してみようか」と感じていただき、地域課題解決につなげるための種まきをしているところです。

デジタルを身近に感じていただくということですね。ちなみにどのような展示をされているんですか?

いろいろあるので、ぜひ見て行ってください。

地域課題解決のヒントに。最新技術の体験コーナーも!

中川さん

土井さんと同じ部署の中川敬太さんに案内してもらいました

「せとうち Tech LAB」では、どんなものが展示されているんですか?

では、いくつか展示ソリューションを説明していきますね。まずは「ポイ捨てカウント」。拾ったごみの情報をLINEで入力すると、ごみの種類や拾った場所などが集計されていきます。ポイントはAPI連携していて、簡単にデータを見える化できることです。

  • Application Programming Interfaceの略。アプリケーション開発の際に、機能やデータベースを呼び出すためのインターフェース。

ポイ捨てカウント

開発が簡単ということですか?

そうですね。APIを活用するとシステム同士をつなぐだけなので、ゼロから開発するのに比べるとかなり楽です。必要なデータはAPI連携で手に入れられる、ということを知っていただくために展示しています。

VRもあるんですね。

こちらは福山市の施設などをVRで見られるようにしたものです。使い道としては、観光施設の案内、授業として行う工場見学などを考えています。あと、遠方から福山の企業に就職を考えている方向けの会社見学などにも活用できますね。

VR

「せとうち Tech LAB」のVR映像もあるので、ちょっとお見せしますね。

おお、すごい。確かに、これで工場見学とかしたら面白そうですね。

安全性を考慮して授業では入らないエリアなどもあるようなのですが、こちらを使うと隅々まで見られますよ。こちらは振動を検知するIoTセンサーです。

センサー

福山は製造業が盛んなので、工場で設備を遠隔監視する用途を考えています。実は、IoTセンサー自体は数千円で購入可能。センサーのデータを見える化するシステムも簡易的なものなら数日で作れますし、すでに存在しているシステムを流用すれば、すぐに使うこともできます。

来場された方には、IoTは大げさなものではなくて、すぐに試すことができるということをお伝えするようにしています。

全部使い道が想像できるので、デジタルが身近な感じがしました。ありがとうございました!

e-kakashi

ドローン

農業AIブレーン「e-kakashi」や子どもに操作を楽しんでもらうためのドローンなども展示されています

(掲載日:2021年12月20日)
文:ソフトバンクニュース編集部