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「毎月のコツコツ」が資産を育てる。貯金だけでは不安な時代だからこそ知っておきたい投資の知識

「毎月のコツコツ」が資産を育てる。貯金だけでは不安な時代だからこそ知っておきたい投資の知識

政府が「貯蓄から資産形成へ」を呼びかけている昨今、金融リテラシーの重要性が見直されています。金融リテラシーとは、金融や経済に関する知識・判断力のこと。この記事ではお金を守り増やしていくための方法について解説します。

  • 知っておきたい金融リテラシーや、まず取り組みたい「手元のあるお金」の洗い出しについてはこちらの記事で紹介しています

目次

教えてくれた人

足立 有希子(あだち・ゆきこ)さん

ファイナンシャルプランナー
足立 有希子(あだち・ゆきこ)さん

ファイナンシャル・プランニング技能士1級。「有形の資産だけではなく、人とのつながりや信頼関係を大切に」という考え方のもと、子どもやその親に向けた金融教育に力を入れている。現在は、学校での金融授業や雑誌等での監修・執筆のほか、個人の家計相談など幅広く活動中。

「貯金すれば大丈夫」とは言えない理由

日本は1990年代にバブルが弾けるまで、定期預金や普通預金に預けているだけでもお金が増えていくような金利情勢でした。しかしそれ以降は、金利を低く抑える「低金利政策」をとって不況を乗り越えようとしたため、預貯金だけではお金がなかなか増えない状態が続いています。

また、近年は生活用品や光熱費など、さまざまな商品やサービスが値上がりするようになりました。こうした物価の上昇が起こる状態を「インフレ(インフレーション)」と言います。

インフレが起こるとモノの価値が上がるので、相対的にお金の価値が下がります。もしインフレがこのまま続いたら、定期預金や普通預金のお金も相対的に目減りしてしまいます。大切な資産を守るためには、お金を預貯金以外の形で保有しておく必要性があるのです。

足立さん

「日本政府も『貯金から資産形成へ』という流れを加速化しています。2024年以降、新しいNISA制度が始まることになりました。これまでよりもお得に資産形成ができる環境が整いつつあります」

株式だけじゃない! 資産形成に使えるもの

株式だけじゃない! 資産形成に使えるもの

資産形成や投資というと「株?」と思うかもしれませんが、資産形成に活用できる商品は非常に多いです。資産形成や投資に使える代表的なものを紹介しましょう。

預貯金 定期預金や普通預金など。いつでも引き出せる流動性の高さが魅力だが、金利はかなり低い。
株式 株式会社が発行するもの。株式の値上がり益や配当、株主優待などを受け取れる可能性があるものの、値動きは比較的大きい。
債券 株式会社や地方自治体、国などが発行するもの。一定の条件を守れば約束された利息がもらえる。
投資信託 投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債権などに投資運用する商品。一定期間ごとに同じ商品を購入する「積立投資」も可能。
金銭信託 信託銀行などに金銭を信じて託し、金銭を管理・運用する商品。

上記の中で、預けたお金が減ることはない「元本保証」があるものは、預貯金や一定条件を満たした債券です。しかし一般的に元本保証があるものは金利が低いと、資産を増やす力はあまり期待できません。

一方で、株式や投資信託などは元本保証がないので、預けたお金が目減りする可能性がありますが、値動きや預ける期間によっては投資したお金がしっかりと増えていきます。

資産形成に活用したい制度「新NISA」「iDeCo」

では、資産をどんな形で運用すればよいのでしょうか。その前提として知っておきたいのが「NISA」や「iDeCo」というお得な制度です。

まず活用したいのが、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAは対象となる投資信託や株式などに投資した場合、その値上がり益や配当などにかかる税金(現行20.315%)が非課税になる制度です。たとえば100万円を投資して10万円の利益が上がった場合、本来なら約8万円しか受け取れませんが、NISAを使えば10万円をそのまま受け取れます。

このNISA制度は、2024年にリニューアルされることがすでに発表されています。これまでは「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類に分かれていて、それぞれに年間の投資上限額が定められていました。しかし新NISAではこの2つが合流し、一人あたり1,800万円分まで非課税で運用できるようになるなど、これまで以上に活用しやすくなっています。

つみたてNISA

一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、いわゆる「自分で作る年金」です。毎月自分で決めた掛金を積み立て、投資信託などで運用しておきます。そして60歳以上の好きなタイミングで、一時金もしくは年金として受け取るという制度です。

資産形成に活用したい制度「iDeCo」「新NISA」

足立さん

「iDeCoを利用すれば、運用している間の税金(現行は20.315%)がかかりません。さらに一時所得として受け取れば、退職所得控除によって節税できるので、より多くのお金を受け取ることができます。さらに、こちらの記事で説明した所得控除も利用できるので、当面の所得税の節税にもなります」

iDeCoに加入する際に注意したいのは、掛金は60歳まで引き出せない点です。あまりに多くのお金をiDeCoに配分してしまうと、60歳までの資金計画が成り立たなくなる可能性があります。

iDeCoは、すでに加入している年金制度によって、掛金の上限額が定められています。会社員であれば、月々の上限は1万2,000円〜2万3,000円程度。

iDeCoの拠出限度額について

足立さん

「これから資産形成を始めるなら、iDeCoそして新NISA、iDeCoを使わない手はありません。税金がかからない制度を上手に利用して、効率よく資産形成を行うのがおススメです」

NISAやiDeCoで使える「投資信託」。なぜ便利なの?

iDeCoやNISAで使える「投資信託」。なぜ便利なの?

iDeCoや新NISAの「つみたて投資枠」で利用できるのは、主に投資信託です。この投資信託こそ、投資初心者におススメできる金融商品だと言えます。

その理由は主に以下の3つです。

①分散投資ができる

投資信託は元本保証がない分、複数の資産に投資することによって、値動きや為替変動などのリスクを軽減することができます。ひとつの投資信託を購入するだけで分散投資が実現するので、とても便利です。

②複利のパワー(複利効果)を活用できる

複利とは「運用で得た収益を、もとの元本に組み入れた額に対して利子がつくこと」。投資信託では運用益も含めて運用するものが一般的なので、投資信託に長期投資しておくだけで、複利のパワーを活用して効率よく資産を育てていくことができるのです。

③長期積み立て

さらに投資信託は「積立投資」の設定ができることが多く、月1回や週1回など定期的に同じ商品を同じ投資額分購入し続けることで、平均購入単価を抑えることが期待できます。これを「ドルコスト平均法」といいます。積立投資を長く続けるほど複利のパワーも十分に得られるでしょう。

小額から投資を始めたい方には、こんなサービスも

「まずは小額から始めてみようかな…」という方にぴったりのサービスも最近では増えてきています。「PayPay証券」では日本株も米国株も1,000円から気軽に買えるだけでなく、PayPayアプリ内のPayPayマネーを使えば100円から資産運用することも。18歳未満の方でも口座を作ることが可能です。操作が簡単ですぐに設定ができる「LINE証券」でも、1株単位で数百円から気軽に取り引きできる「いちかぶ(単元未満株)」や、ポイントを利用した投資ができるなど、初心者でも始めやすいです。

資産形成に一歩踏み出すための「5カ条」

これから資産形成を始めるなら、次の「5カ条」に沿って行動してみるのがおススメです。

①ネット証券を選ぶ

投資信託を売買するためには、銀行や証券会社で口座開設を行う必要がありますが、おススメはネット証券です。店舗に行かなくても取引できる点や、投資信託の種類が豊富な点、手数料が比較的安く設定されている点などがメリットです。また初心者にありがちな「金融機関の窓口で、担当者おすすめの商品をよくわからないまま購入してしまった…」という失敗も避けられます。

②NISAを利用する

非課税で運用できるNISAを活用します。ネット証券の購入画面で「NISA口座」を選ぶのを忘れないようにしましょう。

③投資信託の中でも「インデックスファンド」から選ぶ

投資信託には、特定の指数に連動する「インデックスファンド」と、その指数よりも優れたパフォーマンスを目指す「アクティブファンド」があります。ところが、長年の統計の結果、インデックスファンドのほうが、パフォーマンスが優れているという結果が出ています。まずは、全世界株式など広く分散されたインデックスファンドでの運用を検討してみてください。

④運用中にかかる手数料をチェックする

投資信託の運用中にかかる手数料を確認します。「信託報酬」や「管理費用」といった項目で書かれているはずです。この手数料が「合計0.2%以下」の投資信託を選ぶとよいでしょう。

⑤毎月の積立投資から始める

購入する投資信託や利用する証券会社を決めたら、毎月の積立投資から始めるとよいでしょう。最初は値動きが荒く損失が出やすいかもしれませんが、そのうちに少しずつドルコスト平均法の効果が出てきて、評価額が安定してくるはずです。

資産形成で失敗しないための心得も知っておこう

iDeCoやNISAで使える「投資信託」。なぜ便利なの?

最後に、資産形成で失敗しないための3つの心得も紹介します。

①無理のない投資額で始める

資産形成を始める際は、家計に無理のない「余裕資金」で取り組むようにしましょう。もし生活資金を投資に使ってしまうと、投資による損失が膨らんだときに生活に困ってしまいます。ではどれくらいの預貯金を残しておいたらよいのでしょうか。家計の6カ月〜1年分が目安です。これらの預貯金を確保しておいた上で投資をスタートしてください。

②運用結果に一喜一憂しない

資産運用の結果に一喜一憂して、すぐに投資をやめないことも大切です。資産運用の値動きは長期的に安定していきます。目先の損失だけを見て売却すると、損失しか出ないので注意しましょう。株式やFXなど値動きが比較的大きなもので運用しているなら、一定の損失で売却する「損切り」も必要ですが、投資信託であれば「長期的に様子を見る姿勢」が功を奏する可能性が高いです。

③投資詐欺から身を守る

「何かおかしいかも…」と思ったら、絶対にお金を出さないようにしましょう。資産形成には、投資信託や上場している株式などポピュラーなものを活用し、少しでもあやしい商品には投資しないでください。

足立さん

「『あなただけに特別な話』はありません! 少しでも違和感があれば、国民生活センターに問い合わせするのもおすすめです」

お金が目減りする時代は、個々人の金融リテラシーが役立ちます。これからの生活に欠かせないお金を、大切に守り育てていきましょう。

100円から始められる「PayPay資産運用」で、初めての資産運用にチャレンジしてみませんか?

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(掲載日:2023年3月23日)
写真:大崎あゆみ
文:金指歩
編集:エクスライト

金融リテラシーを身に付けて、将来の資産形成に備えましょう